DATE: 2003年6月11日(水) 午後10時19分
パンタ笛吹の帝国現地レポート(11)
ひさびさのレポートをコロラド州ボルダーからお届けします。 国防情報局(DIA)が去年の秋に出した秘密報告書には、「イラクが化学兵器を持っているという確かな証拠はない」と書かれていたことがCNNなどで報道されています。 ここにきて、戦争を始めた張本人たちのウソがぽろりぽろりと流出しているようです。
★あのバカげた紙くず
元国家情報局員であるグレッグ・ティールマンは、前々から、イラクとニジェールとのウラニウム輸入許可書が偽物であると知っていた。だから彼は、ブッシュ大統領がその書類をもとに戦争を呼びかけたとき、「そっそんな、今さらあの馬鹿げた紙くずを信用するなんて」と思ったという。
http://truthout.org/docs_03/060303A.shtml
★こまった人たち
CIAで26年間働いたレイ・クロースは、こう言った。 「大統領は大きな権力を持っています。もし大統領が欲しがっているものが何か分かっていたら、是が非でもそれを見つけだしてくるのがわれわれの仕事です」
もう一人の諜報部員は、ラムズフェルド国防長官について、こう語っている。 「彼は空論家です。彼は頭がいいのに、事実からものごとを始めようとはしません。彼の頭の中には、最終的な結果が最初からあって、それに都合のいい事実を集めてくるのです」
http://truthout.org/docs_03/060703J.shtml
★もう見つけたから、安心しなさい
ブッシュ大統領は、まだ見つからない大量破壊兵器についての批判に答えて、こう言った。 「われわれが禁止された兵器やそれらの製造機器を未だに発見していないと言っている人たちは、まちがっている。なぜなら、われわれはそれらの禁止兵器をすでに見つけたからだ」
・・・大統領がここで言っている禁止兵器とは、あの移動化学トレーラーのことだろう。しかしそれが化学兵器製造に使われたという証拠はゼロだし、まずあれは、食物検査用のトレーラーの可能性が大なのである。
http://truthout.org/docs_03/060303A.shtml
★気球をふくらますトレーラー
イラク人科学者は、あの移動化学トレーラーは、「軍用気球を膨らませるための水素を作る装置」だと断言した。軍用気球は、大砲を撃つ前に風向きなどを調べるもので、大砲とともに移動する必要があるという。 オブザーバー紙の調べで、イラク軍のその装置は1987年に、イギリスのマルコニ社からイラク軍に売り渡されていたことが判明した。
http://www.observer.co.uk/international/story/0,6903,973012,00.html
★ブッシュ帝国は、安泰なり
最新の世論調査によると、アメリカ人の4分の3が、ブッシュ大統領がイラク戦争で強力なリーダーシップを発揮したと思っているし、米国民の41%が、大量破壊兵器がすでに見つかったと信じているか、確信が持てないでいるという結果が出た。
http://truthout.org/docs_03/060103C.shtml
★映画みたいに始まった戦争?
数年前のハリウッド映画「ワグ・ザ・ドッグ」の中で、ウソの戦争をでっちあげる役のロバート・デニーロが大統領にこう言っている。 「もしあなたが次の選挙で再選されたかったら、不人気な話題を替えなくてはなりません。それで、話題を替えたかったら、戦争を始めるのがいいでしょう。なんといっても、政治はショービジネスなんですから」
http://truthout.org/docs_03/060103C.shtml
★なるほど、ナットク!
ウォルフォウィッツ米国防副長官は、5月28日、雑誌インタビューにこう答えた。 「ホワイトハウス内部の官僚のせいで、(イラク攻撃を正当化する)理由として、大量破壊兵器に焦点をしぼることにした。というのは、大量破壊兵器だけが、誰もが納得できる理由だからだ」
彼は2番目にテロとの戦いを、3番目にフセインの自国民に対する残虐行為をあげたが、「その3番目のは、イラク国民を助けるかもしれないが、わざわざ米兵の命を危険にさらしてまで戦争を遂行する理由にはならないので」無視することにしたというのである。
http://truthout.org/docs_03/060403J.shtml
★ウシのクソ!
パウエル国務長官は、戦争を急がせた2月5日の国連演説の4日前に、CIAのオフィス内でリハーサルを行った。 国務長官は、(原稿に書いていることがあまりにも真実味に欠けるのに)イライラし、数枚の原稿を空中に放り投げながら、「私はこんな原稿など読まない。これは、ウシのクソ(うそっぱち)だ!」と声をあげた。
http://www.usnews.com/usnews/issue/030609/usnews/9intell.htm
★19歳のヒーローは、こうして作られた
ワシントンポスト紙によると、ある政府高官が、イラク戦争中に救出された捕虜、ジェシカ・リンチ上等兵についてこう語ったという。 「ジェシカ・リンチ上等兵は、激しい銃撃戦を闘いぬき、彼女の撃った銃弾で、敵兵数人が倒れた。彼女は自分自身の体に数カ所被弾したにもかかわらず、続けて撃ちまくり、弾倉が枯渇するまで銃撃をやめなかった。彼女は死ぬまで戦おうとしたのだ。なぜなら、彼女は生きて捕虜になどはなりたくなかったからだ」
救出された彼女を診察したアメリカの従軍医者は、彼女の体には数カ所どころか、ただ一つとして銃弾の当たった痕はなかった、と発表している。
http://truthout.org/docs_03/060103G.shtml
★民兵はいないのか、それは都合がいい
ジェシカ救出の前日、実は病院の近くのレストランに、数人の米兵がアラビア語通訳を連れて訪れていた。ウェイターのハッサンは通訳からこう尋ねられた。 「病院はどっちの方角だ?」 「あっちだよ」 「まだ民兵たちは病院にいるのか?」 「いや、兵隊はみんな逃げてしまったよ」 ・・・そして翌日、(アメリカ最強の)特殊部隊が、大活躍したのだ。
病院のウダイ医師はその一部始終を目撃した。 「ま夜中に、ヘリコプターの爆音がバリバリと聞こえました。驚きましたよ。彼らは戦争ショーを撮影に来たような感じでした。ジャッキー・チェンやスターローンのアクション映画みたいに、叫んだりジャンプしたり、ドアをぶち破ったりしてね」 ・・・その間ずうっと、広報用の暗視カメラは回りつづけていた。
http://www.guardian.co.uk/g2/story/0,3604,956127,00.html
★毎日のように米兵が殺される
「息子がもうすぐイラクから帰ってくるという知らせを受け取った数時間後、二人の海兵隊員が家のドアをノックしたんです。息子がイラクで殺されたという報せを持って・・・」と老婆は泣きくずれた。
また、夫が最近、バグダッドで死んだコマーク未亡人は、「夫たちは、イラクの人々に自由を与えて、彼らを守るためにバグダッドで働いていたのに・・・こんなことになるなんて」と嘆いた。
そしてまた、知人の兵士が殺された女性は、首をふりながらこう言った。「私たちは戦争に勝ったのに、どうして今も兵士たちが殺されているの?イラクでは、毎日のように米兵が殺されている、そのわけが私にはわからないわ」
http://truthout.org/docs_03/060303I.shtml
★バグダッドではいま・・・
マイケル・バーミンハム(イラク・ピースチーム)
「アメリカは調理済みの夕食をイラク人に食べさせようとしているんだ」とエンジニアのアーメドは言う。今のバグダッドの無法状態から将来の政府まで、すべてブッシュ政権によって「調理済み」のものがイラク人に与えられるというのだ。
バグダッドはいま、とりわけひどい状態だ。すべての店では、店員がカラシニコフ銃で武装しているし、銃を持たずしては怖くて外もおちおち歩けない。 イラク人女性たちが銃を突きつけられ、さらわれているという話を毎日のように聞く。
夫と車に乗っていた妻が連れ去られたり、昼日中、バグダッドの繁華街で女性がさらわれたり、先日は家の中にいた若い女性が二人とも拉致されたという。あまりにもたくさん女性拉致の話を聞くので、これらの事件はマスコミが取りあげているのか? とイラク人に聞くと、「バグダッド中が悲惨な事件であふれているので、全部取りあげられるものではない」という返事が返ってきた。
イラン・イラク戦争の時、キッシンジャー元国務長官が、「彼らがお互いに殺し合うことを望んでいるよ」と言って100万人が殺されたように、今回もまたイラク人同士が殺し合う無法地帯を、バグダッドにわざと作り出したのではないかと疑ってしまう。
http://electronicIraq.net/news/795.shtml
★拉致とレイプのジャングル
16歳の女学生・バイーダは、朝8時、学校に行く途中に、銃を突きつけられ拉致された。「街は無法地帯だから、登校してはいけない」という家族の反対を押しきって、バイーダは学校に通った。 彼女は、看護婦になりたかったので、どうしても学校で勉強したかったのだ。家族は、彼女がもう殺されたのではないかと心配している。
「米軍の占領以来、バグダッドは、拉致とレイプのジャングルになってしまった」とアサーフィ医師は嘆く。 医師が近ごろ診たレイプ被害者は、女子中学生だった。彼女は中学校に通う道すがらにさらわれ、顔に塩酸をひっかけられて目が見えなくなったところを、車の中で2時間にわたって弄ばれたのだ。
(抄訳・パンタ笛吹/TUPメンバー)
http://news.independent.co.uk/world/middle_east/story.jsp?story=413160