TUP BULLETIN

速報955号 ドナより ピンクの服を身にまとった女性 

投稿日 2012年11月5日

現代兵器の戦争は、銃声が鳴り止んでも終わったわけではない






オーストラリア人女性ドナ・マルハーンは、2003年の春にはイラクで「人間の盾」に参加した。04年春にはイラクで米軍包囲下のファッルージャに入り、その帰路地元レジスタンスによる拘束を経験し、つぶさにその報告をしてくれた。04年冬から05年春にかけてはイラク・パレスチナ「巡礼の旅」を伝えてきた。05年8月には、シンディ・シーハンのキャンプ・ケーシーに駆けつけ、アメリカからの報告は、ほとんど実況中継だった。05年12月にはオーストラリアがイラク戦争に最も貢献してきたパイン・ギャップ秘密基地に侵入し、「市民査察」を強行して逮捕されたが、08年2月に無罪判決を勝ち取った。09年末から10年初頭には、イスラエルによる包囲封鎖に苦しむパレスチナ・ガザ地区に入って援助を届け、現地から報告してきた。10年2月に、『普通の勇気―わが旅、人間の盾としてバグダードへ』を出版した。11年3月に、アフガニスタンのカーブルに向かい、地元の「青年平和ボランティア」と共に行動した。12年7月に4度目のイラク訪問を敢行し、劣化ウラン弾などの有毒兵器の被害に苦しむファッルージャの女性や子供の現地調査を終え、無事帰国した。


国連総会第一委員会で行われる劣化ウラン兵器使用に関する情報公開を求める新決議の投票日が11月6日と予想され、オーストラリアの投票を棄権から賛成に変えさせようと活動を続けているドナが、イラク・ファッルージャ病院での経験を思い起こしながら涙ながらに訴える土壇場の呼びかけです。


(翻訳:福永克紀/TUP)

「……この予防措置の取り組みを考慮すれば、オーストラリアが棄権から賛成票に変えることは理にかなったことです」

劣化ウランの有害な性質に対する明白な認識に反して、オーストラリアは米国や英国などの劣化ウラン使用国の指示に従い、科学的証拠がないと、またも最新調査にその座を奪われた時代遅れの研究を持ち出してきて、現行路線を繰り返しそうな様子です。しかし科学的証拠は出てきており、しかも有力な証拠です、でもまだ疑問も残っており、不確実性に備えて予防措置原則が適用されるべきなのです。

問題の核心はこうです。有毒であると広範に認識されている化学毒物や放射性重金属を、通常戦争において大量に撒き散らすことが、政治的に受け入れられることか。

これは、軍隊が荷物をまとめて立ち去った後に住宅近隣にどのような物質が残されているのかという一層広範な問題につながります。地雷やクラスター弾のように爆発する戦争の残存物は、関心を持たれ除去プログラムも注目されますが、また別の種類の問題が現存するのです。どんな影響があるのかまだ解明されていない無音の遺物、戦争の毒性残存物です。

ボブ・カー大臣の独立精神と良識は、使用各国から、とりわけ米国から受けている圧力に打ち勝つことができるのでしょうか?

彼は、オーストラリア基本方針の最初のテストに合格できるのでしょうか?

お分かりでしょう、この議論にはあのピンクの服の女性も含まれています、そしてその小さな赤ちゃんも、それにこの二人はどのように説明してもらえるのでしょう?

ファッルージャ病院では、私は悲しみの中、ピンクの服の女性とその子に沈黙のうちに連帯しながらしばらく立ちつくしていました。

ある時点で、彼女が私を見上げ、私たちは見つめ合いました、そして私は言葉もなく仕草ですみませんと言いました。彼女は頷きました。写真を撮ってもいいですかと身振りで示すと、頷いてくれました。

私は打ちひしがれてその場を去りました、眼は涙で刺されるように痛く、彼女の顔が頭から離れませんでした。

のちに、そのちょうど1時間後にその子が死んだと聞きました、名前はダムアです。

ダムアの命は短い命でした、でも私たちの軍隊が平凡な家庭の近隣に持ち込んだ兵器の遺物という、巨大で難解で醜悪な問題に鋭く明瞭に焦点を当てる命でした。

赤ちゃんのダムアのために、そしてピンク服の母親のために、彼女たちの悲劇的な話が世界の良心を目覚めさせ、現代兵器の長期的影響について私たちを議論させ、行動させますように。

皆さんの巡礼者
ドナより

追伸:この話を書くために随分と長く机についていましたが、今週まで意を決して書くことができませんでした。泣くだろうと分かっていました、そしてこの頭から離れない情景を思い返して、最後の2日間何時間もキーボードの前で泣きました。これはメディアのウェブサイトにすでに送りましたが、最初に皆さん方に送りたかったです。

追伸:母親と赤ちゃんの写真を添付しています。
《母親の写真》

保育器のわが子に見入るピンクの服の女性、ファッルージャ病院にて
http://groups.yahoo.com/group/ThePilgrim/attachments/folder/356596696/item/1411355812/view
《赤ちゃんの写真》
ピンクの服の女性が見入る我が子ダムア、ファッルージャ病院にて

http://groups.yahoo.com/group/ThePilgrim/attachments/folder/356596696/item/409356777/view

追追追伸:劣化ウラン兵器に関する国連投票は来週に、おそらく火曜日に予定されており、オーストラリアは再び棄権しそうな気配ですが、まだ分かりません。良識が打ち勝つように祈ります……

追伸×4:シドニーの国会議員、ジョン・マーフィ議員が、昨日この問題で偉大な演説を連邦議会で行いました。彼のスピーチは以下のところで読めますので、感謝の気持ちを彼に送ってもらうのはどうでしょう。 http://acbuw.org/latest-updates/ 彼のEメールアドレスは、XXXXXX@xxxxxxx (アドレス略)です。

追伸×5:ボブ・カー大臣事務所へ最後のロビー活動をなさりたい皆さん、資料はここにあります。 www.acbuw.org

追伸×6:「共感に勇気が生まれる」――オースティン・マッケル、今日のツィッターで

原文:The woman in the pink dress
URL: http://groups.yahoo.com/group/ThePilgrim/message/263

[訳者注:この訳文中にある画像はすべて、上記原文サイトから見られる画像へのリンクです]