TUP BULLETIN

速報965号 あれから10年後のイラク

投稿日 2013年4月2日
権力者が歴史を改竄しようとする時、真実を穏やかに主張することが大切です


オーストラリア人女性ドナ・マルハーンは、2003年の春にはイラクで「人間の盾」に参加した。04年春にはイラクで米軍包囲下のファッルージャに入り、その帰路地元レジスタンスによる拘束を経験し、つぶさにその報告をしてくれた。04年冬から05年春にかけてはイラク・パレスチナ「巡礼の旅」を伝えてきた。05年8月には、シンディ・シーハンのキャンプ・ケーシーに駆けつけ、アメリカからの報告は、ほとんど実況中継だった。05年12月にはオーストラリアがイラク戦争に最も貢献してきたパイン・ギャップ秘密基地に侵入し、「市民査察」を強行して逮捕されたが、08年2月に無罪判決を勝ち取った。09年末から10年初頭には、イスラエルによる包囲封鎖に苦しむパレスチナ・ガザ地区に入って援助を届け、現地から報告してきた。10年2月に、『普通の勇気━━わが旅、人間の盾としてバグダードへ』を出版した。11年3月に、アフガニスタンのカーブルに向かい、地元の「青年平和ボランティア」と共に行動した。12年7月に、イラクで劣化ウラン弾などの有毒兵器の被害に苦しむ女性や子供の現地調査を行なった。


今年の2月初旬に、デービッド・ブラッドベリ映画監督と共に、5度目となるイラク訪問を行なってきたドナは、イラク戦争開始10周年を迎えて、オーストラリアのメディアに頻繁に登場しながら、イラクの現状を訴えています。ドナの活動報告です。

(翻訳:福永克紀/TUP)

あれから10年後のイラク
ドナ・マルハーン
2013年3月26日

お友達の皆さんへ

先週、イラクの侵略と占領10周年を国中で思い起こすなか、私は主要メディアで政治家や軍人の意見をあまりにも頻繁に聞かされました。

この人たちは、軍事行動が成功したとか新イラクではことがうまく運んでいるとか、自らの意見を吹聴していました。

こういった見解は、実際にイラクの街を歩いたこともなく、イラクの庶民と席を同じくすることも彼らの経験に聞きいることも決してなかった人たちの見解です。

代わりにこの人たちは、グリーン・ゾーンの名で知られる要塞化された都市国家や米軍基地に住み、爆弾を防ぐコンクリート壁とレザーワイヤーに囲まれて、それ以外のイラクや日常の生活とは無関係に過ごしてきた人たちです。そして、オーストラリアのジム・モーラン少将の場合は、フセイン宮殿のひとつに構えた指令室に陣取り、住民居住地域をミサイルの標的にする命令を下していたのです。

それで、私が自分の考えを述べたり報道解説をしたりしようとすると、メディアがこんなにも愛着を持つ政治家や少将たちのいわゆる「公的」な声と放送時間を奪い合う舌戦を強いられました。

私は最善を尽くして、実態からかけ離れた彼らの見解に私の直接体験の話で対抗し、もっと現実的な状況を聴衆に提示し、ここ何年かで私が会ったイラクの人々の意見を伝えました。

ユリーカ・ストリートのウェブサイトで公表された、あれから10年後のイラクを私が考証した文が以下にあります。 http://eurekastreet.com.au/article.aspx?aeid=35523

そして、いくつかのインタビューです。まず最初が私のお気に入り(ABCラジオのサンデー・ナイツ)で、これはイラク問題、非暴力主義、積極行動主義、沈思と瞑想などさまざまな課題を網羅しています━━聖週間の素晴らしい省察かも…… http://www.abc.net.au/sundaynights/stories/s3723347.htm

それからまた、

チャンネル・テン、ザ・プロジェクト(広告が終わるまで待たなければなりません) http://theprojecttv.com.au/video.htm?movideo_p=39696&movideo_m=282232

ABCブリズベン、モーニングズ、スティーブ・オースティン司会 http://blogs.abc.net.au/queensland/2013/03/donna-mulhearn-10-years-since-the-iraq-war.html

ラジオ・ナショナル・ブレックファースト、フラン・ケリー司会 http://www.abc.net.au/radionational/programs/breakfast/iraq-ten-years-since-invasion/4591780

3CRラジオ、放射能問題プログラム、ジェシー・ボイラン司会━━綿密なラジオ・ドキュメンタリー http://www.3cr.org.au/radioactive

ABCニュース24、ザ・ドラム(約26分後に登場します) http://www.abc.net.au/news/2013-03-20/the-drum-tuesday-19-march/4583162

トリプル・ジェイ・ハック(3月19日の番組) http://www.abc.net.au/triplej/hack/podcast/

世界中で先週に発表された素晴らしい記事や分析はたくさんあります。皆さんに負担をかけ過ぎるつもりはありませんが、これは、「イラク戦争検証委員会設立要求キャンペーン(Campaign for an Iraq War Inquiry)」の仲間であるスー・ウェアラムがキャンベラ・タイムズで公表した素晴らしいものです。 http://www.canberratimes.com.au/comment/price-of-iraq-war-too-great-to-repeat-20130318-2gb77.html

どうか、ウェブサイトを訪れて検証委員会設立要求の請願に署名してください。 http://iraqwarinquiry.org.au/

4月初旬にバグダードが陥落した日が近づくにつれ、もっと多くの「専門家」がメディアに現れ、さらにジョン・ハワード元首相がこの議題で講釈を述べるだろうと思われますので、その時は私ももっと報道解説をしたいと思っています。

権力を握る者が歴史の改竄を試みようとする一方では、真実を穏やかに主張することが大切だと思います━━さもなくば一体どうやって歴史から学べるというのでしょうか?

皆さんの巡礼者
ドナより

追伸:シドニーとブリズベンでの先週の集会で皆さんの何人かとお会いできてとても嬉しかったです。

追追伸:今週の木曜日にはレバノン人ムスリム協会(Lebanese Muslim Association, LMA)が主催するラケンバでのこの催しにお越しください。3月28日(木)午後7時30分、LMA図書館(ラケンバ ワンギー・ロード71-75 3階)、ウィドヤーン・ウィッズがインタビューする「ドナ・マルハーンとの会話、人間の盾の話」。これは無料の催しですが、登録が必要です。出席を登録するにはタイトルを「ドナ・マルハーンとの会話……」として[メールアドレス省略]にEメールしてください。 http://www.facebook.com/events/123596101160220/?ref=22

追追追伸:それからシドニーのかた、5月24日(金)をスケジュールに入れておいてください。シドニーで行なわれる「酒場の政治談議」で、あれから10年後のイラクについて講演します。

追追追追伸:「2003年にどうして事態があんなに悪くなったのかを私たちが知らないかぎり、私たちは大きな間違いを繰り返し、気がつけば再び望みもしない戦争を始めていることになります」━━スー・ウェアラム

原文:Iraq 10 Years On…
URL: http://groups.yahoo.com/group/ThePilgrim/message/267