TUP BULLETIN

速報132号 03年7月14日 帝国現地レポート(13)

投稿日 2003年7月14日

DATE: 2003年7月14日(月) 午後1時12分

パンタ笛吹の帝国現地レポート(13)

ウソにウソを積み重ねてむりやり始めたイラク戦争も、バグダッドが陥落して早くも4ヶ 月がたちました。

こちらアメリカでは、勇気ある元外交官などがそのウソを糾弾したおかげで、今までブッ シュ政権の宣伝役が多かったメディアも、ようやく重い腰を上げたようです。

それでもホワイトハウスは、まだまだ、ウソをつきとおすつもりか、居直り発言をくりか えしているのが現状です。

国防総省による戦死者のニュースも、米国民の気持ちを逆なでしないように、中央軍発表 の事実を、よりソフトにねじ曲げ(改ざんしてから)公表されています。以下に二つの例 をあげてみます。

★爆発物の炸裂で死亡(イラク中央軍発表)

7月1日、バグダッドにおいて、移動中の護送隊が、なにものかによって仕掛けられた爆 発物の炸裂にあい、被害を受けた。そのとき、重傷を負った米軍兵士・コッフィン軍曹 は、手当てのかいもなく、野戦病院で息を引き取った。

http://www.centcom.mil/CENTCOMNews/News_Release.asp?NewsRElease=20030705.txt

★車が溝にはまって死亡(国防総省発表)

7月1日、コッフィン軍曹の乗った護送隊がバグダッドの路上を移動中、一般市民の車と 衝突しそうになり、それをよけたために車が溝にはまった。そのとき怪我をしたコッフィ ン軍曹は、病院で亡くなった。

http://www.defenselink.mil/releases/2003/nr20030702-0169.html

★銃弾を体に受け死亡(イラク中央軍発表)

7月9日、陸軍第四師団の兵士、メリッサ軍曹(女性)は、非戦闘的な事故で、銃弾を体 に受け、病院に運ばれ死亡した。

http://www.centcom.mil/CENTCOMNews/News_Release.asp?NewsRElease=20030733.txt

★事故でケガをして死亡(国防総省発表)

7月9日、テキサス出身のメリッサ軍曹(女性)は、非戦闘時にケガをして死亡した。こ の事故は、現在、調査中である。

http://www.defenselink.mil/releases/2003/nr20030711-0189.html

★ブッシュ大統領は、それがウソだと知っていた

CIAアドバイザーのテランス・ウィルキンソンは、ホワイトハウスでの2度にわたる説 明会合で、大統領に対して、ウラン諜報はあてにならないと明確に報告した。その席上 で、ライス国家安全保障担当補佐官は大統領に、このウラン情報を一般教書演説に織り込 まないよいう、強く主張したという。

ウィルキンソンはこう語る。 「あのニジェールのウラン情報は、すでに信用ならないニセモノだとみなされていまし た。この点については、ホワイトハウスでの2度の会合で、大統領にもはっきりと伝えま した。それを聞いた大統領は怒りだし、『もしいまのCIA調査官がそのウラン疑惑を真 実だと証明できないなら、誰かそれを証明できる調査官を捜したほうがいい。わたしはそ のウラン疑惑が真実だと確信しているし、世界も私の考えを納得するだろうからね』と言 いました」

http://www.iraqwar.ru/iraq-read_article.php?articleId=11404〈=en

★米CBSニュースの失態

7月10日のCBSニュース・comは、「ブッシュはイラク諜報がニセモノだと知って いた」という大見出しで、「CIA職員はホワイトハウスの国防委員会に、イラクがアフ リカからウランを買おうとした情報は、裏付け証拠がないのであてにならないと以前から 警告していた」というセンセーショナルな記事を載せた。

ところが、数時間後に同じCBSニュース・comを開けると、ホワイトハウスから圧力 がかかったのか、いつのまにか記事の内容がブッシュ擁護に取り替えられ、見出しもまる で正反対の、「CIAは大統領のイラク演説に、OKサインを出した」に替わっていた。

http://www.takebackthemedia.com/cbscia.html

★誰のせい?

テネットCIA長官が、「すべては私の責任だ」と声明を出し、イラク・ウソ情報の罪を 一人でかぶろうとしているが、CNNは以下のような質問で、ネット世論調査を行った。

「大統領の一般教書演説で、イラクの核開発についてのウソ情報が入っていたのは誰のせ いか?」

英国諜報局のせい・・・・・2% (268票) CIAのせい・・・・・・・5% (948票) ブッシュ大統領のせい・・・93% (16533票)

http://www.takebackthemedia.com/cbscia.html

★われわれは米軍を追い出す

イラクの米軍は毎日、25回もの攻撃を受けている。ゲリラ指揮官の一人、カリードは、 記者のインタビューにこう答えた。

「戦争が終わったあと、われわれイラク人戦闘員がが消えていなくなると考えていたのな ら、アメリカは大きなミスを犯したことになる。 われわれは、米軍兵士よりも有利だ。なぜなら、われわれイラク人戦闘員は、ゲリラ戦が 正義の戦いだと信じているのに対して、彼らはいやいや戦っているからだ。 また、われわれはイラクを侵略者から取り戻すために命を惜しまないのに比べて、彼らは 死ぬのを怖がっている。だから、われわれは米軍に勝てるのだ。

http://www.thedailycamera.com/bdc/middle_east/article/0,1713,BDC_10836_2099194,00.html

★泣き、怒鳴り、悪態をつく兵士の妻たち

フォート・スチュアート基地からイラクに派遣された兵士のうち、すでに7人が戦死して いる。いつまでたっても帰って来られない夫に、銃後の妻たちの不満は、爆発すんぜんに まで達している。 基地内で、夫がイラクに駐屯する妻たち800人が集まった。集会の進行役のルシアはそ の時のようすをこう語った。

「兵士の妻たちは、夫を早く帰してくれと、泣き、怒鳴り、悪態をつき、叫んでいまし た」

妻たちはまた、夫の人格が変わって帰ってくるのでは? と心配をしている。兵士の妻・ ヴァレリーはこう言う。 「それが一番、怖いんです。いくら志願兵だといっても、イラクで何人も殺したら、すぐ に忘れられるものじゃないと思うんです。夫が別人になってしまうんじゃないかと、恐ろ しいんです」

実際、湾岸戦争が終わったあと、ある米軍基地では、帰還兵の50%もが離婚してしまっ たという調査結果が報告されている。

http://www.truthout.org/docs_03/070503B.shtml

★息子たちの血は、石油よりも・・・

ラリーの二人の息子は、イラクにいる。32歳のブランドンはバグダッドに、25歳のブ ライスはティクリットに駐屯していて、今も戦っている。

「息子たちをアメリカに帰してくれ」と、自宅の前で抗議するラリーの写真が、バルチモ ア・サン紙に掲載された。ラリーが持つプラカードには、二人の息子の写真が貼られてあ り、その横に、「イラクの石油は、私の息子たちの血を犠牲にするほどの価値はない!」 と手書きされていた。

http://www.commondreams.org/headlines03/0711-04.htm

★USO・ウソ・アメリカ

私ごとで、失礼いたします。 TUPのみなさんのサポートにより、イラク戦争の本を書かせていただきました。 「USO・ウソ・アメリカ、帝国現地レポート」という題名で、今週、リベルタ出版から 発売になりました。

帯のコピーは、「まっ赤な嘘は、石油泥棒のはじまり!」です。お手にとって、ご覧くだ されば幸いです。

http://member.nifty.ne.jp/pub-liberta/kaigai-b.html#Anchor505

★イラクの名もない犠牲者たち(予告編)

今度は、ラハードが隠れる番だった。 9歳の女の子・ラハードは、ユーフラテス川の岸辺にある街・ファルージャの静かな住宅 街で、もう2時間も友だちと「かくれんぼ」に夢中になっていた。ラハードが近所の家の 壁ウラにしゃがみこんで隠れていると、一緒に遊んでいる友だちではない誰かさんに見つ けられた。それも上空から・・・。

「戦車つぶし」と異名をとる米国製Aー10ヘリコプターは、空中で「8」の字を描き ながら旋回していた。米国防総省が持つ兵器の中でも、とりわけこのヘリコプターは、最 新の高性能ハイテク機器が搭載されており、正確に目標を識別する機能まで備えている。

3月29日、午後5時30分、操縦士は眼下に見える路地に向かって、爆撃を開始し た。「デージー・カッター」と呼ばれる爆弾は、路面からはね返り、地上数十センチのと ころで爆発した。まっ赤に焼けついた榴散弾の破片は、戦車ではなく、周りの家々に炸裂 した。  この爆撃で、ラハードと10人の子供たちが殺され、12人が傷を負った。また、3人 の大人も同時に殺された。

(抄訳・パンタ笛吹・TUPチーム)

http://www.truthout.org/docs_03/070703G.shtml