TUP BULLETIN

速報191号 03年10月13日 帝国現地レポート(18)

投稿日 2003年10月13日

DATE: 2003年10月13日(月) 午後2時44分

パンタ笛吹の帝国現地レポート(18)

日本では、イラクへの自衛隊派遣で論議が激しくなっているようですね。 こちらでは、ブッシュ大統領たちがオールスターで、「戦争は正しかった」 キャンペーンを繰り広げています。  いくら「イラクは想像するよりずっと安全」なんて言っても、米兵襲撃のニ ュースが数時間おきに入ってくるので、あまり説得力はないようです。

それでも今朝の新聞では、「トルコが援軍を送ってくれるから、未来は明る い」という論説や、「こんなきびしいときだからこそ、大統領を信頼し、イラ クの米兵をサポートしよう」なんて投書が載っていました。  そこで今回のレポートは、「イラク特集」をしてみました。

(バンタ笛吹/TUP)


★WMD(大量破壊兵器)は、見つからなかった

以下にあげるのが、イラク兵器調査団長ディビッド・ケイによる、米議会で の調査報告である。

*われわれは、貯蔵された大量破壊兵器をまだ発見してはいない。 *われわれは、移動生物兵器製造車の存在を確かめられてはいない。 *イラクは、1991年以来、大型の化学兵器プログラムを持っていない。 *われわれは、イラクが1998年以来、実際に核兵器を製造しようとしたと  いう証拠をまだ見つけてはいない。

http://www.commondreams.org/views03/1009-07.htm

★さて、どちらがホントだろう?

*戦争賛成派のCNN司会者のインタビューに、パーキンス陸軍特務員はこう  答えた。  「実際、イラクの人々は、われわれ米軍がいてとても幸せそうだ。キルクー  クの住人はわたしにこう言ったよ・・・  『米軍が駐留してくれてほんとうにうれしいです。イラク人は米兵を愛して  います。助けてくれてありがとう』とね。  われわれは現地で、イラクの人々に感謝されることが多くて、そのたびに感  動するよ」

*バグダッド駐留軍の下で働くイラク人警官サミ・ジャリルはこう言った。  「真実はもうはっきりしています。アメリカはイラクの人々にすてきな贈り  物と安全をもたらしにきたと言いふらしていますが、残念なことに、イラク  人はアメリカ人を憎んでいるんです」  また、ジャリルの上司である米兵・ポランド軍曹は、こう吐き捨てる。  「米軍は、この国からそそくさと出ていかなくっちゃヤバイぜ」

http://www.counterpunch.org/leupp10032003.html

★やらせ投書がアメリカ中の新聞社にまいこんだ!

イラク駐留の503部隊の11人の兵士から、それぞれの出身地である11 の地元新聞社の投稿欄に手紙が届いた。 そのすべての手紙には、イラクの状 況はすばらしく好転しているから誇りに思ってくれと書かれている。

それもそのはず、その11人の手紙は、差出人の兵士の名前が違うだけで、 文面は、一字一句、まったく同じだったことが判明した。  米国世論が、イラクの泥沼化にいやけがさしてきているので、誰か? が ヤラセの投書作戦を始めたのだろう。 新聞社が調べたところ、11人の中に は、手紙が自分の名前で送られたことを知らなかった兵士もいた。  以下が、11人が書いた(同じ)文面の一部である。

「私たちはイラク人警官を訓練し、水道と下水を修理したので、大人たちは私 たちに感謝の気持ちを込めて手を振り、子供たちは握手しながらサンキューと 言ってくれます。  米軍の援助の功績により、イラクの人々の安全と生活の質は一段と改善され ています。街はきれいになり、商店は繁盛し、子供は学校に行っています。  私はイラクでの任務に誇りを感じています。 ですから、私の出身地のみな さんも、イラクの改善を、誇りに思ってください」

http://www.commondreams.org/headlines03/1011-08.htm

★ラムちゃんもビックリ!

「いちばん驚いたのは、サダムの残党が、他のイラク人たちを恐怖のどん底に 落としいれる能力を持っていたことだ。  米兵への襲撃回数? わが連合軍は毎日、1700回のパトロールをするか ら、襲撃回数は非常に少ないといえる。 まあ、米兵は殺されているけど、パ ーセンテージにしたら、1000分の1だからね。  それより、わが軍がイラクで達成した成果は、すばらしいものがある。 学校も病院も中央銀行も開いたしね。戦後復興は時間がかかるんだ。日本は14 年以上かかったのに、イラクでは数ヶ月でここまで達成したんだ」

ラムズフェルド国防長官 (10月10日の講演会にて)

http://story.news.yahoo.com/news?tmpl=story&cid=542&ncid=703&e=1&u=/ap/20031010/ap_on_go_ca_st_pe/rumsfeld

★バグダッドの安全は、子供たちにまかせた

米兵から50ヤード離れたところで、10歳のムハマッド少年は、弾丸の詰 まった、すぐにでも発砲できるAKー48機関銃を、片手でぐっと握りしめて いる。  おもしろ半分でムハマッドに機関銃をわたして、自分はそばで丸腰で踊って いるのは、ジーンズとスニーカーをはいた20歳の警護員カディームだ。  カディームは少年に銃を持たせたままこう言った。

「米兵がボクらをちゃんと訓練してくれたよ。もし誰かがボクを殺そうとした ら、ボクは銃で撃てるし、もし誰かの車が検問で止まらなかったら、機関銃を ぶっぱなすさ」

カディームはホームレスだ。昼は銃を持って警護員をし、夜は友人の家を泊 まり歩いている。父はフセイン政権に殺され、母は10年前に国外に逃げた。  カディームたち、若いイラク人警護員を訓練した米兵は言う。

「ああ、オレたちはヤツらを2回訓練したよ。ヤツらは銃の使い方を覚えたみ たいだった。中にはしっかりしたヤツもいるけど、まあ、ほとんどのヤツらは ちっちゃなガキのようだったよ」

http://www.sunspot.net/news/nationworld/iraq/bal-te.iraq09oct09,0,5834145.story?coll=bal-home-headlines

★クルド人がトルコに宣戦布告か?

クルド民主自由連合(KADAK)は、トルコとの戦争準備のため、兵力の 半分を、すでにトルコ領土内で戦闘配置につけていると発表した。  スポークスマンのシアー氏は、「トルコはクルド党との約束をことごとく破 っており、その結果、もう戦争は避けられない。今度の戦闘は、以前のような 山岳地帯ではなく、トルコ内の都市での戦いになるだろう。  クルド人は、トルコとの開戦を恐れてはいない。数万人、いや数十万人のク ルド人兵士が、戦闘の準備ができているのだから」と語った。

・・・こんな状況で、トルコ兵1万人がイラク統治評議会の反対を押しきって 米駐留軍に合流すれば、イラク内のクルド勢力との混乱は避けられない。  ちなみに、CPAのブレマーは、イラク統治評議会の反対意見書をもみつぶ し、メディアへの公開を禁止した。

http://www.rosbaltnews.com/2003/10/10/64342.html

★テロとの戦争で、兵器商人はボロ儲け

ブッシュ大統領がテロとの戦いを宣言してからのこの2年間、米国産兵器の 輸出量は、うなぎのぼりに拡大している。  世界の兵器の実体を数字にしてみると・・・

*毎年、500000人が通常兵器で殺されている。毎分一人のペースだ。 *いま世界では、6億4千万の小型兵器が出回っている。それらは、98カ国  にある1135の会社で製造されている。 *この6月現在、イラクには、2千4百万丁の銃が出回っている。女性や子供  も含めて、全国民一人に一丁の割合だ。 銃一丁、10ドルで買える。 *世界の紛争地帯で、300000人の子供たちが銃を持って戦っている。

http://truthout.org/docs_03/101103C.shtml

★危なすぎて、ボランティアもできない

イラクでは600人の国連係官が活動していたが、治安悪化を理由に、いま では38人に減っている。  人道支援をしている各国のNGOも、そのほとんどの援助員がすでにイラク を引き上げてしまい、現地人に活動を任せている。  まだ滞在を続けている「国境を越えた医師団」のデールマン医師はこう語っ た。 「イラクの人々は混乱していて、この国で活動する外国人はすべて米軍のため に働いていると勘違いしています。それが危ないのです。  おだやかな一日、ふつうに働いていると、ドッカーン! と爆発や銃撃が起 きるのです」 ニューヨーク・タイムス紙 10月11日

http://truthout.org/docs_03/101203A.shtml

★イラク戦前のうらばなし

今年2月、イラク暫定統治の初代責任者、ガーナー元将軍は、戦後バグダッ ドに連れていくスタッフを準備していた。  国務省からは復興専門の係官20人が加わる予定だったが、ラムズフェルド 国防長官はガーナー将軍に、「16人カットして4人だけにしろ」と命令。  パウエル国務長官は激怒して、「どこまで乱暴にこのゲームをしたいんだ? わたしだって、国防省から人質をとることができるんだからね」とけんけんが くがく。  けっきょく、国防省が勝って、イラク復興に最も知識のあった15人が削ら れてしまった。  ネオコンによるイラク派遣員の審査は度を超していて、医療サービス従事者 は、すべて、妊娠中絶反対の医師から選ばれた。

http://www.truthout.org/docs_03/100203H.shtml

★イラク戦後のうらばなし

5月、クビになったガーナー元将軍のかわりに、ブレマーがイラク復興の責 任者になった。ブレマーはイラクに着くなり、バース党員の官僚を、上から6 ランク下までクビにした。  バグダッド駐在のCIAチーフは、「ああ、これで、30000人から50 000人のバース党員を怒らせて、地下に追いやってしまった」と嘆いた。  ブレマーは次に、イラク陸軍を解散させ、給料をストップすると発表。 前述のCIAチーフは、「そりゃあまた、350000人も激怒させてしまっ てまあ、彼らは武器を持ってるんだぜ」とあきれはててしまった。

http://www.truthout.org/docs_03/100203H.shtml

★GHQがゴー・ホーム・クイックリーの略なら・・・

バグダッドの外交官は、ブレマー率いるCPAについて、こう言った。 「CPA? それは、C=偉ぶって P=恩着せがましい A=アメリカ人 の略ですよ。彼らはサダムの豪華な宮殿の中で、どで〜んとふんぞりかえって いるんです。まるでカイコの中に閉じこもるようにして、書類を書いているだ けです。  800人もアメリカ人職員がいて、アラビア語を話せるのがたったの17人 そして、イラクの専門家といったら一人だけ、バカげています」

"CPA stands for the Condescending and Patronizing Americans," http://www.truthout.org/docs_03/100203H.shtml

★占領は、レイプ結婚?

古代ケルト民族やエチオピアでは、女性を誘拐しレイプした男性が、もし 「正しい解決」をはかるなら、女性とその家族のためにも、結婚するのがいい とされていたという。そうすることによって、レイプの罪は帳消しになった。

民主党の大統領候補たちは、「ブッシュ政権はウソをついて戦争を始めた」 と非難しながらも、「このまま放っておけないので、占領を続ける」と言って いる。 「爆撃してめちゃくちゃにしたから駐留してあげる」というのでは、 レイプ結婚と同じことではないか?

1991年、マイク・タイソンがデシリー嬢をレイプした後、こう言った。 「さあ、もうこれでオレを愛してくれるだろう」

http://www.counterpunch.org/leupp10032003.html

(翻訳・パンタ笛吹/TUPチーム)