TUP BULLETIN

速報194号 03年10月15日 星川 淳のピースウォッチ#3

投稿日 2003年10月15日

FROM: Schu Sugawara
DATE: 2003年10月15日(水) 午後9時42分

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■ □■  ★≡ 星川 淳のピースウォッチ #3(03.10.15) ■
■■  ■ for TUP   ■□
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………………… 気になる海外ニュース&論考をダイジェストで …………………

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> 表舞台に登場するイスラエルの核
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★≡長年、公然の秘密とされてきたイスラエルの核兵器が、12日のロサンジェ
ルスタイムズ紙スクープによって、中東問題の表舞台に上がりそうな気配です。
米政治批評ウェブログの老舗 TomDispatch から、関連記事をまとめて紹介しま
す。http://www.nationinstitute.org/tomdispatch/index.mhtml?pid=1005
1960年、イスラエル国会で原子炉建設の事実を認めたベングリオン首相は、
「平和目的に限定する」と答弁していました。どこかで聞いたような……。いず
れにせよ、核施設の空爆は放射能惨事を引き起こす可能性が大きいはずです。
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米政府とイスラエル政府の複数の高官は、イスラエルが潜水艦から発射する核
ミサイルを開発し、配備態勢にあることを証言。イラクやパレスチナ情勢の泥沼
化に加え、イランの核開発をめぐって緊迫する中東に、新たな懸念材料が現われ
た。イスラエルは1950年代から密かに核開発を進め、すでに水爆を含む20
0発程度の核弾頭を保有すると考えられているが、アメリカをはじめ西側の黙認
によって核不拡散(NPT)条約への加盟も免除されたまま、中東諸国に対する
隠然たる抑止力を行使してきた。しかし、周辺諸国のミサイル射程が伸びるにつ
れ、陸上と航空機からの核攻撃能力が脅かされたため、潜水艦発射の核ミサイル
により反撃と先制攻撃の選択肢を確保することが開発の動機。潜水艦は90年代
に発注した3隻のドイツ製新造艦、ミサイルはアメリカ製のハープーン型を改造
したものと思われる。これで、イスラエルは地上基地発射型、アメリカのF15
およびF16戦闘機搭載型と合わせて、陸海空からの核攻撃能力を備えたことに
なり、中東の不安定化とともに、さらなる核拡散につながりかねない。【米LA
タイムズ紙】

Israel Adds Fuel to Nuclear Dispute
By Douglas Frantz, Times Staff Writer
October 12, 2003
http://www.latimes.com/news/nationworld/world/la-fg-iznukes12oct12,1,2143506.story
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ドイツのシュピーゲル誌によれば、イスラエル政府は二か月前、秘密工作機関
モサドにイラン国内の原子力施設攻撃計画の立案を指示。イスラエル空軍は計画
にしたがって命令実行態勢を整えた。いっぽう、イスラエル与党有力議員は陸軍
向けのラジオで、LAタイムズのスクープ(上記)を、イランの核開発疑惑から
世界の目をそらすものと非難。モサドは、イラン国内に従来知られなかった3つ
を含む6か所の原子力施設があり、すでに兵器級ウラン製造が可能で、核兵器開
発を阻止するには施設破壊が必要と判断した。攻撃はアメリカ製F16戦闘機に
よって6か所同時に行なわれる予定だという。イスラエル当局は、アメリカ製の
ミサイルに核弾頭搭載用の改造をほどこすことについて米側から異論は出ておら
ず、「ハープーンの使用説明書にも改造禁止の指示はなかった」と述べる。【イ
スラエル、ハアレツ紙】

Report: IDF planning to attack nuclear sites in Iran
By Nathan Guttman
October 12, 2003
http://www.haaretz.com/hasen/spages/348730.html
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シャロン首相はイランの核開発について、「イスラエルに対する最大の脅威」
と断定し、「イランの過激政権による核兵器保有を遅らせるか、阻止するために
米政府と綿密な連携をとっている」と語った。イラン核施設の爆撃任務につくイ
スラエル空軍パイロットによれば、作戦は1981年に行なったイラクのオシラ
ク原子炉爆撃より複雑だが、実行可能だという。イスラエル軍情報司令官はさる
8月、イランの核開発を放置すれば来夏には手遅れになるとの見方を示していた。
ある米政府高官は陸軍向けのラジオで、「アメリカは現在、イランに対する武力
攻撃の計画を持たないが、“クレイジーな”イスラエル人たちが何をするかはわ
からない」と述べた。【イスラエルインサイダー、ウェブマガジン】

Der Speigel: Israel preparing strike to take out Iranian nuclear sites
By Ellis Shuman
October 12, 2003
http://web.israelinsider.com/bin/en.jsp?enPage=ArticlePage&enDisplay=view&enDispWhat=object&enDispWho=Article%5El2851&enZone=Security&enVersion=0&

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> ある内部告発者の18年
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★≡もうひとつ、イスラエルの核関連で忘れてはならない人がいます。1986
年、イスラエルが極秘で進めていた核開発の事実を世界に公表し、同国諜報機関
に捕えられたうえ、反逆罪で懲役18年の刑に服した原子力技術者モルデカイ・
ヴァヌヌです。ヴァヌヌは1976年から85年までネゲブ砂漠のディモーナ核
施設で働き、イスラエルが核兵器用のプルトニウムを製造していることを知りま
した。86年にロンドン・サンデータイムズ誌のインタビューに答えてこの事実
を語ったあと、9月30日にローマで逮捕されたのです。現在、イスラエルは世
界第5位か6位の核兵器保有国ですが、それを止めようとした勇気ある内部告発
者は、11年の独房生活に耐え、来春には残り7年の刑期を終えて釈放される予
定です(シャロン政権が新しい拘禁理由を見つけなければ)。支援者によれば、
現在も核兵器反対の姿勢を崩していないとのこと。【フィリピン、トゥデイ紙】

Anniversary of a whistle blower
By RENATO REDENTOR CONSTANTINO
October 5, 2003
http://www.abs-cbnnews.com/NewsStory.aspx?section=Opinion&OID=35147

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>  クリントンの知られざる対テロ戦争
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★≡元国連大量破壊兵器査察官スコット・リッターとの共著『イラク戦争』(合
同出版)などの著作があり、現在は有力独立系ポータルサイトの編集長もつとめ
る筆者が、クリントン政権と保守勢力との知られざる死闘を掘り起こしたシドニー
・ブルメンタール著『クリントンの戦い』(THE CLINTON WARS by Sidney
Blumenthal)の内容を紹介。邦訳の価値がある本かもしれません。
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現在、誤ってつくられたイメージと異なり、クリントン政権は歴代米政府の中
でもっとも国際テロ対策に力を入れ、アルカイダとオサマ・ビンラディンについ
ても厳しい追求を続けた。世界各地のテロ細胞を潰し、米大使館などへの爆弾攻
撃計画をいくつも阻止した事実は、安全保障上の理由で最近まで公にされなかっ
た。しかし、共和党と新保守主義的なメディアの頑固な妨害によって実効を上げ
られなかった対策も多く、実際はVXガスの先駆物質が検出されたスーダンの工
場ミサイル攻撃のように、意図的な歪曲報道が国内外の目を本質からそらした例
も少なくない。さらに反クリントン色を鮮明にするブッシュ政権への交代で、実
効を上げていた対策やデータの大部分がお蔵入りになってしまった。クリントン
政権がめざしたテロ対策に保守陣営があれほど抵抗せず、ブッシュ政権に引き継
がれていたら、9・11は防げた可能性が大きい。こうした事実をていねいに掘
り起こすと、いまになって的外れなテロ対策を強行する共和党やネオコン勢力の
真相が浮かび上がる。【トゥルースアウト・ウェブサイト】

The Sins of September 11
By William Rivers Pitt
truthout.org
October 13, 2003
http://www.truthout.org/docs_03/101303A.shtml

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イラクの泥沼化を見通していたスコット・リッターが、英BBCの番組で英米
政府の戦争をあらためて糾弾し、米主導のイラク探査グループ(ISG)による
中間報告を徹底批判しています。
http://news.bbc.co.uk/olmedia/cta/progs/03/hardtalk/ritter06oct.ram
[月刊『世界』の次号にはリッター氏の書き下ろし寄稿掲載予定]

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> イラク従軍兵士の怪死原因はワクチンか?
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★≡イラク戦線に従軍した米兵やジャーナリストが原因不明の突然死に見舞われ
ていることについて、これまで非公式に疑われてきた劣化ウランの影響以外にも、
炭疽菌と天然痘のワクチンに注目が集まっています。現在までに、2人が肺炎で
死亡したほか、17人が酸素呼吸器治療を受けたと公式報告されているものの、
UPI通信は17人の突然死を確認。若く健康な被害者の急死に、遺族は疑問を
隠せません。一部には肺水腫や膵臓肥大が見られ、死の直前に帰国したさい、天
然痘ワクチン(種痘)の注射跡を家族が見ていた例もありました。また、炭疽菌
ワクチンの注射後、血栓によると思われる脚部の激痛を訴えた経験のある兵士が、
死の直前に同じ痛みを訴えたこともわかっています。炭疽菌・天然痘ワクチンは、
公式には穏やかな副作用しかないとされていますが、2000年に炭疽菌ワクチ
ン摂取で血栓症を含む生涯の重症をわずらった兵士がおり、今年4月には女性民
間人医師がイラク従軍に向けた天然痘と炭疽菌ワクチン注射で死亡、3月にも、
2人の医療従事者が天然痘ワクチンの副作用と思われる心臓発作で死亡と、関連
性の疑われるケースが重なっています。【UPI配信】

Mystery Blood Clots Felling U.S. Troops
By Mark Benjamin
United Press International
October 6, 2003
http://www.upi.com/view.cfm?StoryID=20031006-113325-5591r

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> 中国軍15万人、北朝鮮国境配備の真意
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★≡辛口な調査報道で知られるマイケル・ルパートのサイトから、中国が最近、
北朝鮮国境地帯に15万人の兵士を配置し、同地域の道幅を拡張しつつある動き
について、元米軍特殊部隊およびウェストポイント陸軍士官学校教官経験者スタ
ン・ゴフが分析します(全文は有料)。
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朝鮮半島情勢を理解するには、つねに中国、ロシア、日本、そしてアメリカを
含む地政学を読まなければならない。中長期的に見ると、枯渇する石油資源をめ
ぐって中国と米国の利害衝突は避けられないし、短期的には、ロシアの石油パイ
プライン・ルートをめぐる日中の綱引きもあろう。しかし、日本の朝鮮併合から
戦後の朝鮮戦争と94年の半島危機を経て現在にいたる経緯を踏まえるなら、統
一を求める韓国・北朝鮮両国民の念願と、アメリカによる軍事占領への反発に加
え、北朝鮮と長い国境を接する中国の真意が今後の決定要素となる。半島に関す
るクリントン、ブッシュ両政権の冒険主義は実らず、隣国の安定と大量難民発生
阻止を国益とにらんだ中国の関与が、東アジアの求心力を日本から中国へとさら
に移行させていくのではないか。15万人の兵員配置は、アメリカの暴走を牽制
しつつ、事態の平和的収拾に向け舵取りしようとする物理的シグナルと見るべき
だ。【フロム・ザ・ウィルダネス出版サイト】

KOREA, CHINA, AND THE US
by Stan Goff
(Special to From The Wilderness)
http://www.fromthewilderness.com/free/ww3/101403_korea_summary.html

(抄訳解説:星川 淳/TUPメンバー)