DATE: 2003年11月7日(金) 午後1時54分
パンタ笛吹の帝国現地レポート(21)
今日、地元の公共ラジオを聞いていたら、「ヘリコプター撃墜特集」をして いました。19歳の女性兵士も含めて、15人が死んだというのに、ブッシュ 政権からは、ぽんぽんと楽天的な言葉が飛び出すので、驚いてしまいます。
今回のレポートは、日本のメジャーニュースには載りにくい「イラク報道」 を集めてみました。 (バンタ笛吹/TUP)
★ヘリコプターが撃墜されたあと・・・
「イラクは平和になっているかというと、ずいぶんと平和になっている。 米軍がこの戦争に勝ちつつあるかというと、われわれは勝ちつつある」 ウォルフォウィッツ国防副長官
「米軍ヘリコプターを攻撃した連中は、サダム時代に拷問で囚人の指を切り落 としていたのと同じ悪者たちだ。 米国民は良識があるので、米国内でテロリストと戦うよりも、イラクで米兵 が彼らと戦う方がましだと理解してくれていると思う」 ラムズフェルド国防長官
「イラクにおけるこれらの怒濤のような攻撃は、戦略的に考えれば、それはた いしたことはないのだ。わが軍はいままで通り、攻勢に出つづけるだけだ」 サンチェス・イラク総司令官
「戦死した兵士のご家族にはお悔やみを申しあげる。しかし彼らは、自分たち よりもより崇高な目的をはたして、名誉の戦士をとげたのだ。わが米国を守る という高貴な目的のためにね」 ブッシュ大統領
「アメリカ人はブタじゃ。ヘリコプターを撃墜したんで、わしらはおっきなお 祝いをするよ。アメリカ人は、人類の敵じゃからね」 墜落現場近くにいたイラク農民
http://www.reuters.com/newsArticle.jhtml?type=topNews&storyID=3738738
★PRは、兵士の死よりも大切
ブッシュ大統領は、メディアがイラクの状況について、「悪いニュース」し か伝えていないと自らPRに励んでいる。 そんなおり、イラクの視察から帰ってきた共和党のネザカット議員は、ホワ イトハウスを助けようと、こう報告した。
「イラク戦争後にわれわれが行った復興は、驚くほどの成果をあげている。 これらのすばらしい業績は、米国民に広く知らしめる価値がある。イラクでの 成功のニュースは、毎日二人の兵士が死んでいるニュースよりも、もっと重要 なのだ」
http://www.nytimes.com/auth/login?URI=http://www.nytimes.com/2003/10/16/opinion/16DOWD.html
★問題があっても、ノープロブレム
ウォルフォウィッツ国防副長官がバグダッド視察で、「いいニュース」ばか りにスポットライトを当てたように、ベトナム戦争時代、マクナマラ元国防長 官は戦場視察で、「ベトナムは安全で、すべてはうまくいっている」というふ りをしたがっていた。
マクナマラ元国防長官を案内していた将軍は、「国防長官、われわれはここ で重大な問題にぶちあたっています。長官は無視しようとしていますが、この やっかいな事態を直視してください」と訴えた。 すると、マクナマラ元国防長官は、「わたしは手に負えない問題を聞きに来 たのではない。状況がどんなに好転しているかを聞きたいんだ」と答えた。
http://www.commondreams.org/views03/1030-04.htm
★負傷兵が死なないのは何故?
イラクでは少なくとも千人以上、たぶんその数倍の米兵が負傷している。 ある兵士は手足を吹き飛ばされ、またある者は血だるまになってかつぎ込まれ る。しかし不思議なことに、それら負傷した米兵で「治療中に死んだ」という 報告はゼロである。 負傷兵の100%が生きのびているのだ。われら米従軍医師は「奇跡のヒー ラー」なのだろうか?
国防総省のメディア担当官に「どうして負傷兵が一人も死なないのか?」と 尋ねたところ、ノーコメントということだった。 イラクでは毎日、30回以上の攻撃を受けているという。毎日、数十人が負 傷していると考えるのが当たり前だろう。しかし米メディアは負傷兵がその後 どうなったか、「見ざる聞かざる言わざる」を決め込んでいる。
http://www.commondreams.org/views03/1103-06.htm
★もしテキサスが占領されたら
イラクの野戦病院で負傷兵の治療にあたるケスラン軍医はこう語った。 「バグダッドが陥落して半年がすぎた今も、戦死者がひっきりなしにかつぎ込 まれています。 誰もこんな状況を予想していませんでした。 イラク人たちのレジスタンスを過小評価したのが間違いだったんです。 だって、もしどこかの国がテキサス州を占領したら、わたしたちだって抵抗運 動に立ち上がるでしょうが・・・」
http://www.nationinstitute.org/tomdispatch/
★戦場からの手紙
メアリーの娘、米軍兵士レイチェルは、イラクの路上で爆弾攻撃にあい戦死 した。メアリーは娘の死後、数日遅れで、イラクからの手紙を受け取った。 娘の手紙にはこう書かれていた。 「あと142日でアメリカに帰れます。 『これもまた、いつかは過ぎ去る』 お母さん、わたしはあなたが口癖のように言ったこの言葉を、いつも思い出し ています。 『これもまた、いつかは過ぎ去る』・・・でもお母さん、その言 葉はほんとうなんでしょうか?」
娘を失ったメアリーはこう言った。「今のわたしのいちばん大きな希望は、 ブッシュ大統領の娘たちがイラクに行って、レイチェルと同じことをしてほし いということです。そうすれば、大統領はイラクの現状に対して、もっと賢明 な決断をくだすでしょう」
http://www.nationinstitute.org/tomdispatch/
★100万トンの武器弾薬
米中央指令軍は、イラクゲリラたちの隠し持っている武器や弾薬が、あまり にも大量なので、ゲリラは半永久的に米軍を攻撃し続けることができる、とい う結論に達した。
米軍はすでに数千丁の武器を押収したが、未曾有の量の兵器がまだ隠されて いる。サンチェス司令官の見積もりでは、650000トン、デービス将軍の 見積もりでは、100万トンもの武器弾薬だ。
「われわれは毎日、学校、工場、畑、裏庭などから、武器を発見し、破棄し ている。しかしイラクには数えきれない量の兵器が出回っているため、それら を全部見つけるのは不可能だ」と現地のマーチン軍曹は語った。
http://www.usatoday.com/news/world/iraq/2003-10-26-arms-iraq_x.htm
★米兵は泥棒?
ファルージャ警察署に出向している米軍のシリノ兵長はこう語った。 「われわれ米兵を攻撃しているのは、地元の『自由の戦士』たちなんだ。それ でその『自由の戦士』たちの兄弟や息子たちがここの署の警察官をしている。 だから、テロリストなんて呼ぶと、ここの警察官たちが怒るんだ」
米兵のモラルが問題になっているが、検問や家宅捜査のとき、イラク人たち からお金を強奪する米兵が数多くいる。 そんな泥棒米兵に手を焼いた占領暫定当局は、イラク人の両替商たちに、 「米兵が持ち込むイラク貨幣を米ドルに両替しないように」と命令を出した。
http://www.veteransforcommonsense.org/newsArticle.asp?id=1226
★抵抗勢力の正体、みっけた!
ブッシュ政権は、イラクで米兵を攻撃しているのは、サダムの残党や海外か らのテロリストだと主張している。そう米国民に伝える方が、都合がいいから だ。 しかし、実際にゲリラ活動を行っているのは、イラク人によるさまざまなレ ジスタンス組織だ。彼らの共通した目的は、占領軍を追い出して、イラクを解 放することにある。すでに判明しているレジスタンス組織とは・・・
*イラク国民コマンド戦線 *イラク解放国民戦線 *イラク・レジスタンス軍団 *イラク革命アルアンバー軍団 *ナセリスト・グループ *イラク解放統一戦線 *民主イラク解放連合事務局 *ミルミドン・グループ その他多数・・・
http://www.antiwar.com/justin/j110303.html
★にらみつけたら、殺された
イラク人の世論は、アメリカ人に対してますます敵意を持つようになってい るが、その原因は米兵の理不尽な蛮行にあるという。 バグダッドの街で、イラク人二人にインタビューをした。
「今朝もまた、米兵がイラク人男性を道ばたで殴っているのを見ました。 先日は、イラク人が立ちどまって、米兵をにらみつけたというだけで、その米 兵は彼に向かって3発も発砲しました。わたしたちは大急ぎでそこから逃げま した。 わたしたちは平和に暮らしたいんです。米兵はどうしてこんなひどいことを するんでしょう? まるでサダムと同じです」
「誰でも、自分の国が占領されたら、戦うのは当たりまえです。そうしなかっ たら、いつまでたっても米兵はこの国から去らないでしょう。 もしイラク人が攻撃をしかけなかったら、米軍は自分たちが歓迎された客だ と勘違いするでしょう。誰も彼らを歓迎してはいないのですから」
http://news.bbc.co.uk/2/hi/middle_east/3215137.stm
★捜してもないと分かっていたから・・・
3億ドルかけたイラクでの大量破壊兵器の調査は、何も見つけられずに、失 敗に終わった。特に核兵器調査班は、核開発の証拠などないと分かっていたの で、ヒマをつぶすのに苦労したという。
サダムの宮殿に滞在していた、退屈した核査察員たちは、自分たちのことを 「読書の虫クラブ」と呼んでいたという。 ある査察官はこう語った。 「とにかくヒマでヒマでしょうがなかった。われわれは何もすることがないの で、普通に読んだら、一生では読み切れないくらいの量の本を、バグダッドで 読んでしまったよ」
http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/articles/A17707-2003Oct25.html
★戦争をやめないアメリカ人
第一次大戦中、当時の米兵器産業は、ボロ儲けできるからという理由で、必 要もなかったのにアメリカを参戦させた。1917年、批評家のタウンレイは 米国民に対して、こう演説した。
「われわれ国民は、敵を倒すためではなく、億万長者を増やすために働いてい るのだ。 とほうもない戦費は、兵器産業の儲けで賄ってもらえばいい。 どうしたらこの戦争をやめられるかって? 太っ腹の大富豪たちを戦場に送 ればいいのだ。 彼らは図体がでかいので、やせた若者たちだらけの兵隊の、 かっこうの弾よけになってくれるだろう。 弾丸が飛んできたら、彼ら大富豪たちは、儲けよりも自分たちの命の方が大 切なものだから、すぐにでも戦争をやめるだろう」
http://www.commondreams.org/views03/1030-06.htm
★先制攻撃・・・先代の大統領たちはかく語りき
「わたしは常に先制攻撃に反対してきた。先制攻撃を思い浮かべることさえ避 けてきたのだ。先制攻撃が戦争を防ぐことができると考えることほど馬鹿なこ とはない。平和だけが戦争を防ぐのだ」 トルーマン元大統領
「先制攻撃? 真珠湾攻撃と同じことを米国にやらせようと言うのか? 建国 以来175年もの間、わが国は先制攻撃をするような国だったことは、一度も なかったのだ」 ケネディー元大統領
「予防的な戦争だって? 私にいわせれば、そんな戦争は不可能だ。 戦いを 予防するための戦争なんて、そんなものはありはしないよ。 実際、そんな話 をする人間の言うことなんか、まじめに聞くつもりもないね」 アイゼンハワー元大統領
http://www.nybooks.com/articles/16677
(翻訳・パンタ笛吹/TUPチーム)