DATE: 2003年3月28日(金) 午後11時19分
パンタ笛吹さんが、スコット・リッター氏のインタビューを-翻訳していいか、ダメモトで、ラジオ局に問い合わせてみたら、快くOKが出たとのことです。この許可はパンタ笛吹さんに対してのものですから、ウェブなどへ転載する場合は、パンタさんに問い合わせることをお奨めします。
スコット・リッター氏は1991年から98年までイラクの査察現場で米国人主任査察官として調査をした人物。最近来日して、イラクの実情と、アメリカによるイラク攻撃の無謀さにについて、詳しく証言しました。
TUP翻訳メンバー 菅原 秀
★米英軍は負けるだろう
スコット・リッター(元国連武器査察官)
アイルランドのラジオインタビュー、3月25日放送より
(質問)リッターさん、イラクでの戦闘の展開について、びっくりしていますか?
(リッター) いいえ、実は、私が去年の秋に発行した論評には、戦闘がまったくこんな風に展開すると予告していました。ですから、さまざまな戦況分析を聞くにつけ、私が恐れていた通りになったので、心苦しく感じています。
イラクで今、なぜアメリカ軍が困難に陥っているかというと、国外に追放されたイラク人たちの救いようもないおしゃべりを真に受けたからです。もちろん追放者たちは当然、サダム・フセインを恨んでいますから、こう主張しました。
(a)アメリカの役目はイラクを解放することだ (b)イラクの人々はアメリカが解放してくれるのを待ち望んでいる
だから米軍は、イラクの人々が花を手にして歌を歌いながら歓迎してくれる、と期待してしまいました。しかし厳しい現実では、イラク人は弾丸と爆弾で米軍を迎え撃ってきているのです。
それも、イラク南部のサダムを恨んでいるはずのシーア派までが、反撃しています。それは、ケミカル・アリ(イラクの鬼将軍)がシーア派の人々に銃を突きつけて、「もし戦わなければ処刑するぞ」と脅しているからではありません。
彼らシーア派は、異教徒であるアメリカの十字軍が、聖なるイラクの地を踏みにじっているから戦っているのです。ですから、彼らは米英軍に徹底的に抗戦するでしょう。
どれだけ多くのイラク人を殺戮しようが、アメリカは負けるだろうと私は予想しています。そして最終的には、米軍はしっぽを巻いてイラクから逃げ去るでしょう。
不幸なことに、米軍はイラクの人々に、想像を絶する数の死傷者と損害を負わせるでしょう。アメリカの兵士と海兵隊もまた、大きな代償を払うことになります。
イラク国外の安全な場所に居座って、アメリカ兵にイラク人を殺しまくれと奨励している人たちは、恥を知るべきでしょう。
(質問)そしたらリッターさん、あなたは本当にアメリカがこの戦争に負けると思うんですね?
(リッター)アメリカはヴェトナム戦争でも負けました。米軍は今でも多くのイラク人を殺していますし、これからももっとたくさん殺戮するでしょう。 でも、今のアメリカ軍はこの戦争に勝てるだけの十分な戦闘能力を持ち合わせていません。ですから、かなり大量な部隊の補給が必要です。 今回の部隊配置は、イラク軍が戦う前に降伏し、人々が喜んで米軍を迎えてくれ、世界的なサポートも得られるだろうという仮定によって立案されています。しかし、実際にはそのまったく反対のことが起きています。
今、イラクに展開している米英軍の地上部隊は12万人にも及びません。それだけで、人口2300万人の国で、市街地で集中的に待ちかまえている700万人の兵隊や武装市民と向かい合っているのです。
我が軍はこの戦闘には勝てません。アメリカはこの戦争に負けます。サダム・フセインはたぶん死ぬでしょう。でもね、サダムは皆が予想するよりも、ずっと長く生きのびるかもしれませんよ。
私は、米英軍がバグダッドを攻略できないと思います。 私は、米英軍がバグダッド郊外で立ち往生すると思います。 私は、この戦いがどうしようもない窮地に落ち込むと思います。
アメリカ人の一人として、これらの予想が間違っていてほしいと私は望んでいます。私は海兵隊に12年間所属し、第一次湾岸戦争でも戦いました。ですから、戦争がどういうものか知っていますし、自国を防衛するのがどういうことかも知っています。
これは、「悪い戦争」です。なぜなら、アメリカの自国防衛とは何の関係もない戦いだからです。イラクは大量破壊兵器を持ってはいません。
ブッシュ政権は、世界中に対して、また自国民に対して、膨大な量のウソをつきまくりました。
リチャード・パールやポール・ウォルフォウィッツやディック・チェイニーなど、ネオコン右派のほんの一握りの人間たちのせいで、戦争が仕掛けられました。でも、彼らタカ派が外交政策をハイジャックするのを許したのは、私たちアメリカ国民です。
ネオコン右派は、私の目からすれば信用ゼロに見えるイラク追放者たちの戯言に踊らされて、馬鹿げた作戦を立てました。
もしイラクを追い出された人々が、本当に勇敢で自国を開放したいのなら、自分たちがイラクに戻って戦えばいいんです。後生だから、アメリカに替わりに戦ってくれなんて、頼まないでほしいよね。
(翻訳・パンタ笛吹)
by Fintan Dunne, Editor http://homepage.eircom.net/~gulufuture/news/scott_ritter030325.htm