DATE: 2005年3月25日(金) 午前7時54分
移動と礼拝の自由を求めるパレスチナ人。静かなる戦いに寄り添うドナ
2004年4月イラクで、米軍包囲下のファルージャに人道救援活動のために入り、そ の帰路、地元のレジスタンスによる拘束を経験したオーストラリア人女性ドナ・マル ハーンは、現在パレスチナに滞在しています。ヨルダン川西岸で巡礼の旅を続けてい る彼女は、精神的に相当参っているようです。そのドナが、キリスト教徒にとって聖 なる日「シュロの主日」に、多くのパレスチナ人と共にベツレヘムからエルサレムに 行進しようとしています。移動の自由、礼拝の自由を求める人々と共に行動しようと するドナからの報告です。 (翻訳:福永克紀/TUP)
ドナ・マルハーン シュロの主日――礼拝の自由 2005年3月19日
お友達の皆さんへ
明日は「シュロの主日」、およそ2000年前に、イエスがロバにまたがり聖都エルサレ ムに入ったことを記念する日です。
わたしたち外国からの者は、シュロが打ち振られる中をロバに先導されてエルサレム に向って行進するベツレヘムの人たち――パレスチナ人のキリスト教徒とイスラム教 徒――と一緒に歩いて、今年のシュロの主日を祝うことにしています。
障害がひとつあります――ベツレヘムの人たちはエルサレムに行くことが許されてい ません。
家族を訪問するためでも、医者に診てもらいに行くためでも、買い物でもだめです。 すべてだめなのです。実際、ベツレヘムの人々にとっては、どこかへ行こうというこ と自体が難題なのです。
祈るために聖所に行くことも当然だめです――ですから、移動の自由ばかりか、礼拝 の自由も奪われているのです。
分かりますか、ベツレヘムからエルサレムまで車でほんの20分ほどなんですよ、でも イスラエルの軍事検問所が途中で邪魔しています。監視塔や、鉄格子回転式出入り口 や、積み上げられた土嚢がある人目を引く醜い建物――自動小銃を携えて極端に緊張 した若年兵士が、本当はそこに居たくもないのに配置されている。
この行進は、検問所で兵士からおそらく追い返されるでしょうが、ガンジーの非暴力 抵抗の伝統的方法でともかく通過を試みます。なにが起こるかわかりません。
礼拝の自由、エルサレムへの行き来、イスラエルのアパルトヘイトの壁(隔離壁)建 設を理由とする土地の収容停止などの要求を掲げて行進します。
私が聖地にいて最も悲しく感じることのひとつは、この地の美しさと意義深さにもか かわらず、身の回りの多くのことが決定的に神聖さを欠いていることです。
聖地での聖なる日である明日は、この地に生きるキリスト教徒がこの地の聖所で祈る という権利を過酷な占領が押さえつけ、多くの人の悲しみがさらに深まることになる かもしれません。
イラクの友人たちからの「シュロの主日」について深く考えさせる想いを、皆さんと 分かち合いたいと思います。
(シュロの主日のための聖書日課、マタイ福音書21章1節-11節に基づく) 「告白と悔い改めの連祷」
わたしたちは、ホサナと讃えながら、「十字架に付けよ」と叫んでいます。 [訳注:ホサナ 神を讃える言葉。語源はヘブライ語] 平和を言い表しながら、戦争のために支出しています。 解放を宣べ伝えながら、占領を進めています。 自由をほめ讃えながら、裁くことなしに投獄しています。 弟子たらんと願いながら、ペテロのごとく挫けています。
謙虚な王、ロバを御座とし、シュロと茨を冠とされる、ナザレのイエスよ。 [訳注:キリスト教徒にとって、シュロは平和を、茨は苦難を意味する] あなたの目は群衆の外側に押しやられている民衆に注がれています、 喪服に身を包むイラクの寡婦たちに アブグレイブに監禁されている若者たちに いま家なきファルージャの難民たちに 親を失った子どもたちに 職のない父たちに 汚された正義の回復を求める女性たちに 帰らぬ兵士たちを待つ家族に。
わたしたちの目があなたの目となり、 わたしたちの声があなたの声となり、 そして、わたしたちのホサナの叫びが、わたしたちの命の限り、 正義のために響きわたりますように。
皆さんの巡礼者
ドナより
追伸:ほんとに長く報告できなくてごめんなさい。この一ヶ月、働きすぎで、背負い 込みすぎて、すっかり参ってしまったのです!! 当地の極端に過酷な状況のため、 トラウマを受けてしまって顔や体の皮膚にそれが表れてしまいました。来週からは少 し休みをとりたいと思っています、そうすればくつろいで考えたり書いたり出来る時 間が取れるのではないかと期待しています。
追追伸:私を気遣って書き送ってくださった皆さん、感謝します。ご心配いただき本 当にありがとうございます。
追追追伸:明日はまた、もうひとつの占領[訳注:イラク侵略のこと]の2周年とな る日です。皆さんがたが地元の集会に参加されることを願っています。
追追追追伸:もう数週間聖地にいるつもりですが、多分4月21日にはシドニーに戻る ことになるでしょう。
追追追追追伸:「テロを撲滅する隊列は、軍服を着ているわけではなく、多目的装甲 車に乗っているわけでもなく、空襲をかけてくるわけでもない。最高司令官もいない し、厳重警備も高額予算ももっていない。テロを撲滅できる隊列は、地雷が敷設され た土地を片づけ、子どもたちにワクチンを打つなどの、静かな戦いをすすめるのだ。 軍事独裁や軍事ロビーイストの土台を崩し、搾取工場や利権構造を転覆する。人々が 無力感に浸っていれば変革のための組織化を援助し、人々に気力があふれていれば彼 ら自身の責任を思い起こさせるものなのだ」――作者不明
(翻訳:福永克紀)
原文:Palm Sunday – freedom of worship URL: http://groups.yahoo.com/group/ThePilgrim/message/154