TUP BULLETIN

速報506号 帝国現地レポート(33) 050530

投稿日 2005年5月29日

DATE: 2005年5月30日(月) 午前2時50分

パンタ笛吹の帝国現地レポート(33)

ぼくの住んでいるボルダーはリベラルな平和愛好家が多く、市民の大半が 今でもイラク戦争に反対しています。  市内にあるコロラド大学の1114人の教職員のうち、民主党員が57% いるのに、共和党員はわずか6%しかいないという調査結果が、今朝の新聞 に載っていました。

またこの町は、アメリカでナンバーワンの健康都市にいつも選ばれていま す。  今週末は10キロ市民マラソンがあるのですが、人口9万人の町なのに、 5万人が参加するんです。  ボルダー在住の元オリンピックメダリスト・有森祐子さんも走りますし、 ぼくも50分代前半を目指して走ります。

(パンタ笛吹/TUP)

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★百人の少年たちが鎖につながれている

私が知っているのは、国防総省の高官たちが、アフガニスタン戦争が始ま ったころに、次々に捕まえるアフガン人囚人たちを「無期限に拘束」すると 決心したことだ。  私が手に入れたラムズフェルド国防長官宛てのメモによると、その当時 「13歳から15歳までのパキスタン人少年が、800人から900人拘留 されている」と書かれている。  それらの少年のうち、どれくらいがすでに釈放され、またどれくらいがま だ拘留されているのか、私にはまだ知らされていない。  このメモについて国防総省の広報官に意見を求めると、彼はこう答えた。

「そのメモの中の少年たちの何人がどうなったのか、実証する情報を持ち合 わせていません。しかしいま現在、イラクとアフガニスタンで約100人の 未成年者が拘留されています。  彼ら少年たちは特別な待遇を受けていますが、年が若いからといって出所 がたやすくなるわけではありません。他の囚人と同じようにその人間が『危 険な人物ではない』および『それ以上、情報源としての価値がない』とわれ われが判断した時のみ釈放されます。  残念ですが、われわれに分かったことは、少年だからといって脅威の可能 性が減ることはないということです」

セイモア・ハーシュ  英紙 ガーディアン   5月21日
http://www.guardian.co.uk/comment/story/0,3604,1489115,00.html

★つぶせばつぶすほど増える武装勢力

去年の11月、米海兵隊のジョン・サトラー中将は、ファルージャへの総 攻撃を終えた後「たった今、われわれは武装勢力の『背骨』をへし折ったと 感じている」と語った。

ひょっとしたら米軍は、イラクの武装勢力の分類の仕方を間違えたのでは ないだろうか? 武装勢力は実は「無脊椎動物」でもともと骨がないので、 どんなに骨を粉々にしようと攻撃しても、その衝撃を緩和し吸収してしまう のではなかろうか?

抵抗武装勢力はどちらかというと「たんぽぽ」に似ている。たんぽぽの種 をぶんなぐったら、種はばらまかれて広がるばかりなのだ。敵の拠点だった ファルージャを倒壊させてからすでに7ヶ月がたつというのに、武装勢力は ますます攻撃を激化させている。

多くのアメリカ人は、このまま困難にめげずに頑張り続ければ、状況が好 転するのは当然だと考えているようだ。しかし、ジャック・ニコルソンが映 画の中で投げかけた問いについて、思いをめぐらすのも価値あることだろう。  そのセリフとは・・・ 「もし、いまの状態が最高で、これからはひどくなるばかりだったら?」

フィラデルフィア・インクワイヤー紙 5月23日
http://www.commondreams.org/views05/0523-22.htm

★ファルージャはいま・・・

最近、私はバグダッドの友人からメールを受け取った。彼はファルージャ に住んでいる女性教師の友人と話したばかりだと、その会話の内容を知らせ てくれた。

その女性教師は、米兵が自分の町のまわりに設置した「国境」をくぐらな ければ、ファルージャへの出入りができない。彼女は通行許可証である身分 証明バッジを得るために、指10本全部の指紋捺印と、米軍による網膜スキ ャンを受けなければならなかった。

ところが不幸なことに、彼女はバグダッドの市場で身分証明バッジをなく してしまった。バッジが見つからないまま彼女がファルージャに帰ると、イ ラク国家警備隊の兵士たちは、彼女を市内に入らせなかったという。

彼女がバッジをなくした事情を説明しても兵士は検問所通過を拒否した。 そこへ彼女の隣人が通りかかったので、その隣人が、「この女性は私の近所 に住んでいます」と兵士に訴えたが、それでも許可は下りなかった。

困った彼女は、その隣人から携帯電話を借りて夫に電話し、検問所まで迎 えに来てもらった。夫は、結婚証明書やファルージャ在住証明を兵士に見せ たが、それでもなお、兵士は通過を認めなかった。

おのれの災難話を友人にしながら、彼女は泣いていたそうだ。2004年 11月の米軍によるファルージャ総攻撃で、彼女は9人の親類を亡くしたと いう。 メールをくれた友人は私にこう訴えた。

「もしアメリカが侵略されたとして、占領軍が作った身分証明書しか通用し ないとなったら、あなたたちならどうするんです? その証明書がなければ 自分の住んでいる町にも入れないのなら?」

ダール・ジャマイル  トム・ディスパッチ 5月19日
http://www.tomdispatch.com/index.mhtml?pid=2619_

★アラスカ自然保護区の破壊は、日本の利益?

8ヶ月間のイラク取材を終えて故郷のアラスカに帰ってくると、ここでも また別な種類の「戦い」が繰り広げられている。しかしほとんどの米国民は おめでたいことに、それらの戦いを気にもとめていない。

米上院が、ANWR(北極圏国立野生動物保護区)での石油の試掘を許可 する法案を通したころ、私はアラスカ州のジュノーにいた。 この美しくて 貴重な動物保護区をめぐって、連合国がやったような「戦い」が続いている のだ。

しかし、動物保護区内での採掘により産出した石油は、米国内では消費さ れないということを、採掘支持者のうちの何人が知っているというのだろう?

支持者でも反対者でもいい、どれだけのアメリカ人が、「ANWRで産出 される石油は、そっくりそのまま日本に売却される」と知っているのだろう?

ダール・ジャマイル  トム・ディスパッチ 5月19日
http://www.tomdispatch.com/index.mhtml?pid=2619_

★「地球の肺」がアブナイ

これはまったくもって信じられない話だが、一人の男がアマゾンの熱帯雨 林を壊し続けている。その男の名前はブレーロ・マッギー、ブラジルの大豆 ブームにのって億万長者になった「大豆王」だ。

しかし、環境保護者たちは彼のことを、「森林破壊の王様」と呼んでいる。 アマゾンでは去年だけで、ベルギーの面積に相当する1万平方マイルの森林 が破壊されたが、そのうちの半分はマッギーの大豆会社のあるマトグロッソ 州で壊された。 マッギーの会社は世界最大の大豆生産量を誇り、彼はまた マトグロッソの州知事でもある。  彼が州知事になってから、マトグロッソの森林破壊のペースは二倍になっ た。「罪悪感なんてまったく感じていません。ヨーロッパほどもあるアマゾ ンなんだから、木が少々減ったくらいで、どうということもないでしょう」 とマッギーは言う。

しかし、多くの人々がマッギーの言い分をきっぱりと否定する。アマゾン の熱帯雨林は大量の酸素を生産するので「世界の肺」と呼ばれている。アマ ゾンのジャングルが生きのびることが、地球のサバイバルの鍵になるだろう とも言われている。

どうしてブラジルで大豆生産ブームが起こっているかというと、それは英 国でのBSE(狂牛病)危機がきっかけだ。安全な家畜の飼料として大豆の 需要が急騰したのだ。  その上、ブラジルは遺伝子組み替え大豆の栽培を拒んでいるので、ヨーロ ッパの規格にあい、今では欧州の輸入大豆の65%をブラジルがまかなうよ うになった。  しかも、中国で増え続ける中産階級の人々が、肉をもっともっと食べたが っているので、飼料大豆の需要はうなぎ登りに高まるばかりだ。

環境保護者たちはこの大豆ブームを苦い面もちで、こう批判している。 「大豆ブームは、(アマゾンの広大な)熱帯雨林を飼料生産場に変えてしま っている。これはまったくひどい」

英紙 インディペンデント  5月20日
http://news.independent.co.uk/low_res/story.jsp?story=639814&host=3&dir= 507

★「遺伝子組み替え野菜」もアブナイ

遺伝子組み替え産業の大企業・モンサントが、秘密裏に行った実験結果を 当紙が手に入れたので、その詳細を明らかにする。  この秘密実験で、遺伝子組み替えコーンをネズミに投与したところ、腎臓 が萎縮したほか、血液組織にさまざまな変化をもたらした。

1139ページにのぼる秘密の実験レポートによると、上記の体内異常は 遺伝子組み替えでないコーンを与えたネズミには起こらなかったと記されて いる。  医師たちは、血液組織の変化はネズミの免疫機能が損傷したことを示して いるか、または抗体が新しくできた腫瘍と闘っているために起きた異常では ないかと言っている。

分子遺伝学の専門家であるガイズ医科大学病院のマイケル・アントニオ博 士はこの発見についてこう述べた。 「この実験でネズミに起きたいちじるしい変化に驚いています。医学的な 見地から見て、非常に憂慮すべき発見です」

英紙 インディペンデント  5月22日
http://news.independent.co.uk/world/science_technology/story.jsp?story= 640430

★飛行機が温暖化に拍車をかけている

ますます増える旅客機の本数が、地球の未来を脅かしている。 地球温暖化の原因である二酸化炭素を排出する元凶のなかで、最も急速に問 題となっているのが飛行機だ。  飛行機は汚染物質を高い空の上で排出するので、温暖化傾向により大きな 衝撃をもたらしている。

この問題を解決するために技術者たちは、飛行機の燃料効率を高め有害物 質の排気量を減らす努力をしている。しかし、技術の発達は年間1%の排気 量減少しかもたらしていないのに、旅客機の飛行本数は毎年5%増えている ので、問題は深刻だ。

異常気象による災害は、すでにより頻繁に起きるようになっている。 2003年に襲った酷暑は2万6000人の早死にを引き起こし、135億 ドルの損害をもたらした。  世界規模でいうと、異常気象はすでに年間16万人の命を奪っている。

イギリスでは、干ばつや洪水や異常な嵐の危険性はますます高まるだろう と予想されている。また2100年には、海面水位が88センチも上昇する だろうと専門家は予測している。  もし二酸化炭素の排出量が次の10年から15年の間にピークを迎え減少 しないかぎり、急激な異常気象が壊滅的な結果をもたらすだろうと、科学者 たちは警告している。

英紙 インディペンデント  5月28日
http://comment.independent.co.uk/commentators/story.jsp?story=641973

★エコ・テロリストに動物愛護民兵?

米FBIは「アメリカが現在直面する最も大きなテロの脅威は、民兵化し た環境保全団体や動物愛護者だ」と、驚くべき警告を発した。  FBIは1990年から2004年の間に、「エコ・テロリストや動物愛 護民兵によって犯された1200の罪状に対して、150回の捜査を行った」 と主張する。  中でも、当局に最も注意深く監視されているのが、「ALF・動物解放戦 線」と「ELF・地球解放戦線」だ。

ビル・コットレルは、物理学専攻の大学院生で23歳。彼は2003年8 月、巨大SUV「ハマー」の販売店を爆破し125台に損害を与えた罪で、 懲役8年と罰金3億5千万円の判決を受けた。  この手のエコ・テロリストを、FBIは心配している。

コットレルの仲間たちは、ロサンジェルスのガソリンを大量消費する車両 販売店を襲撃し、「デブでナマケモノの米国人」とか「大気汚染に***!」 などのスローガンを落書きしてまわった。

コットレルの弁護士マイケル・メイコックは、「彼は天才肌で、10代の 始めにはアインシュタインの相対性理論を読み、カリフォルニア工科大学で は、今でも物理学博士号の候補者なのに」と語った。

また被害を受けた「ハマー」販売店主のアルハッサンは、「私にはどうし て彼がアインシュタインからフランケンシュタインに変身したのか、わけが 分かりません」と語った。

英紙 インディペンデント  5月20日
http://news.independent.co.uk/world/americas/story.jsp?story=639789