TUP BULLETIN

速報52号 03年4月14日 帝国現地レポート(7)

投稿日 2003年4月14日

DATE: 2003年4月14日(月) 午後3時04分

パンタ笛吹の帝国現地レポート(7)

今、アメリカのテレビや新聞は、(解放)されて大喜びするイラク人の映像と、大勝利の報道 に溢れている。

僕の住んでいるコロラド州ボルダーでも、「戦争に勝ってよかった」という表情が一般の人々 から感じられる。

平和グループは昨日教会に集まって、これからの活動をどうするか話しあったが、結局このウ ソだらけの戦争犯罪を止められなかった無念さを感じる人たちも少なからずいた。

今朝の地元新聞、デイリー・カメラ紙の読者の声欄には、以下のような市民からの手紙が載っ ていた。

★戦争反対者は、明らかに間違っている

今日、バグダッドの人々が米兵に花を投げ、歓喜に踊っている映像をテレビで見て感動しまし た。それと同時に、反戦デモに参加した人たちはみんな絶対に間違っていると思いました。

私はアメリカが第二次大戦でフランスやユダヤの兄弟たちを救ったように、イラクの人々を独 裁者から自由にしたのを誇りに感じます。今日、私は自分がアメリカ人であることが自慢です。

アンディー・マックロウ

http://www.dailycamera.com

★略奪がまかりとおるバグダッドでは・・・

「この無法状態は、全部アメリカ軍のせいだ」サッファ・カッシムは、略奪者たちから自分の 店を守るため、銃を持ってそう言った。

62歳のガイラン・ラミズは、「サダム・フセインの一番大きな罪は、アメリカ軍にイラクを 占領させたことだ」と吐き捨てた。

13歳のエフィル・フォルカンもまた、商店街に作られたバリケードに、ピストルを持って立 っている。

「ボクの友だちは皆ピストルを持ってるよ。ボクはアメリカが大っきらいだけど、このピストル は泥棒から自分たちを守るためさ」

http://story.news.yahoo.com/news?tmpl=story&u=/ap/20030412/ap_on_re_mi_ea/war_baghdad_s_anger_2

★そのころ病院では・・・

略奪はとどまるところを知らず、彼らは心電図計測器から、未熟児保育器まで盗んでいった。

バグダッドのアル・キンジ病院が武装した略奪者たちに襲われたときもまた、アメリカ兵たち はそれを止めようともしなかった。そのわけを聞くと、米兵たちは、「そんな命令を受けていな いからだ」と言った。

http://www.yellowtimes.org/article.php?sid=1237

★盗まれたのは花瓶一個

バグダッドの博物館やユニセフをはじめ、商店街の約半分がすでに略奪者たちに襲われている のをテレビで見たラムズフェルド国防長官は、(実際の被害はたいしたことはない)と説得する ために、こう言った。

「ある男が花瓶を手に持ってビルから出てくる場面を、テレビで何度も何度も見たら、20回も 見るころには『あらまあ、イラクにはそんなにたくさんの花瓶があったなんて』と思うだろう」

http://www.guardian.co.uk/Iraq/dailybriefing/story/0,12965,935381,00.html

★ラムちゃんのコメント、おまけ

バグダッド略奪騒動についての、ラムズフェルド国防長官の発言、その2。

「自由というのは、まあ乱雑なもんだ。自由になった人々は、間違いを犯す自由もあるからね。 まあ、彼らは犯罪を犯す自由も手に入れたわけだ」

http://truthout.org/docs_03/041403A.shtml

★9/11の仕返し、つまり仇打ちだ!

戦争が始まった翌日、イラクに侵攻したばかりのアメリカ兵は興奮しながらこう言った。

「俺は早くバグダッドに行って、奴らを滅茶苦茶にぶちのめしたいよ。なんてったって、9/1 1の仇は俺がとってやるんだ」

・・・そこで記者が、遠慮がちに、「イラク政府と9/11が関係している証拠は何もないらし いよ」と示唆すると、その若い米兵は、驚きでアゴをはずしたような顔をして、「ええっ、そん なバカな!でもまあ、そんなこたあどうでもいいことだよ」と言った。

http://inthesetimes.com/print.php?id=156_0_1_0

★4月5日だけで、3000人が死んだ

米国防省の推定によると、米軍戦車がバグダッド侵攻をした日、4月5日だけで、死亡したイ ラク人の数は、9/11の同時テロの死者の数をはるかに越えたという。

この3週間の爆撃や戦闘で殺されたイラク人の数は、12年間続いたベトナム戦争で死んだ米 兵50000人をも上回るだろう。

http://www.wsws.org/articles/2003/apr2003/fird-a12.shtml

★「ブツ」はどこへいった?

ブッシュ大統領は2月の一般教書演説で、生物化学兵器の脅威について、微に入り細に入り熱 弁し、国民の戦争賛成を勝ち取った。

「サダム・フセインは、25000リットルの炭疽菌や38000リットルのボツリヌス菌など の生物兵器を貯蔵し、500トンにもおよぶサリンやマスタード神経ガスを隠し持っているの だ」

しかしここ数日、ブッシュ大統領は生物化学兵器については一言もふれず、イラクの人々の (解放の成果)についてしかしゃべらない。

http://www.unitedforpeace.org/article.php?id=1571

★求む、通報者

開戦直前、アメリカの情報局は、生物化学兵器を隠している場所として、イラク内の1400 0箇所を指摘していた。この3週間で、そのほとんどを探し尽くしたが、いまだに何も見つかっ てはいない。

焦ったアメリカ軍は、大量破壊兵器の発見につながる情報を提供した者には、現金で賞金を授 与すると発表した。

http://www.republicons.org/view_article.asp?RP_ARTICLE_ID=838

★戦争はつづく〜よ、ど〜こまでも〜♪

ジョン・ボルトン米国務次官は木曜日、シリアとイランと北朝鮮に、イラク戦争から妥当な教 訓を学びとるようにと強く促した。

(妥当な教訓)を平たく言うと・・・ヘイ、イラクがどんな目にあったかちゃんと見ただろう。 だから、これからは俺たちの言うことを何でも聞けよ。さもないとおまえの国が次の攻撃目標に なるんだぜ。見たとおり、俺たちゃあクレイジーだから、どんなことでもやっちゃうんだから な。

http://www.arabnews.com/Article.asp?ID=25155

★誰も勝ちはしなかった

バグダッドのホテルに一人いて、この戦争に勝者はいないと何度も思った。ただ残ったのは無 惨な殺し合いの結果だけ。ばらばらに散らばった肉体を拾い集める嘆きの家族しか残さなかった と・・・。

昨日、アメリカ軍が3000人ものイラク人の「踊り手」を連れてくるという話を聞いた。彼 ら「サクラ」のイラク人たちに路上で踊らせて、解放されたバグダッドの歓喜を演出するのだそ うだ。

私は、ジャーナリストの中の一部だけでも、そんなヤラセ報道をしないで、誇りを奪われた悲 惨なイラク人たちの真実を伝えてほしいと願うばかりだ。

おお神よ、もしアメリカで、人々がこの戦争の勝利に酔っているとしたら、そして自分たちは イラクの人々を解放したと自慢しているとしたら、私はそれにどう耐えればいいというのだろう か?

キャシー・ブリーン(イラク・ピースチーム) バグダッドにて、4月10日

http://electronicIraq.net/news/625.shtml