DATE: 2005年7月21日(木) 午前7時52分
よかった! 秘密警察に捕まってたんだ・・・
戦火の中のバグダード、停電の合間をぬって書きつがれる25歳の 女性の日記『リバーベンド・ブログ』。イラクのふつうの人の暮らし、 女性としての思い・・・といっても、家宅捜索、爆撃、爆発、誘拐、 検問が日常、女性は外を出ることもできず、職はなくガソリンの行列 と水汲みにあけくれる毎日。「イラクのアンネ」として世界中で読ま れています。すぐ傍らに、リバーベンドの笑い、怒り、涙、ため息が 感じられるようなこの日記、ぜひ読んでください。(この記事は、T UPとリバーベンド・プロジェクトの連携によるものです)。 (転載転送大歓迎です)
(TUP/リバーベンド・プロジェクト:池田真里) http://www.geocities.jp/riverbendblog/
2005年7月15日金曜日
ハリドのために祈る・・・
ラエドから悪い知らせ。弟のハリドが新生イラク秘密警察ムハバラートに 誘拐されたのだ。
私たちはみんな、ハリドが無事でありますように、アッラー(神)が彼の家 族にこの困難を乗り越えることができるよう力をお与え下さいますように、と 祈っている。
Nid3eelek bil salameh wil rijoo3 ila il a7ibeh wil ahal wil 7’irooj min hathih i il mi7neh bi 7’air ya Khalid…
ラエドは「はざまのラエド」(Raed in the Middle)というブログをやってい る。
http://raedinthemiddle.blogspot.com/
ハリドは「秘密を教えて」(Tell Me a Secret)というブログをやっている。
http://secretsinbaghdad.blogspot.com/
(訳注:ラエドたち一家の活動の一端は、「バグダッド・バーニング」4月18 日の項を見てください。)
http://www.geocities.jp/riverbendblog/riverbendblog503.html
訳注(1)ラエドのブログから。
7月12日
今日、家族の一人がバグダードで行方不明になった。生きていますように・・・
7月13日
まだ、見つからない。家族全員と友人たちで、バグダード中の病院、遺体安置 所を探している。全市のイラク警察署、イラク軍拘置所、イラク特殊部隊拘置 所、イラク私兵集団の拘置所、米軍拘置所と刑務所を尋ね歩いている。彼が拘 束されていたとしても、通常2週間は何の情報も提供されないと言われた。 ここで、彼の名前を明らかにしていないのは、もし(非政府系の)集団のし わざだった場合を考えて安全に配慮したためである。
7月14日
さいわい、政府の連中のしわざだった(見出し) 朝7時、母がうれしさいっぱいの大声で私を起こした。「ハリドは無事よ」。 家族の中で、ニキとぼくだけがまだこの「うれしい知らせ」を知らなかったの だ。 ハリドがムハバラート(秘密警察)拘置所から父に電話してきて、生きてい ることを伝えたのだった。ハリドは大学でムハバラートに拘束され連行された と言ったという。父から母とマジェドへ、そしてぼくたちへと知らせが伝えら れた。 ぼくたち家族の喜びようたっら、まるで宝くじにあたったみたいと、人は思 うだろう。母なんて午前中いっぱい、ハリドの行く末をあれこれ、結婚式をど うするかまで計画して過ごしたくらいだ。 地球上のどこかほかのところでは、子どもや家族の一員が2日前に行方がわ からなくなって、秘密警察から電話があったとしたら――とんでもない災難、 人権の侵害と受け止められるだろう。 ところが、イラクでは、うれしい知らせなんだ。 これ以外の場合、どんなことが考えられるか。SCIRI(イラク・イスラム革 命最高評議会)とバドル旅団によって、拷問され処刑されてゴミ捨て場に捨て られる、イラク警察に捕まり車の中に置き去りにされて窒息死する、米軍に捕 まり行方不明になって、何ヵ月もどこかの米軍拘置所で虐待される、無数にあ る犯罪集団の一つに誘拐されて、家族から数千万ディナールを奪われるか、命 を奪われる。 これで、どうしてムハバラートに拘束されているのがいい知らせなのか、わ かったでしょ? 父によれば、ハリドは自分の書いたものかブログのことを何か言っていたと いう。ぼくたちのブログがハリド誘拐の理由かどうかはわからないけれど、あ り得るかもわからない。もしそうならぼくたちは、ぼくたちの政治的理想―― 反暴力、反占領、対話支持、言論の自由支持などわれわれ家族がいつの世にあ ってももち続けてきた信念すべてのために闘う。 目下の目標は、ムハバラートに法廷でハリドの容疑は何か(もしそんなもの があるなら)明らかにさせることだ。
訳注(2)ムハバラートは、サッダーム・フセイン政権下のイラク秘密警察、 情報機関。2003年秋に復活した。
訳注(3)リバーの記述の最後のアルファベットと数字の混じった1文は、 アラビア語でハリドの無事を祈る言葉と思いますが、不明です。リバーに 問い合わせていますが、まだ返事がないためこのまま載せています。 どなたか教えていただけませんか。
(翻訳:TUP/リバーベンド・プロジェクト:池田真里)
★ リバーベンド・プロジェクトよりお知らせ
ハリド誘拐の情報を「ハリドが救出されるまで」というサイトを立ち上げて お知らせすることにしました。一日も早くこのサイトがお役御免になることを 願いつつ。署名のサイトも載ってますので、ぜひ見て下さい。
http://blog.goo.ne.jp/raed_2005/