TUP BULLETIN

速報56号 03年4月17日 帝国現地レポート(8)

投稿日 2003年4月16日

DATE: 2003年4月17日(木) 午前8時29分

パンタ笛吹の帝国現地レポート(8)

10代後半のころ、僕は「愛と平和」の花の子供たち(フラワーチルドレン)にあこが れ、ヒッピーの旅を続けた。79年、ウッドストックの10周年記念コンサートがあると 聞き渡米、そのままこの国が気に入って住みつき、はや24年になる。

ところが近ごろでは、アメリカ人はなんて欲張りでごう慢なんだろう、と腹立たしく思 うことがしばしばある。最新の世論調査では、アメリカ人のほとんどが、この戦争が「す ばらしい大成功」だと満足しているし、万が一大量破壊兵器が見つからなくても「正義の 戦争」だったと思っているという結果が出た。

そんな記事を読むにつけ、この国に住んでいるのが恥ずかしくなるし、アインシュタイ ンの次の言葉を思い出す。

「この世の中にいつまでも変わらない真実が二つある。一つは宇宙の広大さであり、もう 一つは人間のバカさかげんだ」

★母と子の最後の会話

トリスタン・アトキン大佐、31歳は、4月4日のバグダッド空港襲撃で戦死した。ア トキン大佐がクウェートを出発する前夜、母親のルースと電話で口論をした。

「この戦争はウソだらけなの、本当は石油を奪い取るための侵略なんだから、戦場には行 かないでおくれ」

「ママ、僕はテロリストからアメリカを守るために戦うんだよ」

「息子や、おまえがどう教えられたかは知らないけど、イラクと9/11は関係ないの よ。だから行かないで!」

「ママ、僕は自分の仕事をやり遂げに行くよ」

http://seattlepi.nwsource.com/national/117391_mourn14.html

★平気(兵器?)でウソをつく人たち

第一次湾岸戦争の退役軍人のうち、221, 000人が医療身体障害者として病んでお り、加えて、56, 000人が障害者登録を申請している。

3月18日に発表された調査レポート「ウソをつく組織」では、劣化ウラン弾による感 染症が多くのイラク市民を苦しめていると報告された。この調査報告について、ブッシュ 政権は、「サダムによる虚偽のプロパガンダだ」として一蹴、無視した。

http://www.rense.com/general37/sick.htm

★あとは野となれ、山となれ

国防省の報道官、ディビッド・ラパン中佐は、BBCのインタビューにこう答えた。

「劣化ウラン弾が健康に害を及ぼすとした1990年の研究結果は、すでに時代おくれの 調査である。最近のさまざまな研究によると、劣化ウラン弾の長期にわたる悪影響は証明 されてはいない。よってアメリカ軍は、イラクでの劣化ウラン弾破片をきれいに除去する どんな計画もない」

http://news.bbc.co.uk/2/hi/science/nature/2946715.stm

★あるマラソン走者のためいき

レイ・ブリストウは、元マラソン走者。彼は湾岸戦争の時、戦場ではなくサウジアラビ アに留まっていたので、放射能被爆はないものと思っていた。

「あれから数年、走るたびに距離が短くなっていき、疲れがどんどんとたまってきたん だ。最近では、調子のいい日でも、杖なしでは歩けないし、ちょっと長ければ車椅子に乗 って押してもらわなくちゃならない。  この前、カナダの病院での検査してもらったら、私は劣化ウランを、年間許容量の10 0倍も被爆したという結果が出たよ」

http://news.bbc.co.uk/2/hi/science/nature/2946715.stm

★石油のための戦争ではない?

病院から国立博物館まで略奪され尽くしたバグダッドで、米軍戦車と何百人という米兵 に守られて、無傷に残っているビルが二つだけある。それは、石油省ビルと内務省ビル だ。

なぜ内務省ビル?もちろんそれは、中に膨大な機密情報が蓄えられているからである。 石油省ビルは説明するまでもないだろう。イラクの最も価値ある財産、油田についての資 料の宝庫だからだ。それらを、米石油会社に引きわたすまでは、略奪者たちから守らなく てはいけなかったのだ。

http://www.wsws.org/articles/2003/apr2003/iraq-a15_prn.shtml

★博物館の略奪を見て見ぬふりをしたわけ?

イラク侵略が始まる前、アメリカ文化財政策委員会(ACCP)は米国防省高官と数度 の話し合いを持った。このグループは、裕福な古美術品収集家や古美術商の集まりで、ナ チスの略奪品を収集していることでも知られている。

かけがえのないメソポタミア美術品の国外流出は、今までサダム政権が厳しく取り締ま ってきた。だからACCPは、イラク戦争後には、古美術品の輸出規制を緩和するように 米政府に強く働きかけてきたのである。

ケンブリッジ大学の考古学者、カイムストン教授は、「イラクの古美術品規制法は、歴 史的財産を今日まで守ってきた。もしアメリカの古美術商たちがそれらに手を出せば、途 方もなく馬鹿げた結果を招くだろう」と警告している。

http://www.sundayherald.com/32895

★生活の戦いも、命がけ

「私たちのような、子持ちの海兵隊の妻たちは、あまりにも貧しいので、教会が配る食料 お恵みの列に並ばないと食べていけないんです」と、軍人の妻、19歳のナタリー・カス トロは言った。

イラクで戦っている下級兵士の税抜きの月収は、たったの800ドル(約9万6千円) だ。「税金を引かれて、車のローンを払って、保険と医療費を出してしまうと、もうあと には何も残らないんです」とナタリーは嘆いた。

http://www.smh.com.au/articles/2003/04/13/1050172477656.html

★レーガン・ジュニアも怒る

「ブッシュ政権の人たちは、僕の父のことを引き合いに出す権利はないよ。今彼らがやっ ていることは、ひどく好戦的だし、あまりにも拡大主義だし、めちゃくちゃ秘密主義だ。 ただもう腐りきってるよ。僕は彼らを信用なんかしていないんだ」

http://www.salon.com/news/feature/2003/04/14/ron_reagan/index_np.html

★この番組は、アメリカ軍の提供でお送りしました

民間放送を爆撃するのは、明らかにジュネーブ協定違反なのだが、イラクの放送施設を 破壊したおかげで、アメリカ軍はテレビ放送を独占することになった。

イラク国民に自由な報道を味わってもらうために、米軍はアメリカのメジャーテレビ 局、NBC・ABC・CBS・PBSからニュース番組を買い取り放送することが決まっ た。

CBSニュース局長のアンドリュー・ヘイワードは、最初は米軍がスポンサーである放 送に自局番組を提供するのを渋っていたが、説得された後に、「まあこれは、愛国的な行 いだからね」と言った。

ホワイトハウスのフレイシャー報道官は、「イラクで放送される番組は、米国防省とイ ギリス軍で選んで決める。イラクの人々は、ブッシュ大統領のメッセージを歓迎するだろ う」と発表した。

http://www.wsws.org/articles/2003/apr2003/med-a15.shtml

★いちばん大切なのは・・・

ベッテホ・パッサラクワ(イラク・ピースチーム)

アメリカ軍は、バグダッドの町のいたるところに検問所を構築した。私たちはアメリカ 兵のそばに行くときには、神経をぴりぴりと尖らせた。ナップサックや手荷物を持って米 兵に近寄ると、自爆テロと間違われて射殺される恐れがあるからだ。ここバグダッドは、 急にパレスチナに似てきた。

午後は仲良くなったカリード親子と一緒に病院へ子供たちの見舞いに行った。病室で私 は、子供たちに何の希望も与えることができないので、つい泣いてしまった。カリード は、イラクが置かれている事態について、こう言った。

「私はブッシュがイラクの石油欲しさに攻め入ってきたことを知っています。石油につい てですが、ブッシュに全部あげてもかまわないと今では思っています。いちばん大切なの は、モノの豊かさではなくて、ハートの中に愛を感じながら、家族や友人たちと共に生き ることなんですから」

http://electronicIraq.net/news/655.shtml

(抄訳・パンタ笛吹・TUP)