FROM: hagitani ryo
DATE: 2006年1月21日(土) 午後9時53分
速報576号「CIA漏洩事件の闇に迫るフィッツジェラルド検事」は多くの読者が
深甚の興味を持って読んでくださったとのことです。どうもありがとうございま
す。
今回配信する「タイムライン」は、その補遺です
これは、もとは記事執筆の際に内容の正確を期すために作成されました。時系
列で整理した既成の資料はありましたが、検討してみると不正確であることがわ
かり、筆者が自作する必要に迫られたためです。
あのような複雑な事件は、事実経過を時系列的に整理しないと、内容を正確
に把握しにくいものです。
読者の皆さんが、今後何かの折にあの記事の内容を確認したいとお思いになっ
たとき、また、CIA漏洩事件とイラク侵略との関係を押さえたいとお考えになっ
たとき、便利なガイドになることを願っています。どうぞお役立てください。
(TUP/萩谷 良)
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資料/タイムライン
CIA漏洩事件とイラク侵略戦争
<2001年>
01年10月15日
CIA作戦本部(DO)、ニジェールがイラクにウランを
輸送するという「外国政府機関」のレポートを提出、不十
分な情報だとしながらも、事実である可能性はあると認め
る。【2004年7月7日、合衆国上院情報特別委員会報
告書「合衆国情報機関群によるイラクに関する戦前の情報
評価について」より。以下、上院報告書と表記】
REPORT ON THE U.S. INTELLIGENCE COMMUNITY’s PREWAR
INTELLIGENCE ASSESSMENTS ON IRAQ by SELECT COMMITTEE
ON INTELLIGENCE UNITED STATES SENATE, July 7, 2004.
http://www.globalsecurity.org/intell/library/congress/2004_rpt/iraq-
wmd-intell_toc.htm
http://www.fas.org/irp/congress/2004_rpt/
http://intelligence.senate.gov/
国防省情報局とエネルギー局の分析官も同じ意見だが、国
務省情報調査局INRは極めて疑わしいと指摘。【上院報
告書】
レポートの情報源はイタリア軍情報局SISMI(長官ニ
コロ・ポラリ)だったことが後に判明。【上院報告書】
01年10月18日
CIA、「外国政府機関」のレポートに関する報告書を提
出、ニジェール疑惑は他に裏づけとなる情報がなく、ウラ
ンがイエローケーキ(ウラン精鉱)の状態で送られてもイ
ラクにはそれを精製濃縮する施設がないと指摘。【上院報
告書】
ジェイムズ・パビットCIA作戦本部主任、情報源は信頼
性が高いと発言。【上院報告書】
01年11月20日
ニジェールでウランを独占して採掘・管理するフランス合
弁企業の総裁、イラクとの疑惑を全面的に否定。【上院報
告書】
01年12月9日
ハロルド・ロード(国防省)ラリー・フランクリン(国防
省)マイケル・レディーン(ネオコン、AEI)が、マヌ
チャー・ゴーバニファー(イラン人武器商)ニコロ・ポラ
リ(SISMI長官)アントニオ・マルティノ(イタリア
国防省長官)とローマで三日間の秘密会議を開く。
<2002年>
02年2月5日
CIA、同じ「外国政府機関」からの情報に基づき、ニジ
ェールとイランの合意文書について、前回よりも具体的な
報告を提出。【上院報告書】
02年2月12日
国防省情報局(DIA)、「イラクが核兵器用に天然ウラ
ンを求め、ニジェールが年500トンのイエローケーキを
輸送すると合意した」というレポートを提出。【上院報告
書】
02年2月12日か13日
チェイニー、DIAレポートを読み、CIAに意見を求め
る。【上院報告書】
02年2月12日
CIA作戦本部(DO)核拡散抑止課(CPD)に所属す
る元大使夫人、CDPの副主任へのメモで元大使をニジェ
ールへ調査に行かせるよう勧める。【上院報告書】
02年2月13日
CDP、元大使をニジェールへ調査に送る許可を求める。
【上院報告書】
02年2月14日
CIA武器情報・非核拡散・軍備管理局(WINPAC)
の局長、ニジェール疑惑に関する情報は不十分で裏づけを
とるために調査中であるという報告書を提出。【上院報告
書】
02年2月26日
元大使、ニジェールに到着。【上院報告書】
02年3月1日
国務省情報調査局(INR)、ニジェールがイラクと取引
しているとは考えにくいと結論するレポートを提出、ホワ
イトハウスへ送る(チェイニーには届けていない)。【上
院報告書】
02年3月はじめ(日時不明)
チャイニー、ニジェール疑惑に関する最新の報告を求める。
【上院報告書】
02年3月4日
元大使、ニジェールから帰国、口頭で報告。【上院報告書】
国務省情報調査局(INR)、ニジェール疑惑に関する報
告書をパウエル当てに作成、イラクへのウラン販売は疑わ
しいと結論。【公開されたメモより】
02年3月5日
INR、ニジェール疑惑に関する最新の分析を報告、「外
国政府機関」は新しい情報を提供できないが、情報源は信
頼できると言っていると伝える。【上院報告書】(上の報
告書と同じものか?別ものか?)
02年3月8日
CIA作戦本部(DO)、元大使の報告の基づきレポート
を提出、ニジェールから「ならずもの国家」へウランを送
ることは不可能でないとしても極めて困難だと結論、政府
内の各所に広く配布。【上院報告書】
元大使、このレポートはホワイトハウスへ送られ、報告を
求めたチャイニーにも送られたはずだと指摘。【上院報告
書】
02年3月25日
CIA作戦本部(DO)、ニジェール疑惑に関する三回目
(最後)の報告、2000年の合意に基づきニジェールか
らイラクへ送られるウランは年500トンになるという
「外国政府機関」のレポートを紹介。【上院報告書】
02年5月10日
CIA情報本部(DI)近東及び南アジア事務所(NES
A)、イラクの大量破壊兵器に関する報告書を提出、外国
政府機関の情報によるとイラクがニジェールから500ト
ンのウランを獲得しようとしていると報告。【上院報告書】
02年9月8日
ニューヨークタイムズ紙、ミラー記者とゴードン記者によ
るアルミのチューブに関する記事を第一面に掲載し、イラ
ク核開発の脅威を報じる。
チェイニー副大統領、夜のニュース番組「ミートザプレス」
に出演し、ニューヨークタイムズ紙の記事を引用しながら、
イラク核開発の脅威を訴える。
ライス国家安全保障担当補佐官、CNNのインタビューで、
アメリカの市に「キノコ雲」が上がってからでは手遅れだ
と強調。
02年9月9日
国家安全保障担当副補佐官スティーブ・ハドレイ、イタリ
ア軍情報局(SISMI)の長官とワシントンで会う。
(ニジェール・イラクのウラン取引に関する情報を直接に
渡されたか?)
02年9月12日
イタリアの(ベルルスコーニ首相のメディアグループのひ
とつ)週刊パノラマ誌、イラクがナイジェリアから500
トンのウランを獲得しようとしているという記事を掲載。
02年9月24日
ある政府情報機関の高官、上院外交委員会でイラクの大量
破壊兵器について報告し、テネットCIA長官は核兵器開
発に使われるアルミチューブがイラクへ送られたと断言。
イギリス政府、「イラクがアフリカから相当量ののウラン
を入手しようとしているという情報がある」と記述する白
書を出す。【上院報告書】
02年9月25日
政府情報機関群、国家情報評価(NIE)草稿について意
見を調整するため会議を開く。国務省情報調査局(INR)
の分析官だけがイラクのウラン疑惑に関する条項に反対、
CIAと国防省情報局(DIA)とエネルギー省(DOE)
の分析官はイラクがアフリカからウランを入手しようとし
ていると認める。【上院報告書】
02年9月26日
パウエル国務長官、上院外交委員会でイラクがニジェール
からウランを仕入れようとしていると報告。
02年10月(日時不明)
CIA近東及び南アジア事務所(NESA)、機密ハンド
ブックを作成、イラクの核開発に関する条項で、イラクが
核爆弾50発分に相当する500トンのウランをアフリカ
から入手しようとしている可能性があると解説。【上院報
告書】
02年10月
政府情報機関群(全15)の6機関、CIAが中心となっ
て国家情報評価(NIE)を作成、議員や政府関係者へ配
布。
02年10月5日
CIA情報次官捕(ADDI)、ブッシュ大統領のオハイ
オ州シンシナティ市での演説の前にイラク担当分析官を集
めて会議を開き、核開発担当分析官の意見から、演説原稿
のイラクがアフリカからウランを入手しようとしているこ
とに言及する箇所に問題があると認める。【上院報告書】
CIA情報次官捕(ADDI)、安全保障担当副補佐官と
演説ライターたちにファックスを送り、該当部分を削除す
るように求める。【上院報告書】
02年10月6日
CIA情報次官捕(ADDI)、国家安全保障会議から受
け取った新しい演説原稿(第6稿)にまだウラン疑惑の記
述があったので、テネットCIA長官に問題を訴える。
【上院報告書】
テネット、安全保障担当副補佐官に電話、CIAの懸念を
伝える【上院報告書】
安全保障会議、問題の箇所を削除。【上院報告書】
CIA、安全保障会議が問題の箇所を削除した後、ホワイ
トハウスにファックスして、削除を求める理由を説明。
【上院報告書】
02年10月7日
ブッシュ大統領、オハイオ州シンシナティ市での演説で、
イラク武装解除の必要性を初めて訴るが、ウラン疑惑には
言及せず。
02年10月7日ころ
週刊パノラマ誌の記者エリザベッタ・バルバ、ロッコ・マ
ルティノからイラクがウラン500トンを購入することに
関するニジェール政府の文書22頁のコピーを渡され、実
物を1万5千ユーロで買わないかと申し込まれる。
02年10月9日
バルバ記者、パノラマ編集長カルロ・ロセッラに勧められ、
ローマのアメリカ大使館へ文書のコピーを届ける(1週間
後、ニジェールへ調査に出かけて文書は偽物だったと確信)。
アメリカ大使館、文書(コピー)をCIAローマ支局主任
に渡す。
02年10月15日
アメリカ大使館、文書(コピー)を国務省非核拡散事務局
(NP)へファックスで送る。
NP、文書(コピー)を国務省情報調査局(INR)へ渡
す。
国務省情報調査局(INR)イラク核兵器分析官、すぐに
文書(コピー)を疑う。──22頁の文書には、イラクと
のウラン取引とは関係のない書類が含まれていた。その書
類によると、イラクとイランが同盟を組んで世界の大国に
対して軍事作戦を展開する。その作戦本部がローマのニジ
ェール大使館だという──【上院報告書】
02年10月16日
ブッシュ大統領、イラクに対して武力攻撃を行使する全権
を大統領に与える法案に著名、法律が成立。
02年12月7日
フセイン政権、国連安全保障理事会にイラクの大量破壊兵
器に関する1万2200頁の文書を提出。
02年12月17日
CIA武器情報・非核拡散・軍備管理局(WINPAC)、
国家安全保障委員会(NSC)に提出するためにイラク公
開文書に関する分析をまとめ、イラクの大量破壊兵器開発
プログラムについて2点だけを指摘(1.核兵器開発に使
われた疑いがあるアルミチューブに関する文書がない。2.
ニジェールからウランを調達する計画に関する文書がない)。
【上院報告書】
02年12月19日
国務省、「なぜイラクはニジェールからウランを購入しよ
うとしたことを隠しているのか」と同省のサイトに掲載し
た文書(ファクト・シート)で初めて訴える。【上院報告
書】
02年12月23日
国務省情報調査局(INR)イラク核開発分析官、エネル
ギー省(DOE)分析官へメールを送り、CIAの分析が
アルミチューブとニジェール疑惑に懐疑的なINRの見解
に言及していないことに驚いたと伝える。【上院報告書】
DOE分析官、INR分析官に返信して、「結局、ブッシ
ュ政権が恥をかくことになる」と指摘する。【上院報告書】
02年12月24日
ニジェール首相、イラクにウランを売っていないし、首相
に就任した2000年以来、イラクからウランの取引を持
ちかけられたこともない、と疑惑を全面的に否定。
<2003年>
03年1月6日
国際原子力機関(IAEA)、アメリカ政府にニジェール
とイラクのウラン売買契約に関する情報を求める。
03年1月13日
国務省情報調査局(INR)イラン核兵器分析官、他の情
報機関に属する分析官たちにメールを送り、イラクとニジ
ェールのウラン取引はおそらくでまかせだと考える理由を
伝える。──イラクとイランが同盟を組んで大国に軍事攻
撃を仕掛けるという突拍子もない話を記載した書類は明ら
かに偽造されたものだ。この書類はウラン取引を示す書類
と同じニジェール大使館の印章が押してある──
03年1月23日
ライス国家安全保障担当補佐官、ニューヨークタイムズ紙
に「なぜ私たちはイラクが嘘をついていると分かるのか」
という題名の記事を掲載し、イラクは国連へ提出した文書
で、海外からウランを購入しようとした事実を報告してい
ないと批判。
“Why We Know Iraq is Lying”
by Condoleezza Rice
Originally appeared in the New York Times on January 23, 2003
http://www.whitehouse.gov/news/releases/2003/01/20030123-1.html
03年1月26日
パウエル国務長官、スイスのダボス市で開かれた世界経済
フォーラムで、「なぜイラクは、ウランとウランを核兵器
の原料に精錬する特別な機材を購入しようとしているのか」
と訴える。
03年1月27日
エルバラダイIAEA事務局長、国連安保理で「90年代
に廃棄されてから今日まで、イラクが核兵器開発プログラ
ムを再開したという証拠は見あたらない」と証言。
テネットCIA長官、一般教書演説の草稿を渡されるが読
まないまま副長官のオフィスへ送る。(結局、副長官のオ
フィスでも誰ひとりとして草稿を読まず)
03年1月28日
ブッシュ、一般教書演説で「サダム・フセインが最近アフ
リカから相当量のウランを購入しようとしたことをイギリ
ス政府が突き止めた」と(後に16語と呼ばれる一節を)
述べる。(英文は、”. . . the British government has
learned that Saddam Hussein recently sought significant
quantities of uranium from Africa.”)
03年2月4日
アメリカ政府、IAEAウィーン事務局へニジェール文書
(コピー)を送り、ニューヨークにいたIAEA原子力検
査オフィス主任にも文書を手渡す。
03年3月3日
IAEA、ウィーンでアメリカ使節にニジェール文書は明
らかに偽造されたものだと伝える。
03年3月7日
エルバラダイIAEA事務局長、国連安保理でニジェール
文書は本物ではなく、ニジェールとイラクの間にウランの
取引はなかったと証言。
03年3月9日
パウエル国務長官、イラクとニジェールのウラン取引に関
する情報は間違っているかもしれないと認める。
03年3月16日
チェイニー副大統領、ニュース番組「ミートザプレス」に
出演、イラクが核兵器開発計画を進めていると訴える。
03年3月19日、午後10時16分
ブッシュは、イラクに対する攻撃命令を出したことを、大
統領執務室からテレビ放送で国民に伝える。
03年5月1日
ブッシュ大統領、空母エイブラハム・リンカーン号に戦闘
機で降り立ち、「おもな戦闘作戦は終わった」と宣言。
03年5月6日
ニューヨークタイムズ紙のニコラス・クリストフ記者、ニ
ジェールを調査した元大使がウラン疑惑は偽の文書に基づ
き事実ではないとCIAに報告していたことを紹介し、大
統領の16語には根拠がないとする記事を掲載。
Tuesday, May 6, 2003
The New York Times
Missing in Action: Truth
by Nicholas Kristof
http://www.commondreams.org/views03/0506-02.htm
03年5月29日ころ
リビー副大統領首席補佐官、ホワイトハウスで国務次官
(マーク・グロスマン)に元大使のニジェール調査に関す
る情報を求める。国務次官、元大使がジョー・ウィルソン
であることを6月の始め頃までにリビーに告げる。【ルイ
ス・I・リビーに対する起訴状より。以降、起訴状と表記】
03年6月9日
CIA、副大統領オフィスのリビーともう一人の高官に宛
てて、元大使によるニジェール調査に関する一連の機密文
書を届ける。リビーと高官たち、その書類にウィルソンの
名前を書き込む。【起訴状】
03年6月11日ころ
リビー、CIAの高官と会い、ウィルソンの妻がCIAに
勤務していて、ウィルソンのニジェール捜査の計画に関与
したと考えられていることを確認。【起訴状】
03年6月11日か12日ころ
国務次官、リビーにウィルソンの妻がCIAに勤務してい
ること、ウィルソンをニジェールは送る計画に夫人が関与
したと国務省では言われていることを伝える。【起訴状】
03年6月12日ころ
チェイニー副大統領、リビーにウィルソンの妻がCIAの
核拡散抑止部門に所属していることを伝える。【起訴状】
03年6月12日
ワシントンポスト紙のウォルター・ピンカス記者、ニジェ
ールを調査した元大使がウラン疑惑は偽の文書に基づき事
実ではないとCIAに報告していたことを紹介し、大統領
の16語には根拠がないとする記事を掲載。
CIA Did Not Share Doubt on Iraq Data
Bush Used Report Of Uranium Bid
By Walter Pincus
Washington Post Staff Writer
Thursday, June 12, 2003; Page A01
http://www.washingtonpost.com/ac2/wp-dyn/A46957-2003Jun11?
language=printer
03年6月14日
リビー、CIAの広報官と会い、CIAの職員が副大統領
オフィスに批判的な記者たちに情報を提供していると不満
を述べ、ニジェール調査に関連して、「ジョー・ウィルソ
ン」と「バレリー・ウィルソン」について話し合う。【起
訴状】
03年6月17日
CIA、テネット長官へのメモで「イラクが他国からウラ
ンを入手しようとしていると断定できる情報があるとはも
う考えていない」と伝えるが、局外へはいっさい報告せず。
03年6月19日
米ニューリパブリック誌、ブッシュ政権の高官たちは「ニ
ジェールの情報がまったくのでたらめだと知っていた」と
いう元大使の批判を引用し、ブッシュの16語の信憑性を
疑う記事を掲載。
The New Republic
THE SELLING OF THE IRAQ WAR
The First Casualty
by John B. Judis & Spencer Ackerman
http://www.tnr.com/doc.mhtml?pt=a%2F9fvk%2Bgc2u0urk%2BYDplFD%3D%3D
リビー、記事に対抗するためにウィルソンのニジェール調
査について報道陣に伝えてもいいかと自分の首席次官に聞
かれ、CIAの機密情報だから公開はできないと答え、盗
聴の恐れがある電話ではこの件について話すことはできな
いと言う。【起訴状】
03年6月23日
リビー、ニューヨークタイムズ紙のミラー記者と会い、C
IAが情報をメディアに流していることを批判しウィルソ
ン夫人がCIAに勤務しているかもしれないと伝える。
【起訴状】
03年7月6日
ウィルソン、ニューヨークタイムズ紙にイラク攻撃の正当
性を否定する論説を掲載。ワシントンポスト紙、ウィルソ
ンのインタビューに基づき、ニジェール調査に関する記事
を掲載。ウィルソン、ニュース番組「ミートザプレス」に
出演。
03年7月7日
ホワイトハウス、16語を使ったことは誤りだったと認め
る。
リビー、ホワイトハウスの報道主任と会い、ウィルソン夫
人がCIAに勤務していると伝える。【起訴状】
03年7月8日
リビー、ミラー記者と会い、ウィルソンのニジェール調査
について話し、CIAが調査の情報をメディアに流してい
ることを批判し、ウィルソン夫人がCIAに勤務している
と思うと伝え、ミラーが記事にするとき情報源である自分
のことを「ホワイトハウスの高官」ではなく「元議会補佐
官」として紹介するように要望。【起訴状】
03年7月10日
リビー、NBCのティム・ラザーにMSNBCの記者が書
いたリビーに関する記事について不満を述べるが、ウィル
ソン夫人については何も話さず。【起訴状】
03年7月10日か11日
リビー、ホワイトハウスの職員(職員A)から、コラムニ
ストのロバート・ノバックに、CIAに勤務するウィルソ
ン夫人がウィルソンのニジェール調査に関与していること
を伝え、この件に関してノバックがコラム記事を書く予定
だと告げられる。【起訴状】
03年7月11日
ローブ大統領政治担当補佐官(職員A)、タイム誌のクー
パー記者にウィルソン元大使と夫人の話をする。【起訴状】
ジョージ・テネットCIA長官、ブッシュ大統領の一般教
書演説(1月28日)にニジェール疑惑に関する言及が残
されたのはCIAの責任だと公に認める。
03年7月12日
リビー、チェイニー副大統領と他の職員とともに副大統領
専用機でバージニア州へ向かい、機上で他の職員とタイム
誌のマシュー・クーパー記者の質問にどう答えるかなどメ
ディアとの対応について話し合う。【起訴状】
03年7月12日ころの午後
リビー、クーパー記者と電話で話し、ウィルソン夫人がウ
ィルソンのニジェール調査に関与していると聞いたことが
あるかと質問され、同じことを聞いていると答える。【起
訴状】
03年7月12日ころの午後遅く
リビー、ミラー記者に電話で、ウィルソン夫人がCIAに
勤務していることなどについて話す。【起訴状】
03年7月14日
ノバック記者、サンタイムズ紙のコラムでバレリー・プレ
イム・ウィルソンの身分を暴露し、CIAは身内であるウ
ィルソン元大使を使って調査の結果をCIAに都合よく仕
上げたと非難。
03年7月18日
ボルトン国務次官、国務省の監察官からニジェール情報の
提供者について質問を受ける。
03年9月23日
テネットCIA長官、司法省にプレイム捜査官の身分漏洩
事件を捜査するよう要請。
03年9月26日
司法省、FBIにCIA秘密捜査官バレリー・プレイム身
分姓名漏洩事件(以降、CIA漏洩事件)の捜査開始を許
可。
03年10月14日ころ
リビー、FBI捜査官から質問を受ける。
03年10月26日ころ
リビー、FBI捜査官から質問を受ける。
03年10月31日
23人の市民、CIA漏洩事件を調査する連邦大陪審に選
任される。
03年12月30日
アッシュクロフト司法長官、CIA漏洩事件の捜査に自分
が関与しないことを通達。
03年12月31日
フィッツジェラルド連邦検事、CIA漏洩事件の捜査を担
当する特別検事に任命される。
<2004年>
04年1月ころ
フィッツジェラルド特別検事が担当する大陪審、コロンビ
ア特別区に設けられる。
04年1月21日
大陪審、CIA漏洩事件に関する証言の聴取を始める。
04年2月(日時不明)
ローブ、大陪審で1回目の証言するが、クーパー記者のこ
とは何も話さず。
04年2月18日
チャラビ、英テレグラフ紙のインタビューで、イラクの大
量破壊兵器に関する偽の情報を米政府へ流したことを正当
化。
04年3月(日時不明)
チャラビの諜報主任、イランへ逃亡。
04年3月5日ころ
リビー、大陪審で宣誓証言する。
司法省、ホワイトハウスにメディアと接触した記録(大統
領専用機の電話記録も含む)を提出するように命令。
04年3月20日
米軍、チャラビの自宅と事務所を捜査し、書類やコンピュ
ータなどを押収する。
04年3月24日
チャラビがイランへ米政府の機密情報を渡していたことが
発覚、情報の出所としてペンタゴンなど高官数人が捜査の
対象となる。【ニューヨークタイムズ紙】
04年3月24日ころ
リビー、大陪審で2度目の宣誓証言。
04年5月26日
ニューヨークタイムズ紙(A10面)、イラク侵攻までの
報道に誤りがあったことを認める謝罪文を掲載する。
04年6月1日
チャラビは長年に渡ってイラン政府から報酬を得て、米政
府の重要な機密情報(アメリカがイランの暗号を解読でき
ることについて)をテヘランへ渡していた。【ニューヨー
クタイムズ紙】
04年6月2日午後
ジョージ・テネットCIA長官、カード大統領首席補佐官
にブッシュ大統領との面会を申し込む。
04年6月2日夜
テネットCIA長官、ブッシュ大統領とホワイトハウスで
面会。
マックレラン報道官、ブッシュが個人として弁護士を雇っ
たと報道陣に伝える。
04年6月3日夜
テネットCIA長官、辞任。
04年6月4日
ジェイムズ・パビットCIA作戦本部副部長(プレイムの
上司)、辞任。
04年6月5日
フィッツジェラルド、チャイニー副大統領にCIA漏洩事
件について質問。
04年6月24日
フィッツジェラルド、ブッシュ大統領にCIA漏洩事件に
ついて質問。
04年7月16日
パウエル、CIA漏洩事件の大陪審で証言。
04年10月14日
ローブ、CIA事件の大陪審で3度目の証言、クーパー記
者にウィルソン夫人のことを伝えたと認める。
04年11月15日
パウエル国務長官、辞任。
<2005年>
05年7月6日
ミラー記者、CIA漏洩事件の大陪審で証言することを拒
否したため収監される。
05年9月29日
ミラー記者、リビーとプレイム捜査官について話したこと
を証言すると約束して出所を許される。
05年10月
ロッコ・マルティノ、LAタイムズ紙の取材に答えて、弁
護士を通じ、ニジェール文書が偽物だとは知らなかったと
証言。
05年10月11日
ミラー記者、フィッツジェラルドに「発見」した自分のメ
モ帳を渡し、再び大陪審で証言。
05年10月14日
ローブ、大陪審で4度目の証言(4時間15分)。
05年10月25日、火曜
フィッツジェラルド、ジャック・エッケンロードFBI特
別捜査官と連れだってローブの弁護士ロバート・ラスキン
の事務所を訪れる。
05年10月27日、木曜
フィッツジェラルド、事務所で検事たちと会議、休憩をと
ってバーバーショップへ行き靴を磨いてもらう。
05年10月28日、金曜、早朝
フィッツジェラルド、ブッシュ大統領の弁護士ジェームズ・
シャープの事務所を訪れる。
同日午前8時30分
フィッツジェラルド、ワシントンの事務所に入る。
午前8時50分
フィッツジェラルド、事務所を出る。
午前9時
フィッツジェラルド、報道陣を押し分けて裁判所に入り、
大陪審の部屋へ行く。
午後12時46分
リビー、起訴される。
午後1時45分
特別検事オフィス、声明文を公開。
午後2時15分
フィッツジェラルド、ワシントンの司法省で記者会見を開
く。
05年11月
FBI、ニジェール偽造文書に関する調査を打ち切る。イ
タリア人の元スパイ、ロッコ・マルティノが金儲けのため
に文書を偽造したと断定。だだしマルティノ本人を尋問せ
ず。
05年12月
FBI、上院情報委員会から要請を受け、ニジェール偽造
文書に関する調査を再開。
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作成=安濃一樹(TUP/ヤパーナ社会フォーラム)
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