DATE: 2006年3月27日(月) 午前11時09分
非暴力のスピリットのゆえに私たちは復讐のスピリットに従うことを拒否する
オーストラリア人女性ドナ・マルハーンは、2003年春イラクでの「人間の 盾」に参加し、04年春には米軍包囲下のファルージャに入り、その帰路地元レ ジスタンスによる拘束を経験、04年冬から05年春にかけてイラク・パレスチナ を旅して、05年8月アメリカからシンディ・シーハンのキャンプケーシーにつ いて報告してくれました。オーストラリアに帰国したドナは自国のテロを見据 え、米国主導のイラク戦争・占領にオーストラリアが最も貢献してきたパイン ・ギャップに向かい民間査察を強行して逮捕され、現在保釈中の身でありなが らオーストラリア中を講演などで駆けずり回っています。 今回は、昨年11月の末に、イラクで誘拐された4人のクリスチャン・ピース メーカー・チームズ(CPT)に関する速報です。その内のひとりトム・フォッ クスは、今年3月9日バグダッドで死体となって発見されました。安否が気遣わ れていた残り3人のひとりハルミートは、TUP速報570号 http://groups.yahoo.co.jp/group/TUP-Bulletin/message/616 でお知らせし たとおりドナの親しい友人です。3人が無事解放されたことを受けて、ドナが 報告します。 (翻訳:福永克紀/TUP)
CPTの歓喜の声明、そして、挑戦! ドナ・マルハーン 2006年3月23日
お友達の皆さんへ
下記は、人質になっていた残り3人、ハルミート(Harmeet)、ノーマン (Norman)、ジェイムズ(James)の解放に関して、今夜クリスチャン・ピー スメーカー・チームズ(CPT)が発表した大変美しくて力強い声明です。トム ・フォックス(Tom Fox)が亡くなられたことには追悼の意を表しています。
この声明は、CPTの仕事を導く非暴力の精神を、そしてまた世界中の多くのグ ループや諸個人をも導くこの伝統的な精神を、雄弁に物語っています。
この声明には、事に当たって控えめながら触発されるものがあります。
もし、この人たちに、最近の苦痛の月日にあってなおこのようなことができる ものなら、おそらく私たち皆にもできるのではないでしょうか?
皆さんの巡礼者
ドナより
追伸:「私たちの信仰は、私たちの敵がたとえ私たちの友人に大きな苦難をも たらし、その家族に悲しみをもたらす行為に加担していたとしても、そうした 敵を愛することを求めています。JimとNorman、Harmeet、そしてTomをイラク へと赴かせた預言的な非暴力のスピリットゆえにこそ、私たちは、復讐のスピ リットに従うことを拒否します」――CPT
=====以下、CPTの声明===== [訳者注:CPTの声明文は、すでに岡田剛士さんが翻訳されて、ネットに公表 (http://0000000000.net/p-navi/info/news/200603232142.htm)されていま すので、ご本人承諾の上引用させていただきます]
2006年3月23日付
バグダードで4ヶ月前から行方不明になっていたCPTのメンバーたちが解放
今日、Harmeet Singh SoodenとJim Loney、そしてNorman Kemberの3人がバ グダードで無事に解放されたことを知って、私たちの心は喜びに満たされまし た。
クリスチャン・ピースメーカー・チームズは、この3人が愛する人々の許 へ、そしてコミュニティに戻ってくることを、彼らの家族、そして友人たちと 共に喜びたいと思います。彼らがバグダードで誘拐されてからの4ヶ月の間、 私たちは共に、不透明さと希望、恐れと嘆きに耐え続け、そして今は喜びを分 かちます。
私たちはHarmeet Soodenの帰還を歓喜と共に迎えます。彼は、まるで平和の 実現のために新たに積極的に関わり始めた1人の若者であるかのように、イラ クとパレスチナの地に正義を鼓舞することに自ら命を捧げようとしてきまし た。
私たちはJim Loneyの帰還を歓喜と共に迎えます。彼は、子供の頃からずっ と、社会的に無視された人々や抑圧された人々のことを気にかけてきました。 彼の優しく、かつ情熱的なスピリットは、近くに居る人々を、さらには遠くに ある人々をも感化し続けました。
私たちはNorman Kemberの帰還を歓喜と共に迎えます。彼は信仰の厚い人で あり、そして50年の長きに渡る平和実現のための活動のなかで、多くの人々に とっての先輩、そして相談相手であり、犠牲を払う覚悟のある人物です。
私たちは、悲しみの涙と共に Tom Foxのことを覚えます。同僚のCPTメン バーたちとともに捕らわれてから3ヶ月後に、彼の遺体は2006年3月9日にバ グダードで発見されました。私たちはずっと、4人全員が共に解放される日が 来ることを切望していました。けれど今日の喜びは、Tomが生きて祝いの場に 参加することができないがゆえに、ほろ苦いものとなりました。もちろん私た ちは、彼のスピリットが、めいめいの再会の場に確かに存在し続けることを確 信します。
HarmeetとJim、Norman、そしてTomは、イラクの人々が直面している苦闘を 知るために赴きました。武力紛争によって破滅的な状況にある一つの国で非暴 力的なオルタナティブを実現しようとする、そうした正義と平和のための情熱 ゆえに、彼らは赴いたのでした。
この4人は、彼らを守ってくれるのは、神の愛の力、そしてイラク人協力者 たちと国際的な協力者たちの力だけなのだ、ということを知っていました。私 たちは、多国籍軍によるイラク違法占領が、今回の誘拐、そしてイラクにおけ るたくさんの悲しみと苦難をもたらした不安定さの一番の原因だと確信してい ます。この占領は終わらなければなりません。
今日、この喜ばしい知らせに接して、私たちの信仰は、私たちの敵がたとえ 私たちの友人に大きな苦難をもたらし、その家族に悲しみをもたらす行為に加 担していたとしても、そうした敵を愛することを求めています。Jimと Norman、Harmeet、そしてTomをイラクへと赴かせた預言的な非暴力のスピリッ トゆえにこそ、私たちは、復讐のスピリットに従うことを拒否します。私たち の友人に勇気を与え、このかんの数ヶ月にわたって彼らのスピリットを持続さ せてくれた慈悲深き神に、私たちは感謝します。
私たちは、私たちが強く、勇敢であることができるように、と祈ります。そ うすれば私たちは共に、正義と平和のための非暴力の闘いを続けることができ るからです。
このかんの困難な数ヶ月の間ずっと私たちは、世界中の人々から寄せられて きた、私たちの4人の同僚について気遣うメッセージに勇気づけられてきまし た。私たちは、とりわけ中東とヨーロッパ、そして北アメリカに住むイスラー ム教徒の兄弟姉妹たちからの溢れんばかりの親切な支援に、感銘を受けてきま した。これらの人々からの支援は、一日も途切れることなく私たちの許に届け られたのです。私たちは祈ります──世界中のキリスト教徒たちが、これと同 じスピリットで、イラクを占領している合州国とイギリスの軍隊によって不法 に拘留され続けている数千人のイラク人たちの人権を尊重し、これらの人々の ための正義の実現のために呼びかけを行うように、と。
この数ヶ月間、私たちは、イラクの数十万もの人々の日々のパンとなってし まっている苦しみを味わってきました。つまり、なぜ私たちの愛する人々が連 れ去られてしまったのか? 彼らはどこに拘留されているのか? その人々が 置かれているのは、どんな状況なのか? かれらの状態はどうなのか? 解放 されるのだろうか? そして、いったい、いつになったら? ──と。
Tomの死に直面した私たちは、愛する友人を失ったことの悲しみを感じまし た。そして今日、私たちは、私たちの友人であるHarmeetとJim、そしてNorman の解放を喜びます。なおも私たちは祈ります──家族と再会することを待ち望 んでいる多数のイラク人たち、そして海外からの人々の迅速かつ喜びに満ちた 帰郷のために。そして私たちは、Tom Foxの証を続けてゆくことを通じて、こ の戦争とイラクの占領を終わらせるための働きに、改めて全力を尽します。私 たちは、神の情け深い愛が、そのための道を私たちに示してくださることを信 じています。
今日の、様々な感情の高ぶりのなかで、私たちは、なおもJim Loneyの言葉 に連なるものです。彼は、以下のように書いています。
「神の不変の優しさゆえに、私たちは、私たちの敵をも愛する。キリストの 愛と共に私たちは、あらゆる悪に抵抗する。神の尽きることなき誠実さゆえ に、私たちは愛に満ちたコミュニティをつくるために働くのだ。」
(翻訳:岡田剛士、太字強調引用者) =====以上、CPTの声明=====
原文:CPT’s joyful statement … and challenge! URL: http://groups.yahoo.com/group/ThePilgrim/message/183
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