DATE: 2006年4月30日(日) 午後6時57分
半世紀前に制定以来お蔵入りだった特別法で弾圧を図る司法権力!
オーストラリア人女性ドナ・マルハーンは、2003年春イラクでの「人間の 盾」に参加し、04年春には米軍包囲下のファルージャに入り、その帰路地元レ ジスタンスによる拘束を経験、04年冬から05年春にかけてイラク・パレスチナ を旅して、05年8月アメリカからシンディ・シーハンのキャンプケーシーにつ いて報告してくれました。オーストラリアに帰国したドナは自国のテロを見据 え、05年12月に米国主導のイラク戦争・占領にオーストラリアが最も貢献して きたパイン・ギャップ軍事基地に向かい民間査察を強行して逮捕され、保釈中 の身でありながらオーストラリア中を講演などで駆けずり回ってきました。 市民査察で逮捕されてから4ヶ月を経過して正式に起訴手続をとられて被告 人となった彼女たちは、最高7年の刑期を課せられる容疑での裁判を闘わなけ ればなりません。ドナが、支援と援助を訴えます。 (翻訳:福永克紀/TUP)
パイン・ギャップ4――裁判の最初の2日間 ドナ・マルハーン 2006年4月24日
お友達の皆さんへ
昨年の市民査察でパイン・ギャップ軍事基地に侵入して逮捕されて以来、やっ と先週アリス・スプリングスで開かれた公判付託手続によって訴訟手続きが始 まりました。
2日間の公判付託手続の結果、ジム・ダウリング、アデル・ゴールディー、ブ ライアン・ローと私自身の4人の「全てのテロに反対するクリスチャンたち」 (Christians Against ALL Terrorism)は、北部準州最高裁の陪審裁判を受け ることになりました。裁判の期日は、6月5日に決定されることになっていま す。
公判付託手続は法手続きのひとつにすぎませんが、私たちはこれを利用して証 人の召喚を要請し彼らに質問をしました。呼び出した15人の証人には、パイン ・ギャップのオーストラリア側責任者マイケル・バージスを含めました。
彼には、パイン・ギャップの活動について質問したのです、活動のどの程度ま でがオーストラリア市民と議会に秘密とされているのかとか、米国のスパイの 親玉で暴力とテロの長い経歴の持ち主であるジョン・ネグロポンテが最近この 基地にやってきたこととかを。
パイン・ギャップの役割には、機密情報の収集や、ミサイル早期警戒システム への関与などが含まれる、とバージスは述べました。パイン・ギャップで収集 された機密情報がイラクでのミサイル標的確定のために使われていることを認 めよと迫りましたが、この質問や他の多くの質問に対する彼の答えは、それは 「軍事機密である」というものでした。
下記アドレスのシドニー・モーニング・ヘラルドのサイトにあるオーストラリ アAP通信社(AAP)のレポートで、よくまとめられたこの裁判2日間の概要を読 むことができます。 http://www.smh.com.au/articles/2006/04/19/1145344141128.html http://www.smh.com.au/articles/2006/04/20/1145344198053.html [訳者注:上記下段のアドレスは、原文では違っているが、上記が正しいアド レス]
下記のアドレスをクリックして、ラジオ局トリプル・ジェイの午後の時事問題 ショー「ハック」(Hack)での私のインタビューを聞くことができます。 http://www.abc.net.au/triplej/hack/notes/s1622489.htm [訳者注:上記3つのサイトは全て英語]
フィリップ・ラドック法務長官が史上初の適用となる1952年の防衛(特別事 業)法で起訴することを承認したおかげで、パイン・ギャップの4人の被告 は、最高7年の投獄という刑罰の可能性に直面しています。
私たちの見解が表明されている公判付託手続の直前に出したプレスリリースを 一番下に載せておきます。
私たちが裁判の準備をするにあたり、以下の点について皆さんのご支援をいた だければありがたいと思います。
-私たちに助言をしてくれる気のある人権法律家ないし王室顧問弁護士をご紹 介ください。
-フィリップ・ラドックがオーストラリアの法律制度に政治的介入したことに 失望したと、彼に手紙を書いてください。
-私たちの訴訟費用をまかなうために、カンパを送ってくださるか、資金集め キャンペーンを組織してください。
-パイン・ギャップと私たちの活動の話を広めてください。(近いうちにウェ ブサイトを立ち上げます)
私たちの目標は、この裁判を利用してオーストラリアの人々に向けてパイン・ ギャップ問題を提起し、その活動を暴いて裁きを受けさせ責任をとらせること です。最終的には、オーストラリア一般市民からの圧力で、アメリカがこの戦 争インフラをどこか他の所へ移動せざるを得なくなり、パイン・ギャップの存 在に決して同意したこともない伝統的土地所有者のもとにこの土地が返される ことを望んでいます。
皆さんの巡礼者 ドナより
追伸:もし私たちの訴訟費用に寄付できるかたがおられましたら、振込みで Sean O’Reilly(口座名ショーン・オライリー)、Kippa-Ring(キッパ・リン グ支店)BSB(銀行コード)064-166、A/c number(口座番号)102 66104 に お願いします。
追追伸:「確かにしかるべき標的を識別することに関しては、パイン・ギャッ プは重要である。(イラク戦争への)パイン・ギャップの貢献は、どんなオー ストラリア兵の派兵よりもはるかに意味がある」――マイケル・マッキン リー(戦略問題アナリスト、オーストラリア国立大学)
[訳者注:以下、公判付託手続直前のプレスリリース] パイン・ギャップ査察のクリスチャン活動家に前例のない法適用
2006年4月17日
政治的にも法律的にも史上初めて、法務長官フィリップ・ラドックがパイン・ ギャップ軍事基地に侵入したキリスト教平和主義者4人をこれまで適用された こともない法に基づき起訴するという政治的決定を下した。
北部準州主任検察官ポール・アッシャーは、彼ら4人を4ヶ月間も待たせたあげ く、復活祭の週末に残業までして4人を起訴したことを通告するEメールを書き 上げた。
彼は復活祭の土曜日を選んで、かつて適用されたこともない1952年防衛(特別 事業)法で4人を起訴するというフィリップ・ラドック法務長官による決定を、 すなわち政治権力と司法権力との境界をあいまいにする決定を4人に知らせた のである。
この法では、単にパイン・ギャップの写真を撮るだけで2年の投獄を課せるう え、パイン・ギャップに不法侵入すると7年の投獄を課せる。グループのメン バーは、すでにもういくつかの犯罪法(Crimes Act)の容疑(これらにも刑期 の定めがある)も受けている。
4人は、全ての容疑に関する公判付託手続のため、今週の水曜日4月19日にアリ ス・スプリングスの法廷に出廷する。
これらの容疑すべては、イラクでの爆撃テロの標的情報を提供してきたと思わ れるパイン・ギャップ基地のテロ活動を調べるために、基地を査察したいと国 防相に要求した「全てのテロに反対するクリスチャンたち」と自ら名乗る6人 のグループが、昨年12月に起こした事件にかけられた容疑である。
国防相が要求を拒否すると、グループはともかく基地査察を実行すると表明し た。世界最高の機密スパイ基地のひとつであるパイン・ギャップに警戒が発令 され特別強化警備が配備されたにもかかわらず、グループの2人は基地に入り 込み、発見されるまでに建屋の屋根に登り写真を撮ることができた。1時間後 には、すでに明るくなった日差しの中、他の2人のメンバーが周辺規制地域を 歩きぬけ、高い警備フェンスに到着し、メンバーのひとりが警備員に止められ るまでそのフェンスを切り続けた。
政府と軍隊は、私たちが来ることを知らされていたにもかかわらず、資金もな く武器も持たない素人のキリスト教平和主義者たちにこうもたやすく彼らの警 備を潜り抜けられたことに面目を無くしたことは明らかだと、メンバーのひと りドナ・マルハーンは言う。
「私たちを厳しく処罰しようとするこの決定は、検察官ではなくフィリップ・ ラドック法務長官によってなされたことからも、政治的決定ではないと誰にも 言えないはずです」と、彼女は言う。
「この決定を復活祭の週末に出すことを彼らが選んだことは、まったく驚くべ きことですが、またおそらくふさわしいことなのでしょう」と、ドナは言う。 「この週末は、全てのキリスト教徒が平和の王イエス・キリストの磔と復活を 思い起こす時です。私たちは平和創出のために逮捕されたのです。何十万人と いう無辜の人々を虐殺するパイン・ギャップの犯罪的役割を暴こうとしたので す」
原文:Pine Gap 4 – Our first two days in court URL: http://groups.yahoo.com/group/ThePilgrim/message/184