TUP BULLETIN

速報620号 エレン・ワタダ中尉の母からの公開書簡 060721

投稿日 2006年7月21日

FROM: hagitani ryo
DATE: 2006年7月21日(金) 午後9時38分

〜〜〜〜〜 エレン・ワタダ中尉の母からの公開書簡 〜〜〜〜〜〜

イラクからの撤兵を求めるアメリカ市民の行動に参加している軍関係者には
「平和を求める在郷軍人たち」や、イラクで戦死した陸軍技術兵ケーシー・
シーハンさんの母親シンディー・シーハンさんたちの「平和を求める戦死者家
族たち」がいますが、なかには現役軍人も私服で参加しているかもしれませ
ん。その現役軍人、しかも将校の一人がイラクへの移動命令を拒否し現在軍法
会議にかけられています。ハワイ出身、日系のエレン・ワタダ中尉です。彼は
今年の1月に、不法な戦争に、戦争遂行に際しての偽りに、政府の不法行為に
反対であるとして、除隊を申し出ていましたが許されず、6月7日に至って声明
を公表しイラクへの移動命令を拒否しました。(声明の日本語訳は例えば
http://list.jca.apc.org/public/aml/2006-June/007201.html にあります)
彼は7月5日に高等軍法会議に起訴され、移動命令不履行、ブッシュ大統領他の
上官に対する侮辱行為、将校にあるまじき無作法行為などによって、7年の刑
に処せられる可能性があるとのことです。ワタダ中尉の家族も彼を支持してい
ますが、ここには母親キャロライン・ホーさんの公開書簡を訳出しました。

寺尾光身/TUPスタッフ

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違法な戦争に抵抗するエレン・ワタダ中尉の母親からの公開書簡
 キャロライン・ホー

 2006年6月22日(木)

 私は、フォート・ルイス基地配属の一将校、エレン・ワタダ中尉の母親で
す。息子はイラクに向けて今日出発したストライカー旅団に属しています。部
下の皆さんとの強い絆をもちながらも、また民主主義の理念を深く信奉しなが
らも、息子は部下とは行動を共にしない、という道を選びました。息子がその
ように決めたのは、熟慮を重ね、軍部・政府部内や在野のいろいろな分野のエ
キスパートの方がたと検討し相談した末のことでした。

 息子は、確かな事実を検討吟味した結果、民主主義の名の下に残虐行為の数
かずが行われている今、もう黙っていることはできない、という結論に至った
のでした。欺瞞や虚偽を使って一方的に仕掛けた戦争を正当化するような政権
の手先に留まっていることは、もはやできなかったのです。

 国軍の一員として、アメリカ合州国憲法を遵守すると誓った息子は、侵略戦
争に、国民としての私たちの立場を掘り崩すような国際法を侵犯する違法な戦
争に、盲目的に加わることを拒んでいます。将校としての宣誓に暗に込められ
ているのは、違法な命令にはいかなる命令にも服しない、ということです。な
ぜなら、そのような命令を実行すれば、犯罪行為の加担者となってしまうから
です。さらに、侵略戦争に参加するよう部下に命じれば、罪は千倍にも重くな
ります。息子の良心がそんなことを自分にさせるわけがありません。息子は、
この戦争に反対の立場を取り続けることによってこそ、部下に最も良くつくす
ことができるのだ、と信じているのです。そのように行動することによって、
軍隊においてさえ、正しいことを選び取る自由を放棄しない者が居ることを、
何が正しいのかを選び取る自由は、人間や組織に対する忠誠を超越するものだ
ということを、息子は行動で示しているのです。

 一人の母親としては、息子の安全と将来が心配でしたが、起こったこと全て
により高い目的があるのだ、ということが分かるまでに今はなりました。私の
息子はもはや十字路に立ち止まってはいません。息子は「人のあまり行かない
道」を選んだのです。何が起ころうと、敢然とその道を歩み続けます。

 エレン・ワタダ中尉への支持をご自身で確かめるために、6月27日の全国行
動日にお出かけください。この日、全国で多くのグループが平和なデモ、祈祷
会、キャンドルライトビジル、パレード、ビラまき、新兵募集事務所を訪問し
て応募者に助言する、などなどを行います。詳細については各地の主催団体に
お問い合わせください。