TUP BULLETIN

速報718号 ドナより アリスからさよならを――ショールウォーター湾でお会いすることを……

投稿日 2007年7月1日

DATE: 2007年7月1日(日) 午後7時47分

何かこのようなことをまたやる用意がありますか? 当然です!


 オーストラリア人女性ドナ・マルハーンは、2003年春イラクでの「人間の 盾」に参加し、04年春には米軍包囲下のファルージャに入り、その帰路地元レ ジスタンスによる拘束を経験し、04年冬から05年春にかけてイラク・パレスチ ナを旅して、05年8月アメリカからシンディ・シーハンのキャンプ・ケーシー について報告してくれました。オーストラリアに帰国したドナは自国のテロを 見据え、05年12月に米国主導のイラク戦争・占領にオーストラリアが最も貢献 してきたアリス・スプリングス近郊のパイン・ギャップ軍事基地に向かい民間 査察を強行して逮捕・起訴されました。  そして、ついに始まった最高7年の刑期を科すことが可能な裁判は、連日行 われて3週間もかかり6月15日(金)に罰金刑と損害賠償を命じる判決が出さ れ、そのことはその日の午後ドナが前回のメッセージで報告してくれました。 その日の夜アリス・スプリングスから最後に送られてきたドナからの報告で す。 (翻訳:福永克紀/TUP)


アリスからさよならを――ショールウォーター湾でお会いすることを…… ドナ・マルハーン 2007年6月15日

お友達の皆さんへ

私たちは今でもたいへん満足しています、そして3週間の裁判を終えて明日帰 宅の途につきますが、今日はいいニュースがあります。

今日たいがいのメディアが尋ねた質問は、「何かこのようなことをまたやる用 意がありますか?」でした。

「当然です、もし私たちの良心がそうするように声を上げれば」が答えでし た。実際グループの何人かは、来週ロックハンプトンの近くのショールウォー ター湾で行なわれる米軍演習に抗議に行く準備をしていますので、そこに行け る方はどなたでも同じことをするよう勧めます。 www.peaceconvergence.com を見てください。

そのほかの方々(ラディカル・クリスチャンの伝統に生きる方)、次の週末ブ リズベンの近くで行われるクリスチャン・アナーキスト・カンファレンスにジ ムと私が行きますので、ご一緒されるよう招待します。 www.anz.jesusradicals.com/ を見てください。そこにはすばらしい人々とす ばらしい討議があるでしょう!

ここ何日かの間にEメールや文章を送ってくださった皆さんに感謝します―― 皆さんの支持に私たち全員が勇気付けられてきました。

それに、罰金の支払いに寄付すると申し出てくださった方々に感謝します。現 在のところ罰金は支払わないと決めました(北部準州の外では強制されないの です)、ですから賠償金の支払いだけはして、上訴に向けて何が残されている か考えてみます。もし何か残されているなら、どこにもって行けばいいのか皆 さんからのご意見を歓迎します、そしてそのことについても皆さんに報告を続 けます。

興味のある方にと、今日の判決から判事の見解をいくつか下に貼り付けておき ます。

下は報道記事のいくつかです(ウェスト・オーストラリアは新聞の中では最高 です)が、すばらしいリチャード・ネヴィルの新サイト、ホームページ・デイ リーもどうぞ。 www.homepagedaily.com http://www.thewest.com.au/aapstory.aspx?StoryName=391768 http://www.abc.net.au/news/newsitems/200706/s1952709.htm http://www.news.com.au/story/0,23599,21910773-421,00.html http://www.cathnews.com/news/706/76.php

皆さんありがとうございました、次の発展があればまた報告します。

立ち上がれ!

愛を込めてドナより

【裁判官サリー・トーマス判事の言葉より】

私は今から、被告たちの人格と経歴について個々に述べていきます。

ロー氏は53歳です。結婚していて幼子がひとりいます。ケアンズでタクシー運 転手をしています。大卒の学歴があります。彼は自分が強く感じる地域社会問 題での抗議行動や大衆の認識を向上させる運動に長年活発に関わってきまし た。彼には1978年に遡って有罪判決を受けてきた長い履歴があります。彼の犯 行には大きな落差がありますが、近年では著しく犯行は減少しています、そし て本件の犯罪を別とすれば、それらは本質的には小事と言われるべきものでし た。

ロー氏は、公衆の前で演説することに明らかに長けています。彼が提出した資 料を読みました。私はこれらの資料に記されている事項を認めます。彼は幾多 の良い性質を兼ね備えた誠実な人間とこれらの人たちからみなされていると認 めます。

ダウリング氏は51歳です。彼は1982年以来ブリズベンのカトリック・ワーカー 運動に参加してきました。自分自身で平和と正義のために戦う人間と描写して います。結婚しており7人の子供がいると証言しました。ダウリング氏も1978 年に遡って有罪判決を受けてきた長い履歴があります。彼の犯行も現在係争中 の本件を除けば近年減少してきたようです。最近の他の犯罪は迷惑行為とみな されるべきタイプの犯行で小額の罰金が科せられてきました。

ゴールディー氏は30歳です。彼女は有機野菜と果物を供給する会社に勤めてい ます。またボランティアとしても働き、ここ数年にわたり変革をもたらそうと する平和的方法を追求してきました。彼女もまた、連邦所有地に不法侵入した 事件で2006年3月1日にポート・オーガスタ下級裁判所で罰金刑の有罪判決を受 けています。しかし、その判決の日付は本件の犯罪の後であり、本件判決が参 照する前科とはなりません。

彼女の履歴には、ロックハンプトン下級裁判所で扱われたもうひとつの事件が あります。この事件では有罪判決は科されていません、そして、これもまた本 件犯行の後に扱われた事件でした。

マルハーン氏は37歳です。彼女はコミュニケーション学の学位を持ち、ジャー ナリストの能力も兼ね備えています。10年間ジャーナリストとして働いてきま した。地方自治体の議員でもあり政治問題に活発に活動してきました。イラク で時を過ごし、戦争のトラウマに捕らわれたイラク市民と子供たちに多大の援 助を供給してきました。

マルハーン氏は理路整然とした才覚ある女性であり、彼女の気がすすむ職業な らなんであれ疑いなく成功裏に従事できたでしょう。マルハーン氏はどんな資 料も提出しようとしませんでした。しかし私は、責任ある地位にいる人々を含 めて多くの人が彼女の照会ならばいつでも引き受けるだろうという彼女の発言 を受け入れます。

マルハーン氏は、前科はまったくなく本件裁判を迎えています。本件事件を別 とすれば、法に従う市民として生涯を生きてきたことを認めます。被告4人全 員に関し、彼らは非常に純粋に自らが信奉する大義を追求していると認めま す。しかしながら彼らの行動が、その大義がなんであれ法を破ることを正当化 することにはなりません。

私は、各被告人の境遇と経歴について考え、彼らの各々に適切な刑罰を思考し てきました。

彼らの各人に関して、その犯罪の性質、計画の仕方および実行の仕方、改悛の 情のなさはこのようのものであるので、判決はその犯行に対し各人に科される べきと考えます。

検察側は各被告人に下されるべき懲罰は懲役の判決でなければならない、さら に各被告人に対し実刑でなければならないと申し立てました。私は慎重にこの 申し立てを検討しましたが、それは妥当な処分ではないとの結論に達しまし た。以下に述べるような理由でその結論に達したのです。

第1に、犯罪法17条A(1)の規定の下、私には別の判決の選択肢を考慮すること が求められており、懲役の判決は最後の手段なのです。第2に、最高7年の懲役 刑を規定する防衛(特別事業)法9条違反でオーストラリアで誰かが起訴され たのは、これが初めてだと知らされています。連邦側は比較すべき判決を何ひ とつ法廷に提出しませんでした。

長年の間に人々がパイン・ギャップ基地に抗議してきて、多くが禁止区域に不 法侵入したときや他の違反を犯したときには、比較的軽い犯罪として起訴され てきたことは分かっています。これらは即決裁判所で取り扱われてきました。 本件の訴訟手続きが世間一般の周知となったことで、将来の犯行はもっと重要 視され、犯行者は当然にも長期間の懲役を含むもっと重い刑罰を科す条項で起 訴されるかもしれないと、同様の気持ちを持つ人たちに気づかせたことでしょ う。

このように連邦は、将来の犯行者にいくらか違った行動をとるほうがいいとい う警告を事実上与えたのです。このようにして、そういう行動を目論んでいる かもしれない人たちに全般的な抑止力を示したのです。

本件の被告たちの場合には、彼らがとった行動の通常の結果は罰金であろうと いう計算でことを進めたのも頷けます。そのような状況は将来には、彼らに とっても同様な気持ちを持つものにとっても、もう存在しないでしょう。

第3に、この法廷を通じてあまねく描写された被告たちの行動は、その行動が 肉体的にも精神的にも誰かに害を与えたり、傷つけたりすることとなったとい う証拠は何ひとつないことを示していました。

被告たちは、どんな個人にも傷をつけたり害を与えたりする意図も手段も持た ないことを示そうと、多大な努力をしてきました。彼らの逮捕は、彼らの予測 どおり禁止区域侵入後数分以内に執行されました。彼らの逮捕を執行した警察 官たちがかなり自制を利かせたことも賞賛に値します。少しのあいだ無視した ことを別にすれば、被告人たちはまったく従順で逮捕の過程ではなにごとも発 生しませんでした。

第4に、各被告人は犯行における各自の行動事実に関する自認では、多大な協 力を示してきたことを考慮しました。

第5に、どの被告人も他の人に暴力をふるうこともなく、もしくは脅威を与え ると考えられ得る方法には訴えてこなかったことです。

第6に、彼らは損害を与えました。私は、彼らが起こしてしまったかもしれな いと思っていたより高額の賠償金支払いを命ずるつもりです。しかし損害は彼 らの行動の結果です、ですから彼らはその補償をすべきだと考えます。

犯行の直後に被告たちが、やはりフェンスに損害を与えてしまった隣接地の所 有者であるクレイマー氏に、損害の賠償を申し出るメッセージを送る方法を模 索したことを、私は認めます。何らかの理由でクレイマー氏がそのメッセージ を受け取らなかったことも認めます。

そして最後に第7として、各被告は複数の違反行為で裁かれていますが、すべ てひとつの行為として実行されたことを考慮し、全体性の原則を適用すべきと します。

最初は、ブライアン・ローについての判決から始めます。訴因1、ブライアン ・ローを有罪とし罰金500ドルを科します。訴因2、有罪とし罰金250ドルを科 します。訴因3、有罪とし罰金250ドルを科します。これらの罰金は各々累積す るものとします。総罰金額を1000ドルとし、支払い不履行の場合10日間の禁固 とします。

犯罪法21条Bに準拠してロー氏に、発生した損害の4分の1に相当する2518.95ド ルの金額をオーストラリア連邦に支払うことを命じます。

ダウリング氏については以下のように決定します。訴因1、ダウリング氏を有 罪とし罰金500ドルを科します。訴因2、有罪とし罰金250ドルを科します。訴 因3、有罪とし罰金250ドルを科します。そして訴因4、有罪とし罰金250ドルを 科します。これらの罰金は各々累積するものとします。総罰金額を1250ドルと し、支払い不履行の場合13日間の禁固とします。そしてダウリング氏とロー氏 に科された罰金ついては、支払猶予期間として28日間を許可します。

更にダウリング氏について犯罪法21条Bに準拠して、財産損害に求められた補 償額の4分の1に相当する2518.95ドルの金額を彼の分としてオーストラリア連 邦に支払うことを命じます。

アデル・ゴールディーについては、関連する前科が実質的にないことを考慮 し、この理由によりそれ以前の彼女の品行の良さが評価されるべきであるの で、私が彼女に科す罰金はロー氏とダウリング氏に科されたものより軽いもの となります。

訴因1に関しゴールディー氏を有罪とし罰金250ドルを科します。訴因2、有罪 とし罰金100ドルを科します。訴因3、有罪とし罰金100ドルを科します、そし て訴因4、有罪とし罰金100ドルを科します。これらの罰金は各々累積するもの とします。総罰金額を550ドルとし、支払い不履行の場合6日間の禁固としま す。支払猶予期間として28日間を許可します。

更に犯罪法21条Bに準拠してゴールディー氏に、財産損害に求められた補償額 の4分の1に相当する2518.95ドルの金額を彼女の分としてオーストラリア連邦 に支払うことを命じます。

ドナ・マルハーンについても、これまでの立派な履歴が評価されるべきことを 考慮します。彼女には前科はありません、そして彼女のこれまでの良き品行は 判決決定において考慮される理由となるべきです。この理由のため、彼女の罰 金もロー氏とダウリング氏に関して科されたものより軽いものとなります。

訴因1、マルハーン氏を有罪とし罰金250ドルを科します。訴因2、有罪とし罰 金100ドルを科します。訴因3、有罪とし罰金100ドルを科します。これらの罰 金は累積するものとし、総罰金額を450ドルで、支払い不履行の場合5日間の禁 固とします。支払猶予期間として28日間を許可します。

犯罪法21条Bに準拠してマルハーン氏に彼女の分として、財産損害額の4分の1 に相当する2518.95ドルの金額を連邦に支払うことを命じます。

クーパーさん、これで各被告に関する件は完結したと確認していただけますか ?

クーパー氏:はい、ありがとうございます、裁判官。

裁判官:はい、どうもありがとう。

午後12時2分、無期限に閉廷

原文:[The Pilgrim] Goodbye from Alice – see you at Shoalwater Bay….. URL: http://groups.yahoo.com/group/ThePilgrim/message/220