DATE: 2008年2月22日(金) 午後5時23分
ドナ出所。その第一声。「刑務所か鑑別所を訪問することを薦めます」
オーストラリア人女性ドナ・マルハーンは、2003年の春にはイラクでの「人間 の盾」に参加した。04年春には米軍包囲下のファルージャに入り、その帰路地元 レジスタンスによる拘束を経験し、つぶさにそれらを報告してくれた。04年冬か ら05年春にかけては「巡礼の旅」をしたイラク・パレスチナの話を伝えてきた。 05年8月には、シンディ・シーハンのキャンプ・ケーシーに駆けつけ、アメリカ からのその報告は、ほとんど実況中継だった。 オーストラリアに帰国したドナは、自国のテロを見据え始めることになる。米 国主導のイラク戦争・占領にオーストラリアが最も貢献してきたのは、アリス・ スプリングス近郊のパイン・ギャップ軍事基地だ。05年12月、ドナたちはこの基 地に向かい、民間査察を強行して逮捕された。起訴された事案は、刑罰が最高7 年の実刑だ。裁判の結果、07年6月に、罰金刑と損害賠償を命じる判決を受けた が、それは新しい旅の始まりであった。 2月20日〜22日に予定される上訴審のためダーウィンに到着したドナは、罰金 支払い不履行で13日に身柄を拘束され、支払うかわりに刑期を務めて17日に出所 した。その第一声です。 (翻訳:福永克紀/TUP)
出所しました。うれしくて、悲しいのです。 ドナ・マルハーン 2008年2月17日
お友達の皆さんへ
ベティが頭上高く腕をあげ、大きく歯をむき出した笑い顔で手を振り回しまし た。他の女性たちの何人かが彼女に気づき、私のほうを向いて同じようにしま す。
私はフェンス越しに、この女性たちが今週初めて外に出て運動場を散歩させても らっているのを見ることができました。私はその機会を逃したのですが、J独房 棟の隔離された中庭という、彼女たちに用意された数メートルの空間よりは広い ところでついに散歩することができたのを見て、安堵しました。
私は走り去って行く車の中から大声で叫びました、「さよなら、みんな!」
彼女たちは手を振り続け、あらん限りの声で、「さよなら、ドナ」と叫び、私の 姿が見えなくなるまで一所懸命に激しく手を振っています。
私が最後に抱いた印象が、一緒にすごした女性たちのユーモアであり寛容であり 友情であることに感謝しながら、ベリマー刑務所をあとにしたのでした。
私は出所しました。うれしくて、そして悲しいのです。
私がちゃんとベッドにいるか確認するために2〜3時間おきに顔を照らしにくる懐 中電灯で中断されずに、今夜はゆっくり眠れることを思えばうれしいです。
今後の24時間のうち18時間を、私のバスルーム・サイズの房に閉じ込められて過 ごさなくてもよいことはうれしいことです。
短くてボロボロのキングジー社の作業用短パンや、破れて色あせた緑のTシャツ を着なくていいし、完璧にプレスのかかった制服姿の人たちに「サー」とか「ミ ス」とか呼びかけなくていいし、その人たちが房に入ってきたときに立ち上がら なくてもいいのはうれしいことです。
しかし、私が知ることとなった女性たちを置き去りにするのは悲しいことです。
このような女性たちは刑務所に居るのだから「悪い」に違いないと、ほとんどの 人が信じていることが悲しい。
J独房棟は悪い女性で満杯になっているわけではありません。貧しい女性たちで す、虐待された女性、病気の女性、おろかな選択をした女性、そして法を犯した 女性たちです。
刑務所には、彼女らを改善させるためのものも、更生させるためのものも、援助 するものも何もないのが悲しい――彼女らが釈放されたとき、この循環が続きそ うなことが悲しいのです。
皆さんと分かち合いたい考え、話、経験、心温まるものも悲劇的なものも、一杯 あります。自分が望んだ瞑想の場を与えられて、私は祈り、瞑想し、聖体拝領を 受け、耳を傾け、多くを学び、心を掻き立てられ、触発されました。
これをすべて解きほぐすのに、どこから始めていいのやら途方にくれています。
そこで今のところは、今夜の私の心に真っ先に浮かぶことだけを分かち合うこと にします。
皆さんすべてが刑務所か鑑別所を訪問することを薦めます――あなたが救われる でしょう。
皆さんは、遠い昔に私たちにこの忠告を下さった心温かな偉大な教師のことを思 い出されるかも知れません。私はイエスの言葉を強調したいと思います。
天国に召されるには、飢えるものには食物を与え、渇いたものには飲み物を与 え、旅人を招きいれ、裸のものには着物を着せ、病気のものは看病し、『獄にあ るものを訪れよ』と、イエスは言いました。
私たちが救いを見つけるのはここなのです――祈りを繰り返すことでも、規律に 従うことでも、熱心に教会に通うことでもありません。
私は、「ここです、ここです!」とイエスに言います。
これらの行動があなたを救うでしょう。神の基準にかなうばかりでなく、このよ うな奉仕の行いが私たちを再び人間に戻すからです。私たちを他の人間と関わら せ、すべての人に癒しをもたらします。
そこで、私のメッセージです。囚人や抑留者を訪問する、もしくは、手紙を書 く、電話をかける、友になる――神と直接つながることになり、救いの道につな がります!
政府やメディアが私たちに信じ込ませようとしたのかもしれないけれど、それと は反対に、刑務所は悪くて恐ろしい人たちで一杯なわけではありません。更生の ための場でもありません。
それは、むしろ託児所と言うべきところで、囚人たちの人生は釈放されてからも なんら変わるところはないでしょう、おそらく社会に対する怒りを募らせていく ことと、その循環を続けていくことになるのは別にしても。
法を犯した人たちにある種の回復的な処罰や建設的な改変策を提供するのではな く、ただ犯罪者の面倒を見るだけで非人間化させることに莫大な資金を無駄にし ているのですから、納税者は激怒すべきです。
皆さんの質問にはのちほどお答えするつもりですが、いまのところ、私が言えそ うなことはこれで全部です。
囚われの人を見つけ、彼らを支えよう。
私たち皆をだめにするシステムに挑戦しよう。
自分自身を救おう。
皆さんの巡礼者 ドナより
追伸:アデルは元気です。月曜の朝に釈放されるでしょう。ブライアンとジムも 元気です(これは秘密情報網で聞いた情報です――教戒師たち、面会者たち、そ れに何人かの看守たち)。ブライアンは木曜日に、ジムは月曜日に釈放です(と 思います)。
追追伸:もし月曜日に速達で送れば、まだブライアンが受け取れるかもしれませ ん、またおそらくジムも。住所は、0801 北部準州 ダーウィン ダーウィン矯 正センター 私書箱1407 です。
追追追伸:J独房棟は自分たちのネコを飼っており、ベリマー刑務所の他の棟も 同様です。これはおもしろいと思いました。私はネコ好きですので、こんなこと にはワクワクします!
追追追追伸:「さあ、わたしの父に祝福された人たち、天地創造の時からお前た ちのために用意されている国を受け継ぎなさい。お前たちは、わたしが飢えてい たときに食べさせ、のどが渇いていたときに飲ませ、旅をしていたときに宿を貸 し、裸のときに着せ、病気のときに見舞い、牢にいたときに訪ねてくれたから だ……はっきり言っておく。わたしの兄弟であるこの最も小さい者の一人にした のは、わたしにしてくれたことなのである」マタイによる福音書第25章34〜36 節、40節(新共同訳)
原文:I’m out. I’m happy. I’m sad. URL: http://groups.yahoo.com/group/ThePilgrim/message/227
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