DATE: 2008年4月21日(月) 午後2時42分
アンザック・デー4月25日の夜明け、第2次パイン・ギャップ市民査察が!?
オーストラリア人女性ドナ・マルハーンは、2003年の春にはイラクでの「人間の 盾」に参加した。04年春には米軍包囲下のファルージャに入り、その帰路地元レ ジスタンスによる拘束を経験し、つぶさにそれらを報告してくれた。04年冬から 05年春にかけては「巡礼の旅」をしたイラク・パレスチナの話を伝えてきた。05 年8月には、シンディ・シーハンのキャンプ・ケーシーに駆けつけ、アメリカから のその報告は、ほとんど実況中継だった。
オーストラリアに帰国したドナは、自国のテロを見据え始めることになる。米国 主導のイラク戦争・占領にオーストラリアが最も貢献してきたのは、アリス・ス プリングス近郊のパイン・ギャップ軍事基地だ。05年12月、ドナたち4人はこの 基地に向かい、民間査察を強行して逮捕され、豪史上初めて防衛(特別事業)法 1952年を適用され起訴された。刑罰は最高7年の実刑だ。裁判の結果、第1審では 有罪とされたが第2審で無罪を勝ち取った。
4人のうちのひとり、ブライアン・ローがこの判決を梃子にして、4月25日のアン ザック・デーに再び市民査察を決行するという。
(翻訳:福永克紀/TUP)
控訴審判決理由公表、法律レポート、そしてブライアンの招待
ドナ・マルハーン 2008年3月28日
お友達の皆さんへ
先週、北部準州刑事控訴裁判所の判事たちが、私たちの控訴を認めた判決理由を 公表しました。
私たちの裁判や、防衛(特別事業)法1952年の適用にまつわる法的議論に興味を 持たれるかたのために、判決理由文を添付しておきます。
来週の火曜日4月1日(場合によっては、1週間後)に、ABCラジオ・ナショナルの 番組「法律レポート(Law Report)」で、私たちの裁判の話が紹介される予定で す。ロン・マークル弁護士へのインタビューも聞くことができます。。「法律レ ポート」は火曜日の午前8時30分からの放送で、再放送が午後8時です。番組の録 音とその書写は、以下のABCのウェブサイトにアップロードされます。 http://www.abc.net.au/rn/lawreport/ [訳者注:この録音と書写は、4月8日現在、下記にある] http://www.abc.net.au:80/rn/lawreport/stories/2008/2203971.htm
また、イエズス会の司祭であり法学教授でもあるフランク・ブレナン神父が書い たこの裁判の記事が、ユリーカ・ストリート(Eureka Street)のウェブサイト にあります。リンクは以下です。 http://www.eurekastreet.com.au/article.aspx?aeid=5997
それに、合同教会(Uniting Church)による以下の記事のように、私たちに対す る全教会的な支持も変わりありません。 http://www.thetransitlounge.com.au/connections/pinegap
最後に下記は、ブライアン・ローが来月パイン・ギャップに戻る計画について書 いたメッセージ(と招待)です。
ご多幸を祈って ドナより
[訳者注:以下、ブライアン・ローのメッセージ] パイン・ギャップでアンザック・デー 4月19日〜5月3日 平和集会
この文は、共にここオーストラリアで非暴力直接行動の知識を深め、実践してい きたいと願うすべてのクリスチャンおよびガンジー主義非暴力活動家に対する招 待状である。他の宗教・信条の方々も歓迎する!
アンザック・デー――私はアンザック・デーを、戦争で亡くなったすべての人々 を記憶する平和の日として再び聖別し、戦争を讃える者たちから取り戻したい と、長年のあいだ夢見てきた。
私はケアンズで、時にはスチュ・マーティン、マイケル・マーティン(ふたりは 無関係)、マーガレット・ペストリアスと一緒にささやかながらそれに関連した 行動を起こしてきた。いかに戦争が無益で恐ろしいものかと如実に示した本来の アンザックを人びとに思いだしてもらおうと、ガリポリやフランスから帰還した 本来の第1次大戦アンザック軍の証言を特集する展示会を幾度か催してきた。 オーストラリアは、第1次大戦中に2回の徴兵制度制定に関する国民投票を打ち破 り、国際平和に専念したものだった。私はそんなささやかな行動を通して、本当 に多くの人がアンザック・デーに関わっているということを知ることとなった。 アンザック・デーは第1級の行動の舞台だ。
(この戦没者記念行事は、1920年代から30年代に、愛する者を記憶にとどめてお きたいと願うオーストラリア中の地域運動や民間の委員会運動から生まれてきた と、マーガレットから聞いた)
2008年の今、戦争は変貌してきている、社会も変わっている、そして、アンザッ ク・デーは平和を受け入れる日ではなく、ナショナリストの軍事的力量を発展さ せ固定化させる日になってしまっている。今こそ、それを元に戻すべきときだ。
[訳者注:アンザック・デー Anzac Day オーストラリアとニュージーランド の合同軍がアンザック(Anzac = Australian and New Zealand Army Corps)であ る。第1次大戦中の1915年4月25日、オスマントルコ帝国軍を打破するためダーダ ネルス海峡の北西にあるガリポリ半島へ、イギリス、オーストラリア、ニュー ジーランド軍を中心とする連合軍が上陸したガリポリの戦いで、3万人以上の戦 死者が出た。初めて国際戦争を経験したオーストラリアは、その内8千名以上の 戦死者を出した。この日をガリポリの戦いの戦死者を追悼する日としたアンザッ ク・デーは、1916年4月25日にガリポリ半島で行われたが、1920年代頃から各州 に祝日として広まり、すべての戦争による戦没者追悼も含まれるようになり、国 内各地で催しが行われるようになった]
【パイン・ギャップ非暴力直接行動】
ここ2年半の間、私は「『全ての』テロに反対するクリスチャンたち」に関わっ てきて、2005年12月には共に実行したパイン・ギャップ「技術区域」の査察とい う非暴力直接行動を成功裏に終えた。
平和運動に関わる人も少なく厳しい条件下であったが、計画さえよく練れば少人 数の介入行動でも、全国規模の強力な影響を与えられると示すことが、この行動 の主目的だった。この行動の私の体験記が下のアドレスにある。 http://www.cairnspeacebypeace.org/index.php?option=com_content&task=view&id=67&Itemid=42
フランク・ブレナン(イエズス会司祭であり私のヒーロー)によるこの行動につ いての記事が、今月のユリーカ・ストリートにある。 http://www.eurekastreet.com.au/article.aspx?aeid=5997
第1次パイン・ギャップ非暴力直接行動に続く第2次パイン・ギャップ非暴力直接 行動をやりたいと、ずっと思ってきた。 (持続性が成果を生む)
2008年4月25日のアンザック・デーの夜明けに「『全ての』テロに反対するクリ スチャンたち」の手によって、パイン・ギャップ・テロ基地の2回目の「市民査 察」が行われるだろう。「パイン・ギャップの4人」と相談して、最近出したア ピールの結びでそう公表した。この発表以来マスコミの関心は高く、オーストラ リア中で大手メディアと独立系を問わずいまだに報道が続いている。
次の介入的非暴力直接行動を組織するための基地として、アリス・スプリングス 地域社会での祈りと歓待の施設である静養センター「心のキャンプファイア (Campfire in the Heart)」を、2008年4月19日から5月3日まで予約している。
非暴力介入行動を探求したい、識見を共有したい、技量を磨きたい、または地球 上に成長しつつある平和のネットワークを祝福したいという人は、この4月のア ンザック・デーに「心のキャンプファイア」に来ると良い。
どんな形であれ非暴力行動であれば、またそのどれかを選ぶ方法でも、自分なり の方法で参加すれば良い。(2007年タリズマン・セイバー軍事訓練事件で4月24 日にロックハンプトンで行われる「サミュエル・ヒルの4人(Samuel Hill 4)」 の裁判への連帯行動も含まれる。 http://samuelhill5.blogspot.com/ 平和の 象徴として葡萄と無花果を植樹する礼拝式/行動を行う可能性もある。 http://www.vineandfigtree.org.au/ ) [訳者注:サミュエル・ヒルの4人 2007年6月にクイーンズランド州のショール ウォーター湾訓練場で行われたタリズマン・セイバー豪米合同軍事訓練に非暴力 直接行動で抗議し、訓練場の中枢部サミュエル・ヒル基地に侵入して逮捕された 5人のうち無罪を主張して争っている4人]
非暴力に専心し愛にあふれる活動家たちの小さなグループには、できないことな ど何もない!
地元か外部かを問わず、アンザック・デー夜明けの試みを実行してパイン・ ギャップ・テロ基地「技術区域」に侵入する人物を4〜6人探している。そのうち のひとりは私で、もうひとりは私の祖父で仲間のテリー・スパックマンだ。
オーストラリアとニュージーランド中で連帯行動が行なわれることになってい る。
私たちはパイン・ギャップをアンザックの光で照らそうとしている。そして、な ぜ私たちはタスマン海を挟んだ友人たちを見捨て、殺人的帝国支配者である米国 と、そこに蔓延する軍国主義を受け入れたのかを問おうとしている。
【理由】
(1)2007年の6月の裁判の間に、被告たちと一緒に20数人の支援者が「心のキャ ンプファイア」に集まったとき特別な時間があり、相互評価会を行なった。それ は、私たちの共通の課題(私たちは平和の調停者の共同体だ)に皆が持ち込んだ 資質を確認することだった。私のすばらしき妻であり教師であるマーガレット・ ペストリアスの、音楽や礼拝式や集団活動を編成する弛まぬ力強さが、賞賛され ることとなった。この賞賛に対する彼女の返答は、「どんな技量であれ、誰か教 えてくれる人がいるものです」だった。
マーガレットは、それは「オーストラリア非暴力ネットワーク」のおかげと言 い、そのネットワークが長くガンジー主義非暴力をあらゆる角度から教育し指導 することに力を入れてきたことを讃えていた。また彼女は、人間は本質的に知的 で創造的であり夢の実現に向けて物事をまとめていくことができるという信念を 力強く語った。マーガレットは、活動的なカトリック教徒だ。
そしてまた、それは「『全ての』テロに反対するクリスチャンたち」とパイン・ ギャップの「市民査察」にも当てはまる。そのすべてのこと対し、誰か教えてく れる人がいるし、適応も改善も可能なものだ。「パイン・ギャップでアンザック ・デー」期間中の講習会では、マーガレットが礼拝式や活動を指導し補助するこ とになる。
最初の「市民査察」は実に並外れたものだった。ある種最先端の技法を用いて行 動の力を最大限にし、大衆の想像力を惹きつけ良い結果を生み出した。
――警察や他の当局との接触は98%をオープンにし、2%を慎重にした。私たち は「どんな」時でも善良で責任ある者とみなされた。
――財物に対する損傷は、効果に見合う限りの最小限になるようにとし、非常に オープンで包み隠しのない方法で実行された。私たちは「どんな」時でも善良で 責任ある者とみなされた。
――祈りと、許しと、敵を愛する心に基づいた個人的力学で形成されたひとつの グループが、共に戦うことを通してより親密になり、常に合意と寛容にたけるよ うになった。私たちはほとんどのとき善良で責任ある態度で行動した。時として 人は生意気になり意固地になるものだが、私たちは違った。
――信仰の問題で、非宗教的な平和運動家たちが多少動揺したようなこともあっ たが、教会や他の信仰の会衆たちが平和創造に関する私たちの教材に耳を傾け関 与する道を開いた。私にとって、それはまったく新しく、そして貴重な聴衆であ る。平和を創造するために活動するクリスチャンのグループが、国中から湧き上 がってきていることを知った。非暴力のキリストの影響が働いているのだ。
――アデルとドナには最初の刑務所体験だったが、私たちは刑務所での抵抗を最 後までやりぬいた。抵抗運動は相互に支えあう環境の中で行なわれ、それが運動 自体のよい宣伝にもなったことで、関係者全員に生産的な経験となった。
――私たちは逆効果になるという分析を逆用して、意義ある法廷闘争に勝利し た。法廷では、自分で代理人を務める本人訴訟、あるいは献身的な弁護士を見つ けて戦い抜いた。法廷の内外で多大な政治を行なった。
「パイン・ギャップでアンザック・デー」のひとつの主要目的は、オーストラリ アでの非暴力直接行動の研究と実践を推進することである。2週間の「心のキャ ンプファイア」は、非暴力の研究室となるだろう。
労働党ジョエル・フィッツギボン新国防大臣との書簡の遣り取りが今年1月に始 まった。大臣との会談を求めているが返答待ちである。以下を参照。 http://www.cairnspeacebypeace.org/index.php?option=com_content&task=view&id=65&Itemid=42 (一番下にある、「Minister for Defence」リンクをクリック)
新任のパイン・ギャップ施設副長キャメロン・アッシュ(国防省の高官)および ケン・ネイピア警部補(連邦警察のパイン・ギャップ保安部長)と、今度の行動 について直接に話をした。その結果彼らはセキュリティを強化している。(両名 はダーウィンの控訴審を傍聴していたうえ、第2日目には私は彼らと長話をし た。)アリス・スプリングスの北部準州警察も仕事に精を出している。
警察や当局との接触実務を改善させ共有したいと望む者は、「パイン・ギャップ のアンザック・デー」に来られたい。
(2)私は、従来からのものであれ当代のものであれ、クリスチャン非暴力運動 に心から興味を抱いている。私を無邪気だと呼ぶがいい。不敬者と呼ぶがいい。 地上における神の仕事の証を探して、私はこの活動に飛び込んだ。この活動に飛 び込むように触発されたのは、1980年代の「ブリズベン・カトリック・ワー カー」コミュニティでの私の経験であり、キアロン・オライリー、ジム・ダウリ ング、アン・ランパとの変わらぬ友情だった。それに彼らの変わらぬ行動だ。
ジョン・ディア神父(米国イエズス会の問題児)が、彼の"Mohandas Gandhi, Apostle of Nonviolence"[仮題「非暴力の使徒マハトマ・ガンジー」]の序論 で、ガンジーが実践と教えの中心に非暴力と非暴力の神への信仰をすえた方法を 論議している。 http://www.johndear.org/ でそれを読んで欲しい。
ガンジーの役目は、神が彼に行なわせようと望むものをできるだけうまく見つけ ることだった。真実に固執することによって、そして祈りによって、ガンジーは 正しい行動を考えだした。そして、彼はこう言うのだろう、神に結果をまかせ よ。もし神の近くにいるのなら、聖霊が私たちの行動を通じて動くと。もしく は、同じようなことを。
自分たちの敵を(それに揉め事があったときの友人を)愛することを実践的に行 なったのは、本当にすごいことだった。2005年の昔に「『全ての』テロに反対す るクリスチャンたち」は、カトリック司祭のジョージ・ザベルカ神父の証言を心 の頼りとした。彼は、広島と長崎に原爆投下するため飛び立とうとするエノラ・ ゲイとボックスカーの乗組員とその使命に祝福を与えた。しかし、のちに市民権 運動に打ち込むようになった。神父はこう語る。
「私はミシガン州フリントでの市民権闘争の間、マーティン・ルーサー・キング ・ジュニアと共に働きました。憎しみの替わりに愛を、嘘の替わりに真実を、暴 力の替わりに非暴力を選ぶ、彼の非暴力行動の実践と言葉に深く心を揺さぶられ ました。これで私は平和主義というもの、つまり悪に対する非暴力抵抗と向き合 うことになりました。モントゴメリーで彼が投獄されたあとの言葉を覚えていま す、私の心を圧倒した言葉です。『私たちが自由を獲得する前にモントゴメリー の路上に血が流れるかもしれない、しかし流れる血は私たちのものでなくてはな らない、決して白人のものであってはいけない。私たちは白人兄弟たちの髪の毛 1本さえ傷つけてはならない』と、彼は言いました」
「私はもがきました。抗いもしました。しかし、そうです、『山上の垂訓』に はっきりと述べられているではありませんか、『汝の敵を愛せ。悪には善で報 え』。私は信仰の危機を潜り抜けました。いかに克服できそうもなく愚かに思え ようと、キリストの言うところをそのまま受け入れるか、完全にキリストを否定 するかしかなかったのです」
「パイン・ギャップでアンザック・デー」の第2の目的は、クリスチャン非暴力 の表現を続け、高めることである。
(3)パイン・ギャップは米国の地球規模軍事機構を構成する戦略的生命線と なっている。先制攻撃による戦争および宇宙戦争という米国の基本方針を考える と、宇宙ベースの諜報能力を配備し地域戦場の標的選定とミサイル制御をリアル ・タイムに行なう米国の能力を維持する上で、パイン・ギャップは重要な位置を 占める。その目的は、1時間以内に核であれ通常弾頭であれこの惑星のいかなる 地点でも爆撃できる「全地球的即応攻撃」能力である。
パイン・ギャップは、米国が提案するミサイル防衛シールドの中心だ。衛星がミ サイル発射を検知しその位置と軌道の遠隔測定データを収集して、パイン・ ギャップに報告する。続いてそのデータは、弾道弾迎撃ミサイル発射に使用され る。パイン・ギャップなくしては、東アジアと中東にミサイル防衛シールドはあ り得ない。今や全地球的軍備拡張競争が起こっている。
今年2月にキャンベラで行なわれた豪米閣僚協議で、ラッド労働党新政権が地域 的/全地球的ミサイル防衛シールドのパートナーと公式になるべく検討すると合 意した。 http://www.theage.com.au/articles/2008/02/24/1203788146605.html
「防衛関係」について、豪米閣僚協議共同声明にはこうある。「両国は、諜報、 監視、偵察において協働する利益の重要性に留意し、当該分野における協力強化 にできることを協議する合同チームを設立することに合意した。(パイン・ ギャップ、ジェラルトン、米国戦略総司令部(StratCom))」 [訳者注:ジェラルトン Geraldton 西オーストラリア州の港湾都市。その内 陸部に Australian Defence Satellite Communications Station(オーストラリ ア国防衛星通信基地)がある]
「豪州と米国は、合同複合訓練能力(Joint Combined Training Capability)に よる訓練の質の向上と経費削減の重要性を認識し、訓練の継続に合意すること で、両国覚書の討議を終了すると合意した。(ショールウォーター湾、デラメ ア、ブラッドショーの各射爆場) 豪州と米国は、軍事通信衛星パートナーシッ プを設立する基本合意書に署名した」 http://www.nebraskansforpeace.org/?p=105 [訳者注:ショールウォーター湾はクイーンズランド州、デラメアとブラッド ショーは北部準州]
パイン・ギャップとショールウォーター湾は、オーストラリアで抵抗/変革する べき重要な場所だ。
「パイン・ギャップでアンザック・デー」の第3の目的は、米国軍事機構に物質 的に抵抗することである。
(4)最後の目的は、現代世界の抑圧社会ならびに平和運動において、両方の客 観的条件に見合った非暴力行動の形を実験し続けることである。
私が心に留めていることがある。2006年6月にキアロン・オライリーが、ピット ・ストップ・プラウシェアズ事件で無罪を勝ち取ったあとに経験したことだ。私 が理解するところでは、キアロンは勝ち取った成功をバネにして、シャノン空港 を非武装化するキャンペーンで更に介入行動を誓う「100人のグループ」を作り 上げようとした。このキャンペーンは、警察の注目を集め抑圧が強まることと なったが、グループに加わる活動家を100人惹きつけることに失敗した。
私が知る限りの活動家の大半が、自分たちはやりすぎていると感じている。それ は、今の時代の困難なところだ。ジムもアデルもドナも、自分自身の方向に進も うとしている。パイン・ギャップとアリス・スプリングスに付きまとう孤立と困 難は、ただそこに行くことだけでも大きな力を注がねばならなく思えることだ。 職業上や家族からの圧力のために、選択肢が制限されてしまう人も少なくない。
次の査察は、最初のものに比べて盛り上がらないものとなりそうだ。しかしそれ でもなおである。論より証拠。それに私は、平和世界の建設に確実に成功するた めの行動を計画できると確信している。私たちは自らを更に磨かれた強力な活動 家に仕立て、国家をポリティカル柔術に引き込み、改宗者をスピリッチュアルな 非暴力に惹きつけることに成功するだろう。 [訳者注:ポリティカル柔術 political jui jitsu(political jujitsu と記さ れることも多い) 柔術のエッセンスが相手の力を利用して身を守るところから 生まれた非暴力不服従運動での概念。圧制や暴力に対し暴力で対抗すれば相互に エスカレートするばかりだとし、毅然とした非暴力と不服従で対抗することで相 手の非道性・不当性・腐敗性を暴露できるとする。最近では選挙戦などで、相手 候補の大キャンペーンを逆手にとって行なう足元をすくうような反キャンペーン にもこの用語が使われている]
元々のアイデアも活動家グループを献身的で小規模なものにしておくことだっ た。(そのほうがいいだろう、というのも今度のアンザック・デーまでに「小規 模」以上の大人数を達成できることなど想像できない。)たった今、第1次査察 の2ヶ月前とちょうど同じような気分だ。私は自分が行動を遂行すると分かって いるし、それに信頼できる仲間(今回はテリー)が私と一緒にやってくれること が分かっている。だから 2人というなら、2人で十分だ(4〜6人のほうがいい が)。
最後に、もしやり遂げることができたら、北部準州控訴審の最新の判決から考え て、私はもう一度防衛(特別事業)法1952年違反の廉で起訴されたいと思ってい る。判決でマーティン裁判長はこう述べている。
「当該基地がその宣言時に防衛目的に使用されていたかどうか、およびその宣言 が出された時点に防衛目的に必要であったかどうかの議論に関する証拠は、宣言 の正当性と関係するゆえ証拠として採用される」 http://www.nt.gov.au/ntsc/doc/judgements/2008/ntcca/20080304ntcca04.html 115項
判事の認定はこうだ。2005年の時点における基地の使用目的に関する証拠は、憲 法上で政府に許される防衛権の範囲内であるかどうかの議論と認定に関連してい るともしていないとも言えないだろう。また同様に、防衛(特殊事業)法第6条 と8条に基づく(基地が憲法上政府に与えられた国防権の範囲内の施設であり 「禁止区域」に該当するとする)宣言の正当性に関する政府関連書類が存在し、 裁判上の争点に十分に関連する論点である、と主張する十分に説得力がある憲法 上の議論が被告側から申し立てられたことを鑑みれば、そのような関連文書を被 告側が発見し提出することが防衛(特別事業)法のもとで可能であったかもしれ ない。
そのような資料がオーストラリア国民に開示されれば、多大な公益となることだ ろう。そして私は何とかそうなるように、本当に喜んで時間も労苦も惜しまない つもりだ。
これを読んでいただいてありがとう。そして、現在の豪米防衛協定とパイン・ ギャップのどちらもが世界中で侵略する米国を支えていることを、政府に責任を 持って説明させるために、現在進行中のこの努力を支援する方法をどうか考えて いただきたい。
ではまた ブライアン
原文:"The appeal decision published, the Law Report and Bryan’s invitation," Pine Gap 4 Supporters (March 28, 2008). URL: http://groups.yahoo.com/group/Pinegap4supporters/message/36