DATE: 2008年10月16日(木) 午前0時20分
よくある質問「あの本の進み具合は?」について
オーストラリア人女性ドナ・マルハーンは、2003年の春にはイラクでの「人間 の盾」に参加した。04年春には米軍包囲下のファルージャに入り、その帰路地元 レジスタンスによる拘束を経験し、つぶさにそれらを報告してくれた。04年冬か ら05年春にかけてはイラク・パレスチナ「巡礼の旅」を伝えてきた。05年8月に は、シンディ・シーハンのキャンプ・ケーシーに駆けつけ、アメリカからのその 報告は、ほとんど実況中継だった。 オーストラリアに帰国したドナは、自国のテロを見据え始めることになる。米 国主導のイラク戦争・占領にオーストラリアが最も貢献してきたのは、アリス・ スプリングス近郊のパイン・ギャップ軍事基地だ。05年12月、ドナたち4人はこ の基地に向かい、「市民査察」を強行して逮捕され、豪史上初めて防衛(特別事 業)法1952年を適用され起訴された。刑罰は最高7年の実刑だ。裁判の結果、第1 審で有罪・罰金刑とされ罰金支払い拒否のため刑期を務めた後、第2審で無罪を 勝ち取った。 そして今、「人間の盾」のときから現在までを振り返る。本の出版、人生の節 目、ハルミートのこと、現状報告です。 (翻訳:福永克紀/TUP)
本とパーティのニュースと…… ドナ・マルハーン 2008年10月7日
お友達の皆さんへ
近ごろよくある質問「あの本の進み具合は?」についての最新情報
初めてのイラク行きの回顧録を本にしようと、私がここ数年取り組んできたこと は、皆さんがたの多くがよくご存知です。実際に書き始めたのは2003年の昔、戦 争下のイラクから帰国してまもなくのことでした。しかしその数ヵ月後には書く のをあきらめ、イラクに戻って「我が家――イラク」を設立し、バグダッドで路 上生活をする子供たちのための活動を始めました。また、イラクの状況を書き留 めるのは内面的に大変なことに気づき、むしろその話を書くよりも「生き」続け たいと決心したのです。こうして始まったイラクへの旅は何年も続くことになり ました。そしてまた、パレスチナにも足を伸ばしたのですが……。
パレスチナの経験には大きな影響を受けました。それで、2005年にオーストラリ アに帰国してから、この経験を書き残すと決心したのです。その仕事にとりかか り始めたのですが、ある日むかし使っていたコンピュータをのぞいていると、何 年も前に書き始めていたイラクの本の書き出しを見つけました。読んでみると 「人間の盾」の経験が心によみがえり、そのときこの話をまず世に出さなければ と決めたのでした。
ダグラス・パークにある私の修道院に閉じこもり、血と汗と涙の何ヶ月かをへ て、ついに著作権代理人に送れるものに仕上げました。うれしいことに代理人の メアリー・カンネーン(www.cunnaneagency.com)は原稿を気に入ってくれまし た。そして、ここが肝心ですが、ぜひ出版すべきだと出版社探しをしてくれたの です。遅々とした紆余曲折をへて、数カ月前に出版社を確保できたときには、 ほっとしたものです。本が世に出る手はずになって喜んでいたのですが、だんだ んと仕事を先急ぐ出版社に不安になってきました。段階も踏まず編集作業もいい 加減で、年末までに出版しようとするのです。まるで、ファースト・フード型 「マクドナルド出版!」のように感じました。
でも……。今年の「シドニー文筆家フェスティバル」で、すばらしい本『マザリ シャリフの絨毯職人』[仮題:"The Rugmaker of Mazar-e-Sharif"](ナジャフ・ マザリ、ロバート・ヒルマン共著)に関する分科会に、私は聴衆として参加して いました。ナジャフはアフガン難民で、タリバンの暴力から逃げ出し、オースト ラリアに入国すると砂漠の収容所に入れられてしまった人です。この本は、アフ ガニスタンでの彼の人生とオーストラリアへの旅について書かれた恐ろしくも素 晴らしい本です。この本を担当するインサイト出版の役員が「文筆家フェスティ バル」でパネリストを務めていました。そして彼女は、重要な物語を出版するた めにインサイト出版社がどれほど身を入れて努力するか、そうするのにどれほど 注意を払って行なうのかを説明しました。ただ単に本が売れるためにだけではな く、この世界に変化をもたらすために、彼女がいかに全力をそそいで本を作り出 版させるのかを聞くことができたのです。こう思ったのを覚えています。「どう して私はこんな出版社を見つけられなかったのだろう」
メアリーが確保した出版社との契約が数週間後にせまるなか、インサイト出版の ことを考えないわけにはいきませんでした。メアリーにインサイト出版はどんな 会社なのか聞いてみました。献身的で倫理的で心ある独立的な出版会社だと彼女 は認めて、そこに原稿を送ってみるのはいいアイデアだと賛成してくれたので す。
その後まもなく、インサイト出版が「人間の盾」(仮題)を出版したいという意思 を伝えてきて、私の願いがかないました。この物語の重要性を確信する出版社が あって、時間と手間をかけて本を完成させる用意があり、世に出したいと考えて いることがわかり、私は天にも昇る気持ちになりました!
つい最近インサイト出版(www.insightpublications.com.au)との契約をすませ、 現在は編集段階です。そうです、皆さん、ついに実現するのです。出版記念には まず皆さんをご招待しましょう!
現段階では、印刷は来年3月で、5月に出版する予定です。本の出版にこぎつける には12カ月ほどかかることが多く、よほどがんばらないとスケジュール通りには 進まないでしょう。遅れが出るかもしれません。しかし皆さんには、必ず進捗状 況をお知らせします!
話は変わって、別の本、『118日間――イラクで拘束されたクリスチャン・ピー スメーカー・チームズ』[仮題:"118 Days: Christian Peacemaker Teams Held Hostage in Iraq" CPT 2008年6月刊]の紹介です。
皆さんの多くは、2005年暮れから2006年3月のあの恐ろしい時期のことを覚えて おられることでしょう。私の友人ハルミート・スーデンが「クリスチャン・ピー スメーカー・チームズ(CPT)」の他の3人と一緒にイラクで人質に取られたときの ことです。トム・フォックスは3月9日に殺害され、ハルミート、ノーマン、ジム は、2週間後に解放されました。関係者、家族、友人たちにとって、胸が張り裂 けるようなときでした。 [訳者注:ハルミートに関するドナの報告は、[TUP-Bulletin] 速報570号 ドナ より 12月4日 イラクに囚われのピースメーカー、ハルミート http://groups.yahoo.co.jp/group/TUP-Bulletin/message/616 などにある]
『118日』は、あのときの報告です。23人が寄稿していますが、私が書いた章も あります。
CPTによれば、「この4人のピースメーカーの誘拐は、池に投げられた石のよう だった。この本には、その石がもたらした波紋と衝撃そして結果が、希望と勇気 と友情と許しの物語として描かれている。『118日』は、いま現在、世界中で平 和をもたらすために不可欠な活動が行なわれていることを証言する」。平和創造 に関心のある皆さんに、この本をお勧めします。この本の注文方法は、 www.cpt.org/118days で。
ハルミートの話ですが……
ハルミートが11月にシドニーを訪れて私の特別のお祝いに参加してくれること を、ここに報告できることがうれしくてたまりません。
そして、皆さんにも参加していただきたいのです。私の40歳の誕生日です。会い たくても会えなかった人たちと新しく友人となり、古い友人たちとの再会を計画 しています。
「巡礼者パーティ」は、11月15日午後7時から、美しいパディントン合同教会で 開催の予定です。瞑想に興味ある方のために、午後6時から瞑想の時間もとる予 定です。
この夜には、ゆったりとした「ラウンジバー」の雰囲気で、生演奏やお話があり ます。みんなで歌い、再会を喜び、思い出にひたる機会ともなるはずです。
招待状を貼り付け添付しています。どうぞおいでください。皆さんにあてた招待 状です。あなたに来ていただければ嬉しいです。参加人数と共に出欠ご返事お忘 れなきよう。 [訳者注:TUPではこの画像招待状を添付できませんが、原文ページの下部で見る ことができる]
どれだけ多くの私の友人たちが、ハルミートが捕らわれの身になっていたあい だ、その身の安全を望み、願い、祈ったことか、彼が会いたがっているのは間違 いありません。
それに、皆さんと一緒にこの人生の一里塚を祝いたいのです!
そこで、あなたとお会いできますように
皆さんの巡礼者 ドナより
追伸:どなたか私の本のタイトルに何かご提案があれば、どうか知らせてくださ い! どんな提案でも結構です。決定になるのは数週間以内でしょう。
追追伸:シドニーの皆さんへ。今週の水曜日夜7時30分から、ボーカムヒルズ合 同教会での「キリスト教の伝統に基づく瞑想の方法」で講演します。これは、10 月15日から11月26日まで行なわれるキリスト教瞑想に関する6週間の入門コース のスタートにあたります。興味のある方はご連絡ください。
追追追伸:11月1日から2日、クイーンズランド非核連合戦略週末 (www.nuclearfreequeensland.org を参照)に参加するためブリズベンに行きま す。平和の問題に関心があり、実践的なトレーニングや刺激を受けたい方すべて にとって、すばらしい週末となりそうです。
追追追追伸:「『118日』に収められているのは、苦悩に満ちたこの世界ではま れにしか見ない、キリストと真剣に向き合いキリストの真理は真実であるとの信 仰に立って行動したクリスチャンの壮大な物語だ」――イエズス会修道士ダニエ ル・ベリガン
原文:News of books and parties… URL:http://groups.yahoo.com/group/ThePilgrim/message/235