TUP BULLETIN

速報804号 UNRWAの対イスラエル抗議声明

投稿日 2009年1月9日

◎国連パレスチナ難民救済事業機関、異例の強い非難


パレスチナ難民の人道支援を 60年近くにわたって行ってきたUNRWA(国連パレスチナ難民救済事業機関)の青い旗は、現地のパレスチナ人にとって、国際社会が彼らのことをまだ忘れてはいない、という象徴となってきた。その UNRWAが運営する学校が1月7日砲撃を受け、国連施設なら安全だと信じて避難していた人々のうち少なくとも 40人近くが殺され、55人が負傷した。
国連は管轄施設の位置をイスラエル軍に事前に通知し、軍事攻撃の対象とならないよう要請していたにも関わらずである。国連施設に対する攻撃は国際社会への攻撃に等しい。しかも罪のない子どもも含む避難民の殺傷は戦争犯罪の疑いをもって国際的調査が行われるよう声をあげるべきである。ガザは過去18カ月以上にわたってイスラエルによって完全に封鎖され、食糧、燃料、医療物資の不足などすでに極めて深刻な人道的危機に陥っており、カレン・アブザイド UNRWA事務局長は、ここ最近にいたって国連としては極めて強い口調で抗議をしていた。

昨年 12月27日にイスラエルのガザ攻撃が始まった後、UNRWAはウェブサイトのトップページを黒枠にし喪に服し下記のプレスリリース(の冒頭部)を掲載した。

〔前書き: 安藤直美; 邦訳: 坂野正明/TUP; 凡例: (原注) [訳注]〕

※報道の通り、現地時間 8日に UNRWAの現地職員がイスラエル軍に殺害された後、UNRWAはガザでの現地援助活動を一時停止することになりました。〔坂野〕


「ガザでの殺戮を停止せよ」 2008年12月27日 記者発表

2008年12月27日 ガザ

UNRWAのカレン・アブザイド事務局長は、今日ガザ地区を襲った広範な破壊への嫌悪感、ならびに数々の人命が失われたことに対して深い悲しみを表明する。国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)はイスラエル政府に対し、ガザ爆撃を中止する求めに耳を傾けるよう、強く訴える。イスラエルは、紛争時に非戦闘員を守ることを定めた複数の国際条約の加盟国である。もし条約が履行されないならば、これら条約の意味は無くなる。

UNRWAは、苦しみ、苦痛をやわらげるために一刻も早く対応し、できる限りのことを行なっていく。今日の殺戮と破壊に先立ち、何週間にもわたりガザへの厳しい封鎖があった。そのため、UNRWAほかの人道的機関による、住民援助や困難な経済状況をなんとか改善しようとする行動も阻まれたままだった。住民はこの長引く封鎖によって、150万の人々の生活必需品が欠乏するなど、堪え忍ぶ羽目になっていて、そして今や軍事行動の激化に見舞われている。

UNRWAは、イスラエルに安全保障上の正当な懸念があることを認める。しかしながら、イスラエルは人道主義にかかる国際法に従って行動すべきであり、不釣合な軍事力を行使するべきではない。UNRWAはイスラエルに対し、人道的機関が無制限かつ安全にガザに入れることを保証するとともに、パレスチナの民間人の安全を確保することで人道主義にかかる国際法の遵守規定を尊重することを要求する。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
原文: "Stop the Killing in Gaza"
PRESS RELEASE, 27 December 2008, by UNRWA
URI: http://www.un.org/unrwa/news/releases/pr-2008/gaz_27dec08.html
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━