DATE: 2003年5月4日(日) 午前1時29分
アメリカのラムズフェルド国防長官が30日、バグダッドに入りました。29日に起こっ たファルージャでのアメリカ軍による市民への発砲事件を受けて、反米感情はますま す高まっています。その最中の米官僚の開戦後初のイラク訪問のレポートです。
(中西 仁美/TUP翻訳メンバー)
イラクはイラク国民のもの?
4月30日 ガーディアン(イギリス)
フセイン政権崩壊後、戦後復興の様子を視察するためにアメリカのラムズフェルド国 防長官がバグダッドを訪れた。
サダム・フセイン宮殿内の飾り立てた部屋で彼の演説が行われた。 この演説の模様は米軍によってラジオやテレビで放送された。
「イラクを訪問し、この国の国民が解放されたのを確認できてうれしく思っていま す。独裁者はもういません。ここではっきりさせておきたいのですが、イラクはあな たがたイラク国民のものです。われわれは支配するつもりはありません。アメリカ・ イギリス連合軍はあなた方を迫害し、私たちを脅威にさらした悪の政権を追放するた めに来ただけなのです。われわれの目標は復興を促進し、民主政権を作り上げること です。その目標を達成すれば、ただちに撤退するつもりです。」
ラムズフェルド長官は住民とアメリカ軍との間で緊張が高まるなか、イラク国民の心 をつかもうとしているようだった。
ラムズフェルド長官がバグダッドに入る数時間前、アメリカ軍によるデモ隊への発砲 事件が起こった。今週はこれで2度目になる。地元病院によると死者は2名で、少なく とも16名が負傷している。月曜日に13人の死者を出したファルージャでの発砲事件か らまだ2日も経っていない。アメリカ軍に死傷者は出ていないようだ。
ファルージャでの事件が引き金となって市民の反米感情はますます高まっている。
2度目の発砲事件が起こる前、住民はアメリカ軍の基地の前で抗議していた。アメリ カ軍が発砲すると、1度は散らばったが、負傷者を助けるために戻ってきた。アメリカ軍の 将校によると護衛隊が通行中に住民が石を投げてきて、兵士がそれを自動兵器と勘違 いして発砲したという。一方、市の役人は住民からは何の攻撃もなかったと証言して いる。
アメリカ軍の将校はファルージャ市長に会い、この反米ムードをなんとか押さえるよ う説得したが、住民の感情は高まる一方だ。
デモ隊の集会を見張っている兵士にむかって29歳の青年が叫んでいる。 「でていけ!でていけ!ここは俺たちの土地で、俺たちが自分たちでやっていくんだ!」 ファルージャのモスクのイマーム(司式僧)はこう語る。 「住民はアメリカ兵に、『もうこれ以上警備はいらない。』と言ったんだが・・・。」
アメリカ軍はファルージャの駐留部隊の数をいっこうに減らす気配はない。フセイン 政権時代に作られたと言われる武器工場があると思っているからだろうか。 月曜日の発砲事件の時は皆自分の持ち場を放棄していたというのに。
(抄訳:中西 仁美/TUP翻訳メンバー) ———————- http://www.guardian.co.uk/Iraq/Story/0,2763,946606,00.html