TUP BULLETIN

速報836号 ドナより ファラオよ、私たちを行かせたまえ……どうか……

投稿日 2010年1月4日

まだ、ガザに向かう希望を持っています。正義と自由を願います。


===================================


 オーストラリア人女性ドナ・マルハーンは、2003年の春にはイラクで「人間の盾」に参加した。04年春には米軍包囲下のファルージャに入り、その帰路地元レジスタンスによる拘束を経験し、つぶさにその報告をしてくれた。04年冬から05年春にかけてはイラク・パレスチナ「巡礼の旅」を伝えてきた。05年8月には、シンディ・シーハンのキャンプ・ケーシーに駆けつけ、アメリカからの報告は、ほとんど実況中継だった。05年12月にはオーストラリアがイラク戦争に最も貢献してきたパイン・ギャップ秘密基地に侵入し、3人の仲間とともに「市民査察」を強行した。冷戦の遺物である「防衛(特別事業)法1952年」に基づき裁判にかけられたが、08年2月に第2審で無罪判決を勝ち取った。  今回ドナは、違法なガザ封鎖を打ち破り、人道援助を届けようとする「ガザ自由行進(Gaza Freedom March)」に参加するためにエジプトに入国し、世界中から集まっているおよそ1400人の仲間たちとともに12月30日現在まだ首都カイロに居ます。カイロから国境の町ラファに向かっていたはずが、エジプト政府が足止めしているため、皆でカイロから出ることが叶いません。現地からの報告です。                     (翻訳:福永克紀/TUP)

ファラオよ、私たちを行かせたまえ……どうか……
ドナ・マルハーン
2009年12月30日

お友達の皆さんへ

私たちは「約束の地」に向かって出発していませんが、数千年前にエジプトを去ろうともがいた古代イスラエル人に、私はある種の共感を感じています。

私たちは紅海が割れることを求めているわけではなく、ただ北部の町ラファへの途につき、国境を越えてガザ入りすることを許可してほしいだけなのに、エジプトのファラオであるムバーラク大統領とその重装備の兵士たちが許しません。

「ガザ自由行進」に関心を抱き、国境を越え封鎖を破って援助と連帯を届けにガザに入国することを目指す約1400人が、世界中からカイロに集まっています。主催者側は、行進者たちがラファ国境で入国できるように5カ月間にわたりエジプト当局と交渉を重ねてきました。交渉は前向きで友好的でした。この行進の主催者である米国女性平和グループ、コード・ピンクが代表団7団体をガザ入りさせることをエジプトがすでに許可していたのも、まさに今年のことです。しかし、私たちが予定するガザ入りの数日前に、今回は許可しないとエジプト当局が発表しました。そのときには、大半の参加者はもうカイロへの渡航中でした。

この拒絶の理由は多種多様に推測できますが、ムバーラクが当地でどんな警察国家を動かしているのか皆さんに分かるように、以下に「ガザ自由行進」が取り組まなければならない問題を挙げておきます。

‐エジプト当局は、私たちがラファ行きに予約した月曜日の朝のバスが走行できないように、バス運転手たちの運行許可を撤回した。

‐カイロのカトリック学校で行なうはずだったオリエンテーション会議の許可を撤回した。

‐私たちが6人以上のグループで集まることを禁止すると発表した。

‐ガザで亡くなった方々を悼むために、私たちが交通量の多い橋に多くのメッセージと花をくくりつけると、警察や治安部隊がそれらを引き剥がした。「どういう理由なのか」と尋ねると、返答は「理由など要らない」だった。

‐集会禁止ルールを逃れるために、25人ずつのグループで私たちが状況説明を受けられるように行進の主催者がナイル川に浮かぶフェラッカ(船)を予約すると、私たちが船にも乗れないように当局が船舶貸出会社を閉鎖してしまった。

‐その代わりに、川沿いの歩道に立ってキャンドル・ヴィジルを行なった。私たち約400人で。何百名もの武装警官に囲まれて。

‐依然として会合を持てない私たちは、カイロで最も人出の多い広場に集まり、説明集会を始めた。これを面白く思わない警察が主催者に話すのを辞めろと要求したが、果敢なコード・ピンクの女性は話を続けるばかりで、おかげで私たちはいくらか組織立てをとれるようになった。この結果は大きく、地元の人たちは面食らった様子で、とても協力的だった。

‐いろんなグループがカイロから出て国境に向かおうとしたが、検問所で追い返され、パスポートを没収された。

‐バス会社は、国外から来た者は誰も国境方面に運んではいけないと命令されたままである。

‐自分たちの予約バスがキャンセルされた抗議として、約300名のフランス代表団が3日3晩を通してフランス大使館の外にキャンプを張っている。およそ千名のエジプト武装警官に囲まれながら。

‐月曜日、私たちは、解散せよという当初の命令を無視してカイロ国連事務所の外の広場を5時間占拠した。そしたら、警官数百人の隊列にバリケードを張られて閉じ込められてしまった。

‐私たちは、濃いサングラスをかけて襟を立てて話し合ったり無線機で話し合ったりする威嚇的な治安部隊員たちの常時監視下にある。

‐今日のイスラエル首相ネタニヤフのエジプト訪問に抗議するために地元エジプト人活動家が組織したデモに、私たちが招待された。大きな危険を冒して積極的な発言をするこのような勇敢な活動家たちと連帯できて喜ばしいことだった。またしても、私たちは数百人の武装警官と治安部隊に包囲された。

こういうすべての脅しにもかかわらず、参加者は今でも熱意高く主要な課題に焦点を当てています。違法なガザ包囲を辞めさせること、そしてそれが実現されるべく私たちの政府が外交的手段をとるように働きかけることです。

85歳のホロコースト生存者ヘディ・エプスタインを筆頭に、多くの人が一団となって現在も現地でハンガーストライキをやっています。

今日、オーストラリア代表団がカイロのオーストラリア大使館に行き、ガザの危機にオーストラリア政府が沈黙していることに対する私たちの懸念を表明させよと要求しました。しばらくして、大使と面会する許可が出ました。彼女は、ガザの人道状況が「まったく悲劇的」だと認めたものの、エジプトとイスラエルの政策に対してオーストラリア政府はなんの影響力も持たないとも認めました。彼女が私たちにガザに入るのは危険だと警告したので、私たちは彼女に、国際的な政界がガザを見捨てたのだから今こそ市民社会が一歩を踏み出し行動する時だというガザ問題に関する国連の責任者リチャード・フォークによる最近の警告を忘れないようにと指摘したのです。

そして、それを実現しようと私たちはここにいます。人道団体の長でもあるスーザン・ムバーラク大統領夫人に、国際代表団は大量の人道支援を運び込もうとしているのだから私たち代表団を通過させるように介入してほしいと、ロビー活動をしている女性代表団のグループもあります。

私たちはまだガザに到着する希望を持っており、エジプト政府が私たちがエジプトから出発することを許可するよう求め続けます。ファラオよ、どうか私たちを行かせたまえ。私たちはイナゴの大群があなたを襲うのを願っているのではなく、ガザとパレスチナとあなたの国の人々のために正義と自由を願っているだけなのだから。

皆さんの巡礼者
ドナより

追伸:今夜、スーザン・ムバーラク大統領夫人に対するロビー活動について前向きなニュースを聞きました。手に入り次第もっとニュースを送ります。アップデート情報は、gazafreedommarch.org で。

追追伸:ヨーロッパでは「ガザ自由行進」の報道がたくさんなされています(http://news.bbc.co.uk/2/hi/middle_east/8433010.stm を参照。もし写真に私とマーチンが写っているのを見つけられたらそれも見てください!)。また以下のよくできた要約記事も見てください。 http://www.truthout.org/1229097 しかし、オーストラリアではあまり報道されてはいないのではと思います。でも、オーストラリア代表団の一員であるオーストラリア人作家で活動家のアントニー・ローウェンツタインが、ABCラジオナショナルとのインタビューを終えたところです。 http://www.abc.net.au/rn/breakfast/stories/2009/2782504.htm 

追追追伸:「以前にこんなことをしたことはありません。自分の体がどんな反応を示すかわかりませんが、どうなろうともやりぬきます」――85歳のヘディ・エプスタイン、ホロコースト生存者、ガザ自由行進参加者、ハンガーストライキ実行中
 
原文:Pharoah, let us out of Egypt…please…
URL: http://groups.yahoo.com/group/ThePilgrim/message/239