TUP BULLETIN

速報87号 03年5月16日 ラムゼー・クラークからブッシュへの書簡

投稿日 2003年5月16日

FROM: Schu Sugawara
DATE: 2003年5月16日(金) 午後11時34分

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朝日新聞5月16日朝刊は、新任のイラクに着任したブレマー文民行政官が「治
安回復」を最優先課題とするようORHA(復興人道支援室)スタッフに指示し、
また、在バグダッドの陸軍第3歩兵師団のブロウト少将も銃を持たない略奪者に
も発砲する可能性を示唆した、と報じています。このようなニュースに接して、
クラーク元米司法長官がブッシュ大統領に送った発砲許可の撤回を勧める書簡
が、5月15日に受信したA.N.S.W.E.R.からのメールニュースに載っていましたの
で、翻訳提供します。
もともとアメリカが略奪を煽動したとの報道もあり、複雑な想いです。

A.N.S.W.E.R.(Act Now to Stop War and End Racism 戦争を止め人種差別を終ら
せるために今こそ行動を)は、イラク侵略に反対する世界中の反戦運動の協働行
動を提起してきたアメリカの市民組織です。

(TUP 寺尾 光身)
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ラムゼー・クラーク元米司法長官からブッシュ大統領への書簡
2003年5月14日

【原文】
1.International ANSWER のウェブサイト
http://www.internationalanswer.org/news/update/051503rc2bush.html
2.ラムゼー・クラークさんが立ち上げた International Action Center の
ウェブサイト(こちらがオリジナル)

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2003年5月14日

ジョージ・W・ブッシュ大統領閣下
ホワイトハウス
ファックスにより送付:202-456-2461
1600 Pennsylvania Ave., NW
Washington, D.C. 20500

ブッシュ大統領閣下

本日の報道によれば、イラクの米軍兵士に略奪者に対する発砲が許可されると
のことですが、これは直ちに撤回されるべきです。戦争諸法規はもとより、平和
の概念も、また「アメリカの正義」の適法な如何なる定義も、兵士および警官に
略奪者に発砲する権限を与えておりません。略奪者に発砲した兵士は、被弾者に
傷害を与えれば武器による暴行を、死に至らしめれば謀殺を犯したことになりま
す。若い米軍兵士の手と良心にイラクの人々の血をしみつかせるようなことを貴
方はしてはなりません。

1960年代の人種暴動の時期には、「略奪者に対する発砲について多くの思慮を
欠いた発言」がありました。司法長官として私は、「この話はおしまいにすべき
だ!」「もしアメリカに一片の良心があるのであれば、こんな略奪者に発砲する
などと言うとんでもない話から目を覚まし、現実を直視すべきだ。」「略奪者へ
の発砲は効果をあげるどころか、人種間の亀裂を深め、怒りをかき立て、憎悪を
助長し、さらに暴力に向かわせる・・・。これがアメリカの正義だろうか?」と
発言しました。

火器をはじめ人を死に至らしめるような暴力装置は、直接的かつ差し迫った人
命への脅威を抑止するのに必要な場合の、最後の手段としてのみ使用が許される
ものなのです。

新たに略奪者への発砲を許可することは、既に衝撃と畏怖作戦によってイラク
市民に対してなされた過剰な武力使用という問題をさらに悪化させます。それは
アメリカ合州国がイラク市民の生命を尊ばず、武装兵力を用いて意のままにイラ
ク市民を殺すことを意味しています。

更なる死と我が国への更なる憎悪を防ぐには、貴方が時を移さず適切な措置を
とることしかありません。

敬具
ラムゼー・クラーク

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(翻訳 寺尾 光身/TUPスタッフ)